テロリストの末路

これは、ある青年の行き着いた末路である

〜〜〜

「さて…ついに人生二度目の彼女がいるクリスマスなんですが…」

青年は食堂らしき場所で働きながらそう呟いた

「何故俺は食堂で皿洗いをしているのか」

「他の職員の休みが重なったから」

「クリスマスデートが職場の食堂な件について」

「良いから食器を洗う」

そう答えるのは青年の彼女だ
だが、彼女は人間ではなかった

―――この世界には、少なからず魔物娘という人外が居る

彼女はそんな人外の「サハギン」という種族なのだ

サハギンは慣れた手つきで食材を刻み、調理し、盛り付け、食堂に来た人達(殆どが魔物娘だが)に提供していく

『皿洗い得意?』

―――彼女に聞かれ『そこそこ』と答えた青年
結果、クリスマスは一緒の職場での労働となっている

とは言っても、今まで彼女がいなかったのだ
それに比べたら対して辛くは―――

そう思っていたが、友人たちが彼女の魔物娘とイチャイチャしているのが見えた
…彼は心の中で血涙した

―――そもそも、彼も含んだかなりの数が、クリスマステロやヴァレンタインテロで魔物娘と出会い、伴侶になったり恋人同士になったのが大半だ
今日もその為に色んな人間が動いている

その為に、自分も食堂に呼び出されたのだが…

「他の友人があそこで彼女とイチャつく中、俺は皿洗いか…」

「それを言ったら私も仕事中、つまりお似合いカップル」

「家の彼女が出来てて俺が不甲斐ない件について」

「やーいやーい」

その言葉にいつも通り反応し、彼女のほっぺを軽く引っ張る青年

「…まぁ、いつも通り過ごせてるのが一番なのかな?」

「それが一番。…食べる?」

気が付けば、食堂もひと段落ついたようだ
サハギンがどんぶりに蕎麦を入れて言う

「あ、食う食うー。俺てんぷら蕎麦が良いー」

「残念ながらてんぷらはない」

「マジで?」

「カツならあげといた」

「家の彼女が有能すぎる件について」

「もっと褒め称えるが良い」

「訂正、家の彼女が調子乗りな件について」

「お互い様」

そう言って、誰も居なくなった食堂で二人で食事を始める

「ここの会社の食堂、下手なビルより高い場所だから高級レストランと変わらんのよね」

そんな事を言う青年

「…どうでも良い」

すっぱり言い切るサハギン

「貴方とご飯食べるなら、どこでもいい」

そのストレートな言葉に、照れる青年

「…」

突然、サハギンが身を乗り出し―――

チュッ、と音がした

「ほっぺについてた」

「お、おう…ありがとうな」

突然の行動に固まる青年
と、サハギンの顔を見ると、彼女もほっぺについていた

青年もサハギンに感化され―――

「お前もついてた」

「…ありがとう」

同じ行動をとってみた
すると、どうだろう

顔を少し赤くした、いつも通り可愛い彼女が目の前にいた

〜〜〜

―――こんな日常(幸せ)が、いつまでも続きますように







15/12/24 00:45更新 / ネームレス
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