どうも、知っている方は毎度ご愛護ありがとうございます。知らぬ方には初めまして、法務局のエンジェル、ツィリアです。
私たち実際その時現場にいた当事者がそれぞれ語ることによってクルツの過去の出来事を知っていただこうというこの企画。
先鋒を務めさせていただくにあたりご挨拶を
何? 堅苦しい挨拶はどうでも良いからさっさとしてほしい?
……まったくもって……なぜ挨拶の意味を理解しようとしない……
失礼、まあそうおっしゃるのならさっさと始めさせていただこう。
私は何を語ればいいのかな?
何? 未定だと? 本人が好きなように語っていいのか?
なんだこの溢れんばかりのグダグダ感は……
しかし何を語るべきか……本編でほとんどモブの私に一体何を期待しているんだ……
何? モブだからこの機会に目立っておけ?
ついでにお色気シーンでもあれば最高? 何を考えてるんだ……
私は早い段階ではストーリーが立っていたんだぞ!(廃案になったが。)
まあ、くだらない言い争いは脇に置き、そうだな……
ルミネが語るとおふざけを多分に混ぜそうだし、私が知る限り最も古いクルツが興る直接のきっかけの一つの話をしようか。
私と、のちに魔物の領主となったルミネとの出会い。
それはもう五十年ほど前の話になるだろうか。
当時の私は控えめにいっても途方に暮れていた。
私の使えていた神、いや私を生んだお父様というべき存在は俗に言われる主神だったのだが、私は彼にとある形で反発したのだ。
「魔物を殺す必要はない、手段によっては人と共に、堕落することなく共存することが可能である。」
それが私が彼に提言し続けてきた意見だった。
しかし彼は聞く耳持たぬどころかことあるごとに進言を繰り返す私を嫌い、魔物に味方する愚かな娘として私を天から追放した。
行く場所も帰る場所も失い、人里に近付くこともできなかった私はそれでも彼に対して自分の意見を曲げてやるつもりだけは一向になく、結果としてそのまま人の寄りつかないような土地をふらふらとさまよっていた。
反魔物派で宗教色の強い王国に落とされたのはおそらく意図するところだったのだろう、行く場所が限られ、考えを改める可能性も多分に在った。
そんな時だった、王国のとある土地で、夫と共に旅をしていたルミネに出会ったのは。
偶然ばったり出くわしたというわけではなく、ルミネはどうやら天から落ちて来る私を目撃して、気配を追ってきていたらしい。
「やっと見つけたわ、堕ちてきた天使さん。」
私を見て彼女はそう言った。
服装は何と言うか魔物らしいようで魔物らしくないものだった。
面積は小さい、大事な部分を隠しているばかりのもの。しかししつらえられた独特の装飾はどこか高貴な、貴族的な雰囲気を漂わせていたのだ。
後ろにいる男、つまりルミネの夫リカルドは、今と変わらぬ仕立ての良い黒い紳士服。
対する私の格好はみすぼらしいとしか言いようがなかった。
金髪はところどころ薄汚れて、体を包む羽衣もあちこち破れていた。
「あら驚いた、勘は信じて見るものね、魔物化してないのに天から落とされる天使がいるなんて。」
「私に何の用だ?」
「どうして落とされたか聞きたいのよ。」
「主神に反したからだ、『魔物と人は堕落せず共存できる』という進言を繰り返してな。」
私はありのままをルミネに告げた。別段私は魔物を憎んでいたわけでもないし、聞かれたことに答えないのは失礼に値すると判断したからだった。
「あら、へぇ……神に逆らう天使なんてのがいたのね。」
「これでも私は自由主義者でな。」
冗談を少しだけ交える。
「ふーん。」
ルミネは私の方に近寄ってくると、
いきなり私の腕をつかんだ。
そしてすぐに尻尾を動かし、
危険に気づいた私はルミネに電撃をくわえて離脱した。
「何するのよ……」
不機嫌そうにルミネが言うが、むしろそれは私のセリフだった。
今こいつは私に何をしようとした?
腕をつかみ、尻尾を動かし。
そのハート型の狙っていた先が確実に私の股間であったことに気づいていた。
今はハート型というよりも何と言うか、亀頭型にすら思えてくる。
「それはこちらのセリフだ、今貴様私に何をしようとした?」
「え? 魔物の魔力を流し込もうと。」
信じられん……あっさりと何の問題があるのと言いたげな顔で言い返してきた。
「なぜそんなことをする必要がある……」
尋ねるとルミネは首をかしげた。
まさか別段理由もないのに私を堕落させようとしたのか?
危険すぎる、本当に危ないにもほどがあるぞこの女。
「ん〜 天使は基本的に堅物でまじめでしょ? それじゃ素敵な恋人に出会えないだろうから性欲にちょっと素直になってもらおうと思って?」
「どうして最後に疑問形をつける……」
「後付けの理由だから、ああけど素敵な恋人を見つけてほしいっていう願い
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