―――ワイワイ
―――ガヤガヤ
沢山の人で賑わい、みんなが楽しく酒を飲んだり料理を食べたりしている
それはとても楽しく、好まれるものだろう
「よっ!飲んでるか!?」
「あぁ、楽しく飲んでるよ」
友人が僕に話しかけてきた
彼には感謝しないといけないだろう
この飲み会も、僕のために開いてくれ、今でも心配してくれているのだから
最も、彼の好意は私にとって、余計なお世話になっているのもまた事実だが…
「で、良さ気な娘は居たかよ?」
「…」
「…ハァ〜」
彼はため息をつきながら言い始めた
「いや、お前の気持ちもわかるよ?でももう新しい出会いに目を向けても…」
「…君には、僕のこの気持ちだけはわからない」
向きになって、強い言葉を使ってしまった
が、どうしても言わなければならなかった
「彼女以外考えられないんだ」
「…どうしようもない馬鹿野郎だよ、お前はさ」
そう言いながらも、彼は理解してくれている
彼は僕と彼女との事をよく知っているからだ
「死んだ女をいつまでも思いながら、ずっと一人でいるつもりかよ?」
「そんな馬鹿が一人くらい、いてもいいだろ?」
「…参った、馬鹿野郎じゃなくて、とんでもない大馬鹿野郎だったか」
「ありがとう、最高のほめ言葉だ」
そう言いながら、互いに酒を飲む
「すみませーん、コープス・リバイバー一つ」
彼が店員にあるカクテルを頼む
持ってこられたそのカクテルを私に渡した
「意味は『死んでもあなたと』だってよ」
「…なるほど、僕にはぴったりだね」
そう言いながら、カクテルを飲む
・・・
彼女と出会ったのは、いつだろうか?
彼女とは幼馴染だった
気が付いたら、一緒にいる事が多かった
小学校、中学校、高校―――
気が付いたら、大学でも一緒にいる事が多かった
お互いに、性的な意識はしてなかった
なかったが、お互いに居心地が良かった
互いに、別の人と付き合ってた時期もあった
それでも、お互い、気が付いたら一緒にいる事が多かった
そして…気が付いたら僕は彼女が好きになっていたんだ
それは彼女も同じだったらしい
なぜなら…お互いに意識した日に僕たちは結ばれたからだ
―――これが、僕たちの幸せの絶頂だったのかもしれない
僕たちが結ばれて、1年か2年たったある日の事だ
彼女が交通事故に巻き込まれた
事故を起こした相手も、その事故で死んでしまった
原因は長時間労働、長時間運転による注意力散漫だったらしい
僕にとってはどうでもいいことだった
事故に巻き込まれた彼女は、植物状態で辛うじて生きていた
生きていたが、彼女は眠り続けた
事故を起こした会社から多少の金銭はもらったが、それでも、植物状態の彼女を生かし続けるには、莫大な費用が掛かる
僕は働いたお金や、貯金の殆どを使ってでも、どうにかしたいと思った
けど、彼女の両親は―――彼女を生かすのを諦めた
『気持ちは嬉しい、君が娘を愛してくれて、本当に感謝している。けど…それで君の人生を縛ったら、娘は悲しむ』
だから、諦めてくれ―――
泣きながら、彼女の両親は僕に言った
僕は、頷くしか出来なかった
・・・
それから、僕は彼女の事が忘れられなかった
忘れられなくて、一人で暮らしている
見かねた友人が今回みたいに、合コンみたいなものを開いたりしてくれているおかげで、人との繋がりは切れないでいた
だが、新しい恋人を作る気は起きないし、彼女を忘れる事ができないでいた
「今のお前をみて、あいつが喜ぶと思うか?」
「喜ばないだろうね」
「なら幸せになる事を考えろよ!」
「…これは、僕の意地なんだ」
友人と何度も交わしたこの会話だ
「何度も言った通り、僕は彼女と生きたかったんだ…できないなら…一人でいい…」
彼とは高校からの付き合いだが、僕と彼女の事をよく知っていてくれている
彼女との結婚式での仲人を頼もうと思ったくらいだ
「…でもよ!あいつの事も考えてやれよ!お前を束縛して喜ぶわけ…」
「わかってても…どうしようもない事があるんだよ」
そう言って、僕は変える準備をし始めた
「ごめん…やっぱり二次会は出れない」
「…いや、俺もわかってたはずなんだけどな…毎度おせっかい悪いな」
その言葉を背に受けて、僕は店を後にした
〜〜〜
「くっそ…どうしたら良いんだよ…」
幹事を務めた男性は頭を悩ませていた
彼の友人、いや、親友と言っても過言ではない人物の幸せのためにはどうすればいいのか
理想を言えば、彼の恋人が生き返るとかなのだろう
が、そんなことはできない
そんな自然の摂理に反することができたら、とっくにやっているだろう
だが、現実はどうだろうか?
そんな事はできない
だったら新しい出会いに
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