ラージマウスについて歩くことおよそ八分、やがて俺たちは広くて明るい場所にたどり着いた、どうやら、天井の裂け目から光が差し込んできているらしい。
そしてそこには、何人もの魔物や、人間の男女が集まっていた。
そして俺に情報提供したおばさんもそこに混じっている。
「おかあ……さん?」
魔物の中でも最前列に立って俺たちを見ていたゴブリンを見たとき、プラムがそう言った。
「プラム、おっきくなったね……」
ゴブリンの女性も目を潤ませて、彼女の言葉に答えた。
プラムが信じられない速さで彼女に駆けより、その板胸に飛び込んだ。
「お母さん、お母さん!」
「よしよし、おっきくなっても甘えん坊なのは変わらないね。」
やはり彼女がプラムの母親で間違いないようだ、結構長い間奴隷狩りを逃れてこんな地下に隠棲していたんだろう。最近では旧王国軍の残党もいることだし、あの家を放棄せず地上で生活することは危険極まりないから、妥当ではある。
どのくらいの期間をかけて作り出したのか、地下の洞窟はかなり広そうだ。
プラムとその母親が感動の再開をしていると、見覚えのある眼光鋭い女性が俺に近づいてきた。
「先ほどはすみません。本来なら最初からここにご案内したかったのですが……」
情報提供の女性が俺に向けて頭を下げるが、事情が分かっているし責める気は俺にはなかった。
「内通者を警戒してのことでしょう? 俺たちの後をつけられここが判明してしまったら今度こそ皆さんは旧王国軍に捕縛される。」
「…………はい、だからこそ、発見してくれる可能性に賭けさせていただきました。入口の一つでありプラムの実家であるあの家の戸を開け、そこに飛び込んできてくださるように下準備だけをして。」
危険な賭けだ、もし上手く行かなかったら俺とプラムが完全に終わっていた。
だが、そのおかげで大事な収穫を得ることができた、クルツを裏切っている内通者が誰なのかもわかったし、旧王国軍と知事に袖の下のつながりがあることも判明した。
証拠を握ることでもできれば最上だったとはいえ、そこまでは高望みだろう。
何よりも、一番大事なこととしてプラムが母親と再会することができた。
本当に心から俺にはそれが何よりもうれしいことだ。
しかしその一方で、気になることもある、彼らのことだ。
「あんたたちは『何』なんだ? クルツとも現王国軍とも繋がりがないみたいだが間違いなく旧王国軍とは敵対してる。そんな派閥は聞いたことがない。」
「そうですね……『避難民』とでも名乗っておきましょうか、正確な集団名はありません、ここレクターンを中心に、周囲の地域でクルツ人に出会うことなく路頭に迷っていたもの、旧王国軍に目をつけられたものが自然と寄り集まってできた集団です。」
女性はそう自己紹介をすると俺に一度頭を下げた。
いくらクルツ人が数人の優秀な人間を募って外邦に困窮者や魔物の捜索と救助、内情調査に行っていたとしてもすべての人間を見つけられるはずはない。
そう言った悪く言えば「漏れてしまった」人たちの中で、少しでも安全に生きられるように自助努力をした集団が彼らなんだろう。
「ここは、天然洞窟なんですか?」
ちょっと聞いてみたかったので聞いてみる、たぶん違うだろうとは思うが、一応聞いてみてもいいかとも思ったからだ。
「いえ、我々が三年以上かけて掘り進めたものです、あの都市で隠れ住むのでは限度があるため。レクターンのスラムに三か所と外の森や枯れ井戸などに三か所の通路があります。」
よくそんなことをして見つからなかったもんだ、足の下で誰かが穴掘ってたら誰かが気にするものだと思うが、意外に気が付かないものなんだろうか。
そういやこの一帯、地下に水脈がある可能性が高い地域なんだったか、勿論この洞窟もどこかで水脈に行きついてるんだろう。
「女王戦争では我々の一部も戦いに参加しました、その時にここにいた多くの仲間がここを去り喪った家族のもとに向かったり、または新天地を目指していったのです。」
「貴方がたはなぜここに? 一緒に去ろうと思わなかったんです?」
寂しそうに語る女性に向け俺は何となく聞いてみた。
「クルツに向かうことすら恐れここにとどまったのは行く宛がないものばかりです、プラムさんの母親。エルテさんはここに残ることを自分で選んだ数少ない魔物の一人ですね。」
そう女性は語ったが俺は違うと思う。
ここを捨てたくなかった人の方が多いんだろう、この国では土地なら少し余ってるくらいのようだから行く宛がなくともどこかほかの場所で生活基盤を立てるくらいならできそうだし、長年みんなで協力して過ごしてきたのなら愛着もあるだろう。
どうやって食事をとっていたのかとか生活をどうやりくりしてたとか聞いてみたいことはいろいろあるがその前に、ハロルド氏やクルツの一行に伝えないといけな
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