カーテンを開けると、そこでは幼女たちが俺の顔を見上げて縋るような目をしていた。
とりあえず迷うことなくカーテンを閉じ、額に手を当てため息ひとつ。
「…………はぁ………」
サバトの勧誘だった、最初の方は正攻法だったけれど俺が無視するごとに向こうも躍起になってきているのか、家の前で組体操して待ち伏せていたり謎の創作ダンスを披露してくれたりと最近は変化球を混ぜてきている。
それもこれも、サバトの主ヴィオラに俺が気に入られてしまったことが原因にある。
俺がヘラトナ村に住みついて五日が経った、相変わらずほかの仲間たちの足取りは知れず、それどころかローディアナ王国の王都で大規模な反乱があったということしか伝わってきていない。
しかし、判明していることは一つだけある、仲間内の誰かが、同じイグノー王国内にいる可能性があるということだった。
あくまで可能性だし、下手をすればイグノー王国の更に向こうの魔界まで到達している恐れもあるから、正直まだ「可能性」の範囲でしかない。
「フブキ、起きたのか、ギルドから仕事が来てるぞ。」
俺は一応傭兵ギルドに仮登録される形になった。
ハートも同じ傭兵だから、よく一緒に仕事をしているがギルド支部長に俺がどうやら気に入られたらしく、しょっちゅうボディタッチをされている。
綺麗な大人の女性ならともかく、ガチムチ体格のゲイのオッサンってのが実に嫌だ。
俺に仕事を優先して回してくれるのはありがたいっていえばありがたいんだけど見返りに寝ろとか言われたときはまだこの世界の文字が読み書きできないことを死ぬほど残念に思った。
暇なときは椎奈様のところに行って英奈さんに読み書きを教えてもらっているけど、まだまだきっちりできるわけじゃない。
「今日の仕事はどんなのだ?」
「………ヴィオラのところから…魔法実験に必要な薬品の材料を採取してきてほしいらしい。これが依頼書な、フブキ限定って書いてあるぜご丁寧に。」
へたくそなバフォメットの絵は多分ヴィオラが書いたんだろう。
傭兵と言っても基本的に政情の安定したこのイグノー王国では戦闘の依頼はめったに来ず、来たとしても新米の傭兵としてランクの非常に低い俺はそんなものを受けられる立場にはなく、ただの便利屋のような仕事をしている。
「採取物のサンプルがこれな。文字読めないお前じゃわかんないだろうからもらってきた。」
手渡されたのは灰色をした、人の目玉ほどの大きさの木の実と、裏が紫色の小さな葉っぱ、そして黒く光るコケ。各種十個ずつ集めてくればいいらしい。
「お前は一緒してくれないのか?」
「シイナ様から別口の仕事、鉱石積んだ荷馬車の護衛だってよ。」
このヘラトナの特産品の一つが鉱石だ、火山が生んだ良質の鉱石や宝石、そしてそれを加工して作られる武器や宝飾品は一級の価値を持つらしい。
もともと、サイクロプスのパイもそれを求めてここに定住したんだそうだ。
今パイが作ってくれているらしい俺の獲物も、その鉱石を使って作るのだとか。
つーか、真剣とか作ってないといいけどな、俺は刃物なんて基本的に包丁しか使えないんだし。
「依頼の素材はどこで取れるんだ?」
「町はずれにある森にいっぱいあるってよ、けど気をつけろよ?」
何度か出くわしたんだが、この王国には町に住まず野に暮らし、本能を全く抑制することなく気ままに生きている魔物も少なくない。
そういう連中はだいたい節度など興味がなく襲いたい相手を襲い奪いたいものを奪う。そいつらは傭兵が適当にたたきのめして、できることなら更生させる。前に何人か叩きのめした。
しかし、ハートの気をつけろはそんな連中を相手にするものじゃない。
行く場所がわかってるんだ、ヴィオラたちが何か仕掛けてくる危険もある、むしろハートが心配しているのはそっちだろう、数回トラップも仕掛けられてたし。
「まぁ……発想がガキだから意外にひっかからねぇもんだけどな。」
そう言って、俺は用意をしてから町はずれにある森に向かう。
「うぅぅ……」
「ひどいです…お兄様……」
これで十人。
サバトの魔女及びロリ魔物、ヴィオラを除き全員発見&拘束完了。
俺の外れて欲しくてしょうがなかった予想通り、町はずれの森にはあちこち魔女が潜んでいて、物陰から俺のことを狙っていた。
全員ヴィオラに頼まれてここまで出動してきたらしい、ご苦労なことだ。
ところで肝心の薬の素材はどこにあるのだろう。
「ソーニャ、お前何か知らないか?」
魔女たちの束ね役、薄桃色の髪をした筆頭魔女ソーニャに訊いてみる。
なんでもヴィオラと一緒にヴィオラ派を立ち上げた立役者で、サバトの最古参だそうだ、何かと思いつきで行動する主に苦労しているらしい。同情する。
「えっとですね………そのですね……」
ソーニャの目が泳ぐ。
「ヴィオラ様なら今頃森中の素材を集めて
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