翌日―――自警団で一晩お世話になった私達は、デューナさんに聞くことにしたナナイの、刀についてだ昨日の訓練で、刀身の半分が砕けてしまい、新しい刀が必要になったからだ「に、しても…」デューナさんは言う「ホント、いい刀だったのね…」「ナナイの、本当のご両親の持ち物らしくて…」詳しくは私もナナイも知らないが、ナナイが小さい頃から大事にしていたのは、私も知っている「…ごめんなさいね。そんな大切な物を…。ナナイ君は?」とても辛そうに言うデューナさん「…今はまだ、寝て「気にしないでください。僕が、未熟なだけだったんです」と、後ろから声がした「ナナイ!寝てなきゃダメじゃない!」まだ体が痛む筈なのに…「僕は大丈夫だよ、ゲヘナ」と、いつも通りに歩いてきている「デューナさん、刀の事は気にしないでください…」そう、気丈に言うナナイ声が震えている「…そう、ね。確かに私じゃ直せないし…そうだ!」辛そうにしていたデューナさんが提案する「あそこなら、きっとこの刀をどうにかできるわ!!」そう言いながら、その場所を私達に教えてくれた・・・目の前に、デューナさんに教えてもらったお店がある鍛冶屋レギンスこの町一番の、武具職人がいるらしい「…身体は大丈夫、ナナイ?」「…僕は、大丈夫」そう言ってはいるが、時折動きが止まっている誤魔化して気付かせないようにしているけど、伊達に長年一緒だった訳ではない「…我慢出来なくなったら、言ってよね?」頷かせて、お店に入っていく「…いらっしゃい」と、中にいたのはサイクロプスだった「あの…」と、私が言おうとした時だった「…これを、直してほしいんです」ナナイは、鞘にしまった状態の刀をそのサイクプロスに差し出した黙って、そのサイクロプスは鞘を抜いて、刀を見た「これは…」そのサイクロプスは、ナナイの刀をじっと見る―――半ばで折れ、ヒビが入っているその刀を「…そう、頑張ったんだね」とても優しい目で、彼女は刀に語りかけるその姿は、まるで我が子に接する母親の様に、優しかった「…とても、良い刀」「ウィナ、お客さんか?」奥から、男性の方が出てきた「ヴァン…」「って、こりゃあ…随分酷使してるなぁ…」ヴァンと呼ばれた方は、ナナイの刀を見て言う「ホント…ここまで酷使された刀は始めてみた…」不意に、ナナイの顔が曇っている「でも…すごくいい使われ方をしていたのね、この子…」不意に、彼女―――恐らく、ウィナさんと言うのだろう―――が漏らす「俺もここまで使い込まれて壊れた武器は始めてみたよ…」よほど大事だったんだな、と刀をみて言う。と、ヴァンさんをジト目で見るウィナさんが言った「…貴方のも…この一歩手前だったわ」それを見てヴァンさんは、タハハ、と苦笑している―――この二人なら大丈夫そうそう、私は感じた・・・「この刀を…打ち直せばいいのかな?」不意に、ウィナさんが聞く「これを打ち直せるのかよ、ウィナ?」ヴァンさんが聞くのは最もだと思う刀身半ばで折れ、残りの刀身部分もボロボロで、打ち直せるのだろうか?「このままだと出来ないけど…同じ金属を使えば、同じ強度で同じ切れ味の刀が出来ると思う」と、ウィナさんは説明してくれた「…ヴァン、鋼と砂鉄の合金お願い」「…妊娠してるのに、よくやるよ」と、ため息混じりに言うヴァンさん「あ、あの…」と、今までなにも喋らなかったナナイが声を出す「あの刀を…もっと、強くすることは出来ないでしょうか?」「ナナイ?」そう言うと、ナナイは床に座り…「僕が未熟だから、あの刀が折れたのは解ってます。それなのにこんな事を言うのも失礼だと思います…。でも!お願いします!その刀を、強くして頂けないでしょうか!?お願いします!」と、突然頭を下げ始めた「お、おい!そこまでしなくても…」ヴァンさんが驚き、慌てふためいているそれも、当然だと思うでも、私には分かる気がした「私からも、お願いします!」立ちながら、私も頭を下げるあの刀は―――ナナイの本当の家族との唯一の繋がり普段は全く気にしない振りをしているが、私は知っているあの刀の手入れの時、とても優しい顔になることもあの刀を持って型を作るとき、ジパングの方を向く癖もだから、私も、あの刀が折れた時、自分の事のように辛かった「…大丈夫。元からそうするつもり」と、ウィナさんが私達に声をかける「ヴァン、ヒヒイロカネと玉鋼も持ってきて」「ヒヒイロカネ?」聞きなれない金属の名前に、ナナイは聞き返す「ん?ジパングの人じゃなかったか…。オリハルコンの事だよ」と、答えるのはヴァンさんん?「「オリハルコン!?」」私達は同時に驚く「…この刀をこれ以上強くするには、ヒヒイロカネや玉鋼、後魔石とかしかないわ」「んで、ウィナが見るには…え〜と…」と、ナナイの方を見る「ナナイ=クレッセント、です」「よろしく、ナナイ君。んでナナイ君の使い方なら、オリハルコ
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