一筋の光が天界の神殿に差し込まれた瞬間、風切り音とともに、青き鋼の鎧の下に戦装束を纏い、4枚の純白の羽をはためかせた戦乙女がその金色に輝く髪を揺らした。。
「我が主よ。御身の召喚により、ヴィクトリア参上仕りました。」
荘厳な神殿に凛とした声が響いた。
「勝利の名を持つ『ヴィクトリア』よ。蒼く澄んだ曇りのないその瞳、変わらず我も嬉しく思う。」
「そのような言葉を頂き光栄に思います。」鈴の音のように澄んだ声が反響する。戦乙女という物々しい名とは違い、塵一つ付いていない黄金の髪が靡き、頭が垂れた。
「私は御身に忠義を捧げた剣であり、魔から人々を守る盾であり、英雄の選定者である身、本日はどのような命を下して頂けるのでしょうか。」生真面目な戦乙女らしい主からの下命を催促する。
「今日は戦乙女であるそなたを直接召喚したのにはわけがある。英雄の器を持つ者の所在がわかったのだ。それも此度の英雄の器を持つ者は末頼もしい逸材である。恐らくは18歳の齢を迎える頃には英雄としての頭角を現し始めるだろう。」
荘重たる神の声はいつにもなく明るい。恐らくは英雄の器たる者の存在がここまで神を喜ばせるのだろう。世界の均衡が崩れ、魔物が溢れる地上で神の威光は徐々に影を落とし始め、人類の道標になり得る英雄もまた籠絡されることが頻発している。その中で見つけた大英雄の卵の存在がこれほどにも神を歓喜させている。
そして興奮冷めやらぬ口調のまま神は命を下した。
「戦乙女ヴィクトリアよ。此度の英雄の器であるユヴェントスという少年をそなた自らが鍛え、その器を大成させるのだ。彼の者は山奥に有る教会に従事する神官剣士見習いとして、暮らしている。今からそなたは地上に降り、件の教会へ向かうのだ。」
「その命確かに承りました。戦乙女ヴィクトリアこれより英雄の器であるユヴェントスの大成を遂行しに地上に馳せ参じましょう。」
神からの命を受けた瞬間、ヴィクトリアの脳内には地上にある教会が浮かんだ。ヴィクトリアはその4枚の純白の翼を大きく羽ばたかせ、神殿から地上へ急降下した。
数日後
「ふむ・・・・この教会だな。」
神の提示した教会の前に着いて私はポツリと呟いた。
「英雄の器を持つものユヴェントスか・・・」
まだ見ぬ英雄の卵に会い、鍛錬をするという任を命じられ、その期待に応えるべく出てきたが、重大なことに気づいた。
「しまった・・・彼の外見や特徴を我が神より聞くことを失念していた・・・」
勝利の名を冠した私としたことがなんたる失態だろう。あの時冷静さを保とうとしていたが、出来なかったのか。ヴァルキリーとしての勤め、鍛錬するのも任の一つだが、「英雄色を好む」これが私の懸念事項だった。神のため、人のため鍛錬に明け暮れる日々を思い返したが、男っ気なんぞ一切なかった。ヴァルキリーとしての仕事で英雄に道を示すことがあり、外れぬようにすることがある。その
過程で英雄の男から身体を求められれば、それに応じることも必要になる可能性がある。知識がないわけではないが、正直私に男性への性奉仕が行えるか、まるで自信がない。戦いの門外である性奉仕など、鍛錬できるものでもない。むしろ性奉仕の鍛錬などすることは堕落の一途を辿ることは明白だ。
「処女で清き身体というのは、教えの体現として正しいが、難しいものだ・・・・」
教えとのジレンマが悩ましく、私は頭が少し重くなった。
「悩んでもとりあえずは仕方ない・・・・件の英雄の卵を探そう。」
頭を振って、教会の扉を開けようと、ドアノブに手をかけた瞬間だった。
「神父様は今留守にしてますよって・・・その4枚の純白の羽!黄金の髪!青き鋼の鎧!もしかしてヴァルキリー様ですか!」
背後に銀髪碧眼の少年が剣を背負っていた。背丈は150cmほどだが、その背中には似つかわしくない大剣が無邪気な姿に似合わず、やたらに目立つ。。
「そうだが君は・・・・?」
急な呼びかけに困惑して出た言葉に少年は目を輝かせて、「私はここで神官剣士見習いとして修行しているユヴェントスと申します。」尻尾があるならぶんぶんと降っていそうなくらいに元気で無邪気な少年が応える。
「君がユヴェントス・・・・」
この無邪気な少年が英雄の器?大剣を持っているが、どこにでもいる少年のようだが・・・・?しかし神は確かにユヴェントスという少年が英雄の器と言っていた。彼が本当に英雄の器かどうか確認する必要があるな。
「名乗り遅れてすまない。私は勝利の名を冠するヴァルキリー、ヴィクトリア。ここに英雄の器足りえる者がいると我が神に言われてその確認に来た。」
「英雄の器ですか!すごいや!ヴァルキリー様自らが確認に来るなんて!」
「そこで少年。君がその英雄の器かどうか確認したい。」
「は?わ、私がですか?!」自分にヴァルキリーの選定が入る
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