―――ふと、いろいろな事を振り返る
私が関わってきた、沢山の人達
みんな、それぞれの幸せがあって、それぞれで笑いあって、愛を育んでいって―――
そんな素晴らしい事に関われた私は、恐らく姉妹の中でも幸運なほうなのだと思う
勿論他の姉妹達色んな事をしている
旅をして人生を学ぶ姉妹も居れば、たった一人の人のために全てを投げ打とうとする覚悟を持った姉妹も居る
デルエラお姉ちゃんのような姉妹も居れば、そうでない姉妹も
私は、やはりとても幸運なのだろう
これだけ素晴らしい姉妹が居て、尊敬できる両親がいて、そして―――
そうやって日記を書いていたら、トントン、とノックする音が聞こえてきた
「どうぞ」
ノックの主を招き入れる
「…仕事お疲れ様」
そこには、私の愛しい旦那様がいた
「んーん、日記書いてただけだよ」
「そっか…そろそろ飯いかねぇか?」
私の愛しい旦那様はそう言いながら片手にバイクのヘルメットを持っている
―――一緒に食べに行く準備はもう出来ているのだ
「なら…ラーメン!」
「お前…クリスマスくらい別のもん食おうぜ?」
「やだ!貴方とラーメン食べるの!」
日記帳を閉じてしまい、彼に飛びつきながら話す
「おっと…全く、しかたねぇなぁ」
「無理して背伸びして高いレストランなんか行かなくていいの!私は貴方と食べるご飯なら何でも美味しいんだよ」
「…そう言ってくれると、ホントありがたいけどな」
でも、と彼は続ける
「男には見栄を張りたい時があるんだよ」
―――見栄なんか張らなくてもかっこいいのに
そんな事を思いながら、私は彼の手をとって歩き始める
「そんなの張らなくても、貴方はそのままが一番だよ!」
〜〜〜
あの日―――
もう何十年前になるか覚えていないあの日
あいつが俺を助けてくれたから、俺はまだ生きている
あの日、俺を必要としてくれたから
あの日、俺を救ってくれたから
あの日、俺の手を握ってくれたから
自惚れでも構わない
俺は堂々と、胸を張って言い切れる
俺は、なんて幸運なんだろう
俺をこれだけ思ってくれて、いつも可愛らしくて、おっちょこちょいで、でも俺を安心させてくれる笑顔を向けてくれる女と、一緒に居られるのだ
これが幸運といわずなんと言えるだろうか?
あいつと出会って、俺は年を取らなくなったけど
それでもあいつと歩んできたこの何十年は俺の中に確実にある
―――あいつは見栄を張らなくて良いと言ってくれたが、これだけは譲れない
何回目になるか解らない、プレゼントとプロポーズ
もう結婚しているのだから必要ないのはわかっている
だが、何回でも口説き落としたくなる女を口説かずにいるのはやっぱり物足りない
『そんな事しなくても良いのに』
そう言いながらはにかんでくれるあいつの顔がもう目に浮かんでいる
「―――シンヤ」
「ん?どうしたソフィア?」
えっとね、そう言いながら照れたように笑う俺の妻
―――あぁ、やっぱり何度でも
「大好きだよ!」
「…俺もだよ」
惚れ直しちまうな
〜〜〜〜〜〜
『こんな日常(幸せ)が、いつまでも続きますように!』
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