俺得物語テン

「兄者ーおんぶなのじゃー」

そう言いながら俺に甘えてくる我が妹

「んー?もう疲れたか?」

「疲れてもいるがそれだけじゃないのじゃー」

と、雨が降りそうな空を見てなんとなく理解した

「全く…この甘えん坊は」

「えへへー」

苦笑しながらも、俺は彼女の要望を聞く

―――はじめてあったあの日を思い出しながら

〜〜〜〜〜〜

「ひぐ…えっぐ…」

雨の中、合羽だけを着て泣いている彼女を見付けたのは、偶然だった

周りの連中はなぜか素通りしていく中、俺は彼女に声をかけた

「どうかしたのかい?」

「ひっぐ…ふぇ?」

これが、彼女との始めての出会い

〜〜〜〜〜〜

「あの時は驚いたのじゃ…自分で解き忘れたとは言え、魔術を見破られたのじゃから」

「…家まで我慢しろって言ったよな俺?」

「擬態じゃなくて、本当の手で兄者に触りたいのじゃー」

そう言いながら、毛に覆われた手が俺の首に当たる
―――暖かい

「…手袋っぽくみせろよ?なにかと面倒な事が多いんだから」

「わーい♪」

のん気に喜んでいる我が妹の手は―――まるで獣の手だ
が、そんな事は些細な事だ

〜〜〜〜〜〜

「迷子になったのか…」

「うん…」

そう言いながら不安そうにしている彼女を近くの喫茶店でココアを飲ませながら落ち着かせる
しかし―――非常に可愛らしい

ロリコンの気はないはずだが、惹かれてしまう何かがある

「…あ、あの」

「ん?」

「後は自分で何とかしますから…これ以上迷惑掛けたくないし…」

遠慮がちにそう言う彼女は、無理をしているようだった

「…ばーか」

軽くおでこを小突く

「ふぇっ!?」

「こんなところでさよならできたり今起きてる事を迷惑だとか思えるほど人間腐ってねーの…ちっとでいいからお兄さんを信じなさい」

そう笑いかけてやったら―――大粒の涙をこぼしながら「ありがとうなのじゃ」を繰り返していた

〜〜〜〜〜〜

「んふふー♪」

我が妹君は俺の背中で嬉しそうに鼻歌を歌う

「…角までは出すなよ?マジで面倒な事になるから」

「それはわかってるのじゃ…」

そう言いながら少しむくれている彼女

「…まぁとりあえず肉まん食うか?」

「ピザまんのがいいのじゃー」

より強く俺にしがみつく彼女の要望を聞くために、コンビニに向かった

〜〜〜〜〜〜

「…大丈夫か?」

「だ、大丈夫…」

一緒に歩いたところを探そうと思ったが、喫茶店から出る時足を痛そうにしていた

「…歩きつかれたならそういいな?もう少し休むから」

「…でも…」

早く戻りたい焦りもあるのだろう

「なら…ほれ」

そう言って俺は彼女に背を向けかがむ

「…ふぇ?」

「おんぶすっから乗りな?」

そう言うと、おずおずと俺に乗り始め―――

「あったかいのじゃ…」

そう呟くのが聞こえた

〜〜〜〜〜〜

「いらっしゃ…あぁ、またですね」

いきつけのコンビニに行くと、店員が直ぐに察してピザまんを二つ袋に入れ始めた
…肉まんの気分だったが、まぁ値段変わらないしいいか

「兄者は肉まんなのじゃー」

「あ、失礼しました」

二つ目が袋に入る前に肉まんに訂正する妹
出来た妹です

「では…210円ですね」

そう言われて、お金を渡す

「ありがとうございました!」

「またきますねー」

「またくるのじゃー」

無事ゲットしたし…家に帰るかなと思った瞬間―――

…ポツ、ポツ…

そんなテンポで水滴がつき始める

「ちょっと急いで家帰るぞ」

「わかったのじゃ!」

そう言って直ぐに降りて走ってくれるとこも、出来た妹なのです

〜〜〜〜〜〜

「ここら辺は…きていたはず…です…」

そう言いながら、彼女の指差す方を行ったり来たり

「あ、おいしい…」

「だろ?」

その間にも腹は減るからいろいろ食べたり

「…こんなお兄ちゃんほしいな…」

「ははっ、嬉しい事言ってくれんじゃん」

だが、引っかかっていた

―――この子は、どこから来たんだ?
まるで、別の世界から来たかのように、何も知らない

それに…

「ま、考えても仕方ないか」

「え?」

「なんでもないさ」

この子の頭の方に、たまに角みたいなのが見えた気がする
が、自分が疲れているだけだろう

―――そう考えてるときだった

「見付けましたよ!」

そう言って、小さな女の子数人が彼女に近づく

「大丈夫でしたかバフォ様!」

「おぉ!会いたかったぞみなのもの〜!」

そう言って、小さい子達に抱きつかれている
…なんだこれ?

「あなたがこの方を…ありがとうございます!」

「あ、いえ…別に…」

「うん!兄者はすごいのじゃぞ!」

その言葉に、小さい子達は眼を驚愕させ、彼女をみた

「ば、バフォ
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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33