「ふぇっくしょいっ!」 ベチャッ
「うお!?俺の大事なPCに、鼻 水 が!?」
ここはとあるマンションの一室。男性が、なにやら一人で嘆いていました。
「サラサラしてた感じだったのが唯一の救いか・・・。しかし」
バンっ、と勢いよく窓を閉め、吠えました。
「8階まで上がって来てんじゃねえよ花粉どもぉぉぉぉぉ!」
男性の名は藤沢圭吾。彼は花粉症を患っており、毎年この時期には鼻や目のかゆみ、くしゃみなどでひたすら悩まされています。
そんな彼が窓を開けていたのは、布団を干すためでした。花粉の大量に舞う時期に外に布団を干すなどどうかしているように思うかもしれませんが、夜中ずっと鼻水が止まらず、ひたすら布団を汚してしまた彼にとっては仕方のない選択でした。
「ったく・・・」
一吠えして満足したのか、彼は冷静になり、部屋を見渡します。
「ん?・・・あれは」
そこで、彼にとっては救いとなるものを、ようやく見つけました。
あまり使わないから、と時期以外は部屋の隅に追いやられるその道具。
それが今の彼には輝いて見えました。
手に取り、袋を開封し、手順に従って装着します。
閉じたままの窓に向かい一言。
「はぁっはっは!見るがいい花粉ども!俺は人類の英知、マスクを手に入れた!これで貴様らなど恐るるに足らんわ!」 フゴー
マスクで声がこもり、少し声が低くなった彼がふんぞりかえります。
少し痛い人のように見えるかもしれませんが、最上階端部屋、隣人無し、さらにはいらいらで妙なテンションとなればこうなってしまうものなのでしょう。
「ふふ・・・・・・。・・・ん?」
ふと、彼は遠くの空に何かが見えた気がして目を細めます。
「なんかこっちに飛んできてる気が・・・」
ふと、彼の耳に声が届きました。
「・・・はは〜・・・ぁは・・・〜」
なんだか笑っているような声です。窓を閉めているのに聞こえるということは、結構な声なのでしょうか。
段々と、声、そして物体がゆっくりと近づいてきます。
そして、きちんと形が目視できるようになったとき
ビュオォォォ!
一瞬ではありましたが、とても強い風が窓に吹きつけました。
「あはは〜〜〜〜〜」
同時に物体も急加速して、こちらに向かってきます。
「あははは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 はっ」
「え、ちょ!?」
そのまま勢いは衰えず、閉まったままだった彼の部屋の窓に衝突しました。
笑顔のままずりー、とベランダにずり落ちました。
「おいおい、大丈夫かよ?」
さすがに心配になり窓の外へ出て拾い上げます。
「あはh・・・きゅぅ・・・」
目の前に落ちてきた物体は、ケサランパサランだったようです。
長い髪をポニーテールのように束ね、まとっているのはやはり自分の綿毛のみ。身長は、20センチよりは少し高いでしょうか。
「ほっとくわけには・・・いかないよなぁ。一応俺の敷地(?)だし」
自分を納得させ、彼はケサランパサランを座布団に寝かせました。
「・・・あれ?」 パチッ
5分ほどたったころでしょうか、ケサランパサランが唐突に起き上がりました。
「もう大丈夫か?」
隣で見ていた彼が声をかけます。
「う〜ん・・・多分」
「自分の名前とかわかるか?」
「陽菜(ひな)!」
先ほどまで気を失っていたとは思えないほどの笑顔で陽菜が言い放ちました。
「陽菜・・・ね。なんでここにいるかは?」
「えっとねぇ・・・おさんぽしてて、楽しくなって、おにいさんがみえて」
お兄さん、と言われて指をさされたので、彼のことだと理解しました。
「あそぼーって行ったら、はやくなって」
「ふむふむ」
「あたったのー!」
屈託のない笑顔で陽菜がいいました。
「・・・なんか、よかったね。って言ってやりたくなるけど、軽く事故ってるからなお前・・・」
ふう、と息を吐いて陽菜の頭に手を置きました。
「まあ、俺が窓閉めてたせいだな。すまん」
「いいよー♪」
笑顔で言ってくれているところを見ると、まるで気にしていないようでした。
「えー・・・それで、遊ぶって?」
「えっとねー」
言われて陽菜は思い出したように彼を見上げ、浮き上がります。
「あははー しない?」
「しない」
即答でした。なぜなら、彼も学者ほどではないとはいえ、ある程度の魔物の知識は身についていて、当然ケサランパサランの生態も知っていたからです。
「そんなことしたら頭お花畑になっちまうだろ」
「しようよー」
しかしほとんど彼の答えを気にしていないようで、いきなり彼の顔の目の前で身体を振り始めました。
「ちょ、てめぇ!」
「あははー♪」
目に見えるほどの綿が、一気に目の前を覆い尽くします。
彼は危機を感じ、目を閉じました。
しかし、いつまでたっても感染(?)の予
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