プラムに連れてこられたクルツ自治領駐屯部隊の駐屯地、なぜか俺はプラムに連れられてその駐屯地にある大量のテント中を自己紹介して回らされていた。
いるのは殆ど人間で、プラム以外に魔物はいないようにも見受けられる。
人間も多いのは男、女性はあまり力仕事に向いてないと判断されるのか見かけた限りで二三人、むさくるしい環境ではあるけど気のいい人たちばかりのようだ。
一人だけ、妙に睨まれた気がするけどそれは気にするまい。
そしてそれが終わったと思ったら領主代行に呼び出され、少し遅い昼食の席に俺もつくことになった。
「なんか焦らせて申し訳ないね。改めて自己紹介するよ、僕はハロルド、クルツ自治領人間の領主だ。」
俺の思考がフリーズし、食卓を囲んでいた人たちのうちの数人が凍りついた。
「若旦那、冗談ぬかすの止めてください」
「あははは、ごめんごめん、まだまだ現役の父さんを引退扱いするのは失礼だよね。」
若者の一人の鋭いツッコミに対して領主代行は笑って答える。
「話を戻すよ、君はロット・イレント、イグノー王国からクルツにあこがれてはるばる入植するためにローディアナに入ってきた。で、観光半分クルツの情報集め半分に訪れたこの町で襲われてるプラムを助けた。」
「……そうです、そんなところ。」
俺が最後の日と口を口に運んでから答えてもハロルド氏は俺から視線を外さない。なんだか強い目線で領主代行は俺を睨んでくる。疑われてるのが実感できた。
だが俺は疑われるような何かをした覚えはない、そしてまた、周囲の人間は何故かまったく俺たちのことは気にしてないらしい、当事者のはずのプラムですらもぐもぐと自分の食事を頬張っている。
「…………」「…………」
二人して黙って見つめ合っていると、領主代行は手元にあった紅茶を一口だけ飲んだ。
あくまでスピアーズの文献による内容でしかないが、ハロルド領主代行は気さくで社交的な人柄をしていると書かれている、しかし俺の目の前にいる領主代行は何故か少し疲れた、そしてかなり威圧的な目をしている。
「すまないね、つい半年前クルツの領主館が放火されてその犯人がいまだに捕まってないせいで少し気が立ってるんだ、人を疑うなんて、あんまりしたくないんだけど。」
スプーンで一口分のスープを掬い音を全く立てずに口に運ぶ、優雅な所作を見せながら嫌そうに言った。
「領主館に放火………?」
「そう、ツィリアの監視の目が一番効かず、父さんは寝てて、ルミネさんもたいてい外の様子を気にしてない深夜にこっそりと火を放たれた、幸い怪我人は出なかったけど書類が大分燃えたよ。」
ハロルド氏はかなり苦々しげに語る、周囲の皆も同じようにあまりいい顔をしてない辺りそのことは思い出したくなかったのかもしれない。
何より問題なのはクルツ領域内部でそんなことが発生したことだろう。
やっぱり本で読んだ限りの知識だが、俺が知ってる限りでもクルツ入域には特別な条件が必要になる、それが「既に入域して通行証を持っている人間からの紹介」を得て「人間または魔物の領主の審査に基づき通行証を発行される」ことだ。
その条件を満たさずクルツに侵入した人間や魔物はルミネとツィリアの結界に探知され、どこにいようと確実に領域内では探知され捕獲対象になってしまう。
しかし、放火犯はそれをものともせず領主館というクルツの象徴たる建物に放火した。
順当に考えれば、内部犯。
閉鎖的な環境であったがゆえに同胞意識が強いクルツの住民の中に初めて現れた裏切り者。
警戒心は強くなって当たり前だろう、それなら俺に対する態度も納得できる。
けどそれならむしろ、他の「全く気にしてない態度」の方がおかしくはないか。
そう俺が思っていると、さっきもハロルド氏に声をかけた若い男が
「そう気にすることないんじゃないですか? 内域ではランスさんと大旦那、ルミネさんにツィリアさんまで犯人検挙に動いてるんだ、捕まるのも時間の問題っすよ。」
周囲の皆もそれに賛同するように首を縦に振っているが、そんな中でやっぱりハロルド氏だけは険しい顔をしたままだった。要するにハロルド氏以外は自治領の司法をつかさどってきた人材たちの能力を評価して信頼してるわけだ。
「ドヴィー、そう言う考えが隙を作るんだよ。」
ドヴィーと呼ばれた男は「さいでっか」とだけ言って自分の食事を終えると皿を川の方に持って行った。
「今のは?」
「開拓局のドヴィー、この部隊はクルツの人間の中で公務員に当たる人間を業務を停滞させない数選び出して派遣してる集団だから、いろんな業種の人間が集まってるんだよ。」
そう言ってハロルド氏は少し困った顔をする。どう扱えばいいのかわからないんだろう。
そう言えばあのドヴィー、さっき俺があいさつ回りに行ってた時に俺のことを睨んできた奴だったか。
俺の勘違いだとい
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