僕は、魔物達に宣言する「これは、聖なる裁きです」彼女達は、彼女の夫達は震え上がる「人間だった頃から、貴方達も同じ事をしてきたでしょう?」その顔は絶望に染まり「それが、自分に降りかかっただけ、でしょう」全てを諦め始めている「仮に、元から魔物だったら、余計に許されるわけがありません」―――あぁ、早く「今、私が」―――僕を、止めてくれ「断罪してあげましょう」―――早く!?「死ね!?」僕は、剣を振り下ろす―――ガキン!?が、その剣は何者かに阻まれ、金属同士のぶつかり合う音を奏でる「…そう、簡単に人を殺したらダメなんじゃないかしら?―――白勇者、さん」「現れましたか」―――来てくれた―――僕は、貴女を待ち焦がれていたんだ「―――黒勇者」・・・〜〜〜いつからか、教団内で噂になっている存在がいた白銀の髪と翼をもつ、黒い衣の剣士魔物達からは、尊敬と、教団への哀れみをこめて、こう呼ばれていた―――黒勇者、と〜〜〜「…で、また邪魔をするのですか、貴女は」内心では、邪魔をしてくれたことに感謝しながら、彼女に言い放つ「貴方が、本当に勇者として活動してくれれば、私も邪魔はしないわよ」彼女は言いながら、その細身の剣を構える―――美しい僕は思わず思ってしまう―――その、弱き者の為に戦う姿も―――その、華奢ながらも凛とした闘志も―――隙もなく構える、その姿も全てが、僕には美しく見えた「…貴女ならわかるでしょう?人間と魔物は相反する存在。互いに憎みあい、殺し合い、滅ぼしあうのが本当の姿だと」そんな、思いもしていないことでも、言わなければならない―――僕は、勇者なのだから「…それを本心から言ってるなら、もっと簡単に倒しやすいのに」彼女に対して、僕も構え始める彼女の剣と違い、太く、一見すると板にしか見えない、長方形の僕の愛剣を「…っと、もういいかな?」と、彼女を中心に魔方陣が展開していく「!?…させるか!」意図に今更気付いた僕は走り出し、彼女に斬りかかるが、それでも間に合わず「―――ごめんね、次こそは」彼女は、村人達とどこかにいってしまった・・・『また任務に失敗したのか!?』「申し訳ありません、大司教」僕は任務の結果報告をしている僕を管理している大司教に『貴様、何度失敗すれば気が済むのだ!?それでも洗礼を受けた勇者か!?』僕は何もいえない『この役立たずが!?』と、持っていたコップをこちらに投げてくるが、当たらないそもそも遠隔通信の水晶越しなのだから当たり前だ『貴様ごときの為に、騎士団まで使わせているのだぞ!?』「真に、申し訳ありません」そもそも、僕の考えと似た騎士団なので、教団でも階級も待遇も劣悪だが『そんな事だから、村も壊滅し、親に売られるのだぞ!?「No.93」!?』「!?…仰る、通り、です」『もっと励め!?もっと教団の為に働け!?それ以外、貴様に存在価値なんぞないのだぞ!?』そう言って、一方的に通信を切る大司教「…終わったかい、大将」「今、終わりました…」声を掛けてくれたのは、騎士団の騎士団長を務める、フォーエンバッハさんだ彼は、今の教団に疑問を持つ、数少ない騎士の一人だが、魔物に弟さんを殺されたか奪われたかしているその為、魔物を敵として見ている部分もあり、その事で苦しんでいる―――いや、彼だけじゃない僕が率いる、フォーエンバッハさんの騎士団『第7自由騎士団』には、同じように魔物に何かしらの考えを持って苦しんでいる人が殆どだ「…大将、仕方ないことですよ。そもそも今回ばかりはあの黒勇者の言う通りだと思いますぜ」「ですが、彼らは魔物と共に…」そう言って、僕らは無言になる「大将、このままだと「解っています」僕は遮り、彼に言う「次こそは、黒勇者もろとも、魔物を退治し、任務を完遂します。…それが勇者である、私の存在価値ですから」「…俺が言いたいのはそうじゃなくて!?これ以上はアンタの心が「そんな物は、必要ないんです」また遮り、彼に告げる「私に必要なのは、任務を完遂する事。それ以外なんて…なにもいらないんです!?魔物を殺す以外なんて、必要ないんですよ僕には!?」息を荒げながら、僕は続ける「僕には!?そうして貴方達の地位も向上させないといけないんです!?魔物を一人残らず殺しきらないといけないんです!?それ以外の存在価値なんて!?いらないんですよ!?」「大将…」「…醜態をさらしました。私は鍛錬をする為に外に居ます。…他の方は休ませて上げてください」「でも、アンタがいちば「これは、命令です」彼が言い切る前に、命令とだけ告げ、僕は外に出た・・・外に出てから、僕は素振りをする雑念を、魔物化した人を見捨てられるように、心を強くするために「ハッ!?…セイッ!?」そして、僕の心に奥にある、僕の戦う理由を、思い出す為に〜〜〜〜〜〜元々、僕は南の地方の小さな村の住人だった父と母と、仲良く暮
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