「ふぅ……いい具合に酔いが回ってきたな……」
あれから数時間が経過した。僕が持ってきた酒もいい具合に減ってきて、酒が減ると同時に酔いも回ってきた。僕らは全員酒にあまり強い方ではないので、かなりベロベロである。
「ダメだ。 みんなゴメン、酔い覚ましにちょっと外を散歩してくるよ」
「「「はいは〜い」」」
少しばかり残してくるのが不安な連中を部屋に残して、僕は外に出る事にした。
「あ、ケルトさんお出かけですか?」
「あ、どうも。 少し酔いが回ってきたんでね……」
出掛けようとして礼拝堂を通った時、双子シスターの髪の短い方、ええっと……リアさんに声を掛けられた。
「最近は遊びに来てくださいませんでしたね? 神父様寂しがってましたよ?」
「それは申し訳ない……僕も色々あったものだから……」
「…………私もさびしかったのに」
リアさんが何か言ったっぽかったが頭がボーっとしてるのとリアさんが小声なのも含めてよく聞こえなかった。
「え? 何か言いましたか?」
「いいえ? 大したことではないので気にしないでください」
本人がそう言うなら気にしないでおこう。
「そういえば……リアさんはエンジェルですよね?」
「はい、そうですよ?」
マリーさん、リアさんの姉妹の種族はエンジェルだったりする。普通、エンジェルには純白の翼が背中から生えてるはずなんだけど……この姉妹にはそれが見られない。服の下に無理やり押し込んでる感じはしないし………。
「ああ、これは人間の中にいても目立たないように消したりできるんですよ」
「へぇ……タニアルといい器用なんだな……」
「…………なんて言いました?」
あれ? 急にリアさんの声のトーンが下がった?
「タニアル……って女性の名前ですよね? 誰ですか?」
「ああ、街の外に住んでるアルラウネですよ。 最近知り合ったんです」
「そうですか…………そうなん……ですか……」
「? あの……そろそろ散歩行ってきていいですか?」
「あっ……すみません引きとめて。 もうすぐそこの扉は閉めるんで申し訳ないんですけど帰りは裏口使ってもらっていいですか?」
「わかりました。 では」
「いってらっしゃいませ」
身体が夜風を求めていたので話を切り上げて外に出た。少しリアさんが気になったが、そこそこ付き合いも長いし、何かあったら言ってくれるだろう。
「これは…………少し警戒するべきですね……街の外……盲点でした」
「うぅ〜ん……やっぱり外はいいな……酔いは覚めないけど」
酒で火照った顔に夜風が当たるのが何とも心地いい、水を頭から被りたい衝動にも一時駆られたが、風邪を引くので踏みとどまった。
明日が店の定休日で本当に良かった。 これでは鍛冶もロクにできないな。
「……今日は満月か……街灯もいらないな」
月明かりの下、自分の両手がくっきり見えるくらいに明るかった。
「ケルト……さん?」
聞きなれた声が後ろからした、ってかタニアルの声そのものだ。
「タニアルか? こんな時間に会うなんて奇遇だな」
確認のために声のした方を振り返ってみると、そこには人目を誤魔化す前の姿の完全なアルラウネとしてのタニアルがいた。月明かりのせいかとても幻想的に見える。
「こんばんは……ってすごいお顔が赤いですよ? お酒飲みました?」
「正解。 今は酔いざまし中だ。 タニアルはこんな時間に何をしてきたんだ?」
「わたしは育てたお花をお花屋さんに届けたんです。 わたしの収入はほとんどこれなんですよ」
確かにあれだけ綺麗な花を育てているのなら金は取れるな……。
「じゃあ少し話をしていかないか? 一人じゃ暇なんでな」
「いいですよ。 もうお家に帰るだけですし」
その後はポツポツと色々な話をした。 もっとも、最近はタニアルとばっかり会ってるから話す事はあまりない。だから自ずと話題は僕の昔の話になってしまった僕の父も鍛冶が得意だったこと、両親は数年前に流行病で亡くなりそれからこの街に来た事、町長のキャラの濃さに心底驚かされたこと。意外にも話題は尽きなかった。
「あと……は……そうだな…………っくし!」
「わっ、ケルトさん風邪引いちゃいますよ。 そろそろ戻りましょう?」
「ずずっ……そうだな。 じゃあな、またいつでも来てくれ」
「はい……あっ、髪にホコリが付いてますよ」
「えっ? ホントに?」
言われて頭を適当に探る、それらしい手触りはないんだけどな……。
「そっちじゃないですよ。 わたしがとるので少し屈んでもらっていいですか?」
「ああ、頼む」
少し膝を曲げてタニアルが頭に触れやすいようにする。タニアルはゆっくりと手を伸ばして僕に近付き……
ちゅっ☆
唇に違和感。
「えっ? ちょっ? タニアル?
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