朝起きると、俺が着ている服が制服であることに疑問を覚える。
少し考えて周囲を見回してみるが、俺の見知らぬ風景ばかりがそこに広がっている。
考えること数秒、そして俺は昨日の出来事を徐々に思い出してくる。
俺は友達三人と一緒に異世界に来る魔法を発動させて、そしてこの世界を訪れた、しかし一緒に魔法を使った仲間三人とははぐれてしまい、現在俺はこの家の家主である魔物、サラマンダーのハートに部屋を借りている。
確か今日は彼女がお世話になっているふもとの村の人々にあいさつしに行く日だったはずだ。
とりあえず、朝食を摂ることにしよう。
そこそこ広い家を適当に歩きまわり、十分ほどでリビングにたどり着く。
台所の中を(無論無断で)調べてみるが、食器は見当たっても食材は見当たらない。
どうしたものかと考えていると、俺が目をそらしながらつけたせいでところどころずれた下着姿のままハートもリビングに入ってきた。結局その恰好のまま寝たんだな。
「ん〜……あ〜〜〜……誰?」
どうやらまだ目が覚めてほんのちょっとしか経っていないらしく、寝ぼけ眼のままハートは俺に向かって質問してくる。眠そうに眼をこすって、ふるふると頭を振って、それでもまだ若干眠そうな表情で俺を見据えて、
「ああフブキ、おはよ……」
それだけ言ってハートはリビングから出ていく。
「おはよう。」
とりあえず俺も挨拶を返しておいた。
低血圧で寝起きがよくないのか? なんかちょっと可愛いとも感じた俺は変なのかな。
数分して、ハートが戻ってくる。顔を洗ったらしく表情はさっきよりいくらかすっきりとしていて、髪形も整えられている。
あとで洗面所のある場所教えてもらって俺も身だしなみを整えよう。
とか思いながら、俺はその前にすることを思い出す。
「なぁ、食い物はどこにあるんだ?」
とりあえず俺は一日三食とらなくては気が済まないタイプの人間だから、朝飯をまず食わないことには一日が始まらない。
「あぁ、シイナ様のところでついでに食わせてもらえばいいかなって。」
「シイナ様?」
なんだか日本人のような名前だが、一体誰なんだろう。
「麓の町の町長、二百年近く昔はジパングで偉い人やってたんだって言ってたな、三百年以上も生きてる妖狐のお姉さんだよ。」
麓の村の村長も魔物なのか、しかもジパングって確か昔の西洋人から見た日本の呼び名だったよな? どういうことだ?
とりあえずその疑問は後回しにすることにして、とりあえず洗面所の場所を教えてもらい、出立の準備をすることにした。
家を出て三十分ほど経過。
麓の村がすぐそばまで来たところで、俺たちは青色の肌をして目が一つしかない女性に出くわした。作業服のような色気のない服に身を包む彼女もこちらに気づいたようだ。
「あれ、パイじゃないか、何してるんだ?」
「……鉱石…探し……たまに……いいものがある。」
パイと呼ばれたおそらく魔物の女性は、ハートに声をかけられるとぼそぼそと小さな声で必要最低限の返事だけをした。
「紹介するよ、異世界人のフブキだ。フブキ、こいつはパイって言って、麓の村で鍛冶屋をしてるサイクロプスだ。」
サイクロプス……もっと大きいものだと思ってたけど、そうか人間の男が必要ならサイズもそっちに合わせたほうが都合がいいか。サイズが違っても性行できるなんて漫画の中の話だよな。
「よろしく。」
握手を求めて手を出した瞬間、パイは俺の手首をつかんで捻る。
そのまま大きな一つ目で俺の手の平をじっくり眺めてから、今度は手の甲を観察し始める。
「……面白い。」
何が面白いのやら。
「その手に合った獲物を作る……一週間したら取りに来て……」
そう言い残してパイは山を歩き去っていく。
なんだかちょっと上機嫌そうに見えるのは気のせいなんだろうか。
「気に入られたな、剣の代金に性行しろって言われるかもしれないぞ。」
「なんだそりゃ……」
「サイクロプスってのは大体そうなんだよ、無口で人と関わりを持たずに、最低限のコミュニケーションで済ませるやつばっかり。」
こいつもそうだが魔物娘は大概個性派なのか?
ひょっとしたらまた襲われる危険とかあるのかねぇ……
パイの後を追うように俺たちも麓の村に入る。
「シイナ様のお屋敷はこっちだ、まずシイナ様のところに言ってから、それからほかの皆にあいさつしたほうがいい、私も『シイナ派』だし。」
「シイナ派?」
また聞きなれない言葉が出てきた。
「この町の魔物は二手に分かれるんだよ、って言っても行事のたびに何かにつけて張り合ってるだけでいつもは例外除きみんな仲良いんだけど……」
「それが『シイナ派』と、もう一つは?」
「『ヴィオラ派』だな、ヴィオラはこの町のサバトの親玉だ。」
サバト……また俺のよく知らない単語が出てきたな。
本当に飽きるくらいいろいろこの世界に
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