異界学校2-b『ヤンデルゲンガー』


ねえ、幽丞。
私ね、良い事考え付いちゃったの。
どんな事かって?、…ふふ♪、自分の身を持って知ってほしいなぁ?
ふふふふ、それじゃあまた明日ね?

//

「…あれ?、もう朝かよ」

幾らなんでも早くねえか?
俺の体内時計だと今は2時18分の筈なんだが。
外は明るいしなぁ。…?
あれ?何だこれ。ゴムの管?
あー、点滴の時とかに使う奴か、これ。
…って何でそんなものが俺の脚に巻かれてんだよっΣ(゜Д゜ )

「ったく、誰の悪戯だよ。おい」

今家にいんのは夜宵と優風だけなんだがなぁ。
やるとしたら…。夜宵か?
医学の勉強してるって言ってたし、この管ぐらいなら持っててもおかしくは無いよな。

「ま、朝なら朝でさっさと飯食って宵人ん家に行くか…っ!?」

おぉーう!?
足が動かねぇ!?
な、なんだこれ。痺れてないか?
…ゴムの管…、足の痺れ…。
…局所麻酔!?

「お、おいおいマジかよ…。
局所麻酔なんか打って何するつもりなんだ。夜宵は…?」

がたんっ

「!?、や、夜宵…」
『…』

部屋の戸の所に体を半分だけ出してこっちを見ていた夜宵。
だが、表情だけで何をされるか分かる。
あれは、恋人に向ける目じゃねーよ。
どちらかと言うと可愛いペットを見る目だよ。
いやまぁ魔物も種族によっては恋人をペットとか言ったりするらしいけどよ。

『…』
「や、夜宵?」
『…(ニヤァァァ…』

部屋の入り口で、夜宵は俺を見て口だけで笑う。
そして、ゆっくりと体を此方に見せだす。
俺は、流石に寒気がした。
隠されていた左半身。そしてその手に握られていたものは。

歯の良く砥がれた、斧だったのだ。

「や、夜宵!?、おい、マジでやめろって!!」
『…ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ』

突然、夜宵が含み笑いを上げ始めた。
そして、ゆーっくりと右手を斧に添えて…。
ふらふらと揺れながら、完全に振り上げた状態になる。

「おーい…、夜宵、ガチでやる気か…?」
『ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす』
「ま、まるで聞いちゃいねぇ…」

やがて、ふらふらと揺れている状態は止まり。
夜宵の愛しいペットを見る目が、一度俺のほうを向く。
その美しい眼差しの中に。

暗く濁り、歪んだ愛情を感じた。

「夜宵…」
『ふふ、くふふぅ、えへへへへへへっ』

完全に狙いは定まったようだ。
俺の右足の一点をしっかりと見つめ、笑いながらしっかりと息を吸い込む。
…整息が終わり、先ほどとは違う。

『ああァっはははははっ!!、ひゃぁあぁああーーーーっははぁ!!』

甲高い声を上げながら、その重たそうな斧を振り下ろしてきた。

「う、うわぁあぁあぁあぁああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁあぁぁ…

//

…ぁぁぁあぁあああああぁぁぁぁああぁぁああぁあああぁあああああぁああっ!?」

斧が振り下ろされる瞬間、俺はここに引き戻された。
どうやら、夢であってくれたようだ。
…うん、麻酔の感覚もしないし、ゴムの管も巻かれてない。
第一、夜宵は俺の横で寝てるしな。(繋がりあったままだが)

『…ゆ、すけ?』
「あ、わ、悪ぃな夜宵。…ちょっとばかし嫌な夢見ちまったからよ」
『ゆうすけ、ゆめなんかみるんだぁ…』
「し、失敬な!?、俺だって夢ぐらい見るわ!!。…ちょっとトイレ行ってくる」
『うん、いってらっしゃーい。…んあぅ♪』

…大丈夫だな、こんなに可愛いのに、あんな事をするなんて考えられなかったもんな…。
うん、ここは気にせずにがんがん行こう。
取り敢えずはションベンに…。あれ?
トイレに行こうと階段を下りた瞬間、『今ここに有る筈が無い物』がちらっと見えた。
…嫌な予感がする。
寧ろこれで嫌な予感がしないとか頭おかしい。
見に行くしかない。
そう思い立ってその『今ここに有る筈が無い物』を見に行った。

そう、それは紛れも無く。

夢の中で夜宵が振るっていた、一振りの『斧』なのだ。

「う、うわぁあぁ!?」

当然俺は素っ頓狂な声を上げちまう。
だって、こんな斧は見た事が無い。
我が熊谷家のものではないし、夜宵の持参物でもない。
第一元々は寮生活の夜宵が斧を見ることなんか…。あるかも…。
リーマちゃんは刀だけど、確かウチの学校斧使うサラマンダー居るしな…。

「つ、つったってこんな丈夫そうな斧は知らねーし…。
い、一応、倉庫に入れてカギしておくか…」

一瞬でションベンのことなんか忘れた俺は、斧を持って一目散に倉庫に向かう。
途中で一瞬何か感じた気がするが、無視することにする。

『…、チッ…』

その後、俺が部屋に戻ると夜宵がまた寝ていた。
起こすわけにもいかない、と思ってそっとしてお
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