昊君と天満ちゃんとランスさんの手柄で、私たち王女軍はガズラ男爵軍に圧勝。
ガズラ男爵メーヴェンとその配下だった兵士は捕虜として屋敷の地下牢に閉じ込め、捕えられていた人たちは昊君が開放して一か所に隠れさせてたらしい、戦いが終わると、姫様に二言三言お言葉をもらってから本当に犯罪者っぽい人以外はそのまま町に戻してしまった。
近くに暮らしているところのない人、帰る場所のない人は、まだここに残ってもらってる。
「ええと……みなさん!」
姫様はメーヴェンの屋敷にみんなを集合させると、姫様は演説を始めた。
「初戦は皆さんの、特にソラさん、アマミさん、ランスさんのおかげで快勝でした! しかし私たちの戦はまだ始まったばかりです、これから王都にたどり着き、貴族議会を倒すまでに今ここにいる人たちのうちどれだけの人がいなくなっているのかはわかりません!」
精一杯声を張り上げて、姫様はみんなに向かって演説をする。
「ですが! 私はこの戦いには意義があると思っています! いえ、なかったとしても私が作って見せます! ですので、どうか最後まで私に力を貸してください!!」
観衆からは特に一部に密集して野太い歓声が上がる、どうやら姫様はクルツに人たち――もちろんおもに男の人――に結構受けがいいみたいで、既に姫様の人気はかなりのものになってた。
演説が終わると、姫様は今度はハロルドさんとリィレさんとネリスさん、そして私たちを一か所に集めて、今後の予定や作戦を組み立てていく。
「ギズで行うべきことは兵食の補充、それが済んだら早いうちにこの町を出て次の戦地に向かいましょう、ぼやぼやしていて……人の暮らす街を壊すのは嫌ですから。」
そう言ってから、リィレさんに地図を開かせて机の上に置く。
「私たちの相手にあまり時間を与えたくないので、次に攻めるべきはここから東の直近マズート領です、このギズからまっすぐ攻めていくとなると川を挟みます。」
「簡単に渡らせてはくれないでしょうね、こっちには渡河の戦術なんて知らないやつの方が多いわけですし。」
言ったのは因幡君、そしてそれにみんな頷く。
動物型の魔物の中には水を嫌う魔物も多いだろうし、私も濡れるのはあんまり好きじゃない。何より無理に川を渡ったところで相手が陣を張っていたら袋叩きにしてくださいと言ってるようなもの。
橋は封鎖されるだろうし、相手の方がずっと数は多いだろうからやっぱり何か特殊な作戦を練っていかないと先に進むのは難しくなりかねない。
「……渡河……ねぇ…」
今回の戦いでは快勝のきっかけにもなった昊君だけど、次の戦いではあんまりいい作戦が思い浮かばないんだろうかずっと地図と睨めっこしてる。
「正面から囮をぶつけてその隙に大部隊が川を先に渡る……? いやでも気づかれたら一巻の終わりだし、何より無事に川を渡れる保証がないか……」
ぶつぶつと何か言いながら、昊君は地図を見る、そういえば、姫様が因幡君づてに援軍を頼んだっていうリオント伯はどうなんだろう、すぐにでも駆けつけてくると思ってたけど。
「リオネイからの援軍が来るまではここで待ったらどうです? 無理に攻め入っていくよりも彼女からの助力を得たほうが確実だと思いますが……」
「あ……そうでした、ナンナがいましたね。キサラギさんの言うとおりです。」
「そうでしたって……まさか自分が救援を頼んだのに忘れてたんですか?」
呆れた顔で因幡君が言う、まぁ確かに呆れはするだろうけどそんなに露骨じゃなくてもいいような気もする。
それでも昊君は地図をじっと見たまま、ずっとぶつぶつと独り言を言っている。
「昊、今は渡河の手段は保留だってさ。」
天満ちゃんがそう言うと、やっと昊君は地図から目を離した。
「保留ですか、では次は何を?」
昊君は立ち上がると姫様に向かってそう言った。
「メーヴェンたちを拘束して、誰かにいない間のまとめ役をしてもらわないといけません。それにこの町の防備も。それから補給を済ませて、一両日中にはこの町を出ます、皆さんは休憩をしていてください、補給にはリィレと……」
「僕とネリスがついていきます。人数とか、どれだけ食べるかとか正確に把握してるのは僕たちくらいでしょう。それに数人クルツの人も連れて行きます、物を運ぶには必要になるでしょうから。」
ハロルドさんはそんな風に言うと、後ろで談笑したり鍛錬したりしていたクルツの人の中から数人力のありそうな人たちを選んで姫様の近くで待機した。
兵食の問題はある程度ここで購入補給していけば何とかなるだろうし、メーヴェンの屋敷にも幾らか貯めこんであるとは思うから大丈夫だろう。
「それからここの防備ですが……誰か指揮役に適当な人選はありますか?」
姫様の質問に対して、そこにいた半数近くがランスさんに注目した。
クルツ人間の領主クロードさんの三男
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