手紙である。
グローバル的に言うならばletterである。
携帯情報端末などが普及したこの時代、個人が紙を媒介にしてモノを伝えるなんぞ非効率極まりない。
しかし、その手段でしか味わえない言葉の重みを受け手は感じるだろう。
いや、感じている。
たった今、この場所で、俺が!!
テンションが上がってしまったが、致し方ない。
そりゃ嬉しいだろ!?
初めてのラブレターだぜ!?
幸い周りに誰も居ないのではち切れそうな胸の疼きに耐えられず、その場で開けて読んでみた。
詳しい内容は伏せるが、可愛い字で今日の放課後に屋上にきてほしい、とのこと。
差出人の名前は書いてなかった。
こやつ、この齢にして焦らしを駆使するなんてっ…!?
ハッハッハ美羽め、俺がモテないとか抜かしやがって。
他の子は俺のことをちゃんと見てくれてるもんねー。
とか考えながら教室に入って席に着くと、後ろの渡部康太が話しかけてきた。
「なんや、にやけたキモい面してんな、なんかあったんか?」
「バカ、声でけえよ」
お、美羽達が来た。
ん?ちょっと待てよ…
このことを美羽に聞かれたらどうなるんだ?
アイツのことだ…
「え?ラブレター貰ったの?へぇ、物好きもいるもんね。何、もしかして嬉しがってんの?マジ?キモッ、童貞丸出しじゃん!!キャハハハハッ」
からかわれるビジョンしか見えん…
アイツだけには知られてはいけない
でも、なんだろうか
そんな事も関係なしに知られたくないな…
「おーい、何があったんか教えろや〜」
まぁ、康太には自慢するか。
「えー、斯く斯く然々、ラブレターを貰いました。」
「なんだと!?ラブレターをもr「声でけえよ!!」ゲシッ
取り敢えず黙らすことに成功したが、美羽がチラッとこっちを向いた。だがまたお喋りしだした。良かった…
「げほっ、げほっ、ホンマ容赦ないなぁ、自分」
「てめえ自身のせいだろうが!」
「まぁまぁ、健司抑えて抑えて。康太も反省してるようだし許してやったらどうです?」
と白井潤一郎が爽やかな微笑みを浮かべ、俺の横の席に座りながら仲裁してきた。
「しゃーないな〜、白井がゆうならほこを収めたるわ」
「それ俺のセリフだからな!?」
ちょっと殴り足りなかったらしいな。
「そんなことはほっといて、白井が白川とこうへんなんて珍しいなぁ」
「ええ、今日は珍しく沙耶様は早起きをしなさって先に学校に向かわれましたからね。私も一緒に出ようとしたのですが、何やら急いでいたようで置いていかれました…。」
なんか落ち込んでるな
因みに白井と白川は同じ神社に住んでいて、白川は巫女として奉られていて、白井はそのお世話係をしている。なんとその関係は1000年前から続いているとか。
「で、どうしたのですか?さっきラブレターがどうのこうのと…」
「せや!聞いてえな、こいつラブレター貰いよってん!!」
「だから声でけえっつってんだろうが!!」ゲシッ
しかし今度は、美羽には聞かれてしまったらしく
「なんですって!?」
と俺の席を叩きながら言ってきた。
っつうか、いつのまに横にいるんだよ…
「い、いや、あれだ。らぶれ…、そう!康太がラブレーの本に感銘を受けたんだよ!」
「渡部がガルガンチュアとパンタグリュエルの物語なんて読むわけないでしょ!!」
やけに詳しいな…。
「みう…じゃなくて、西田、地が出てるぞ」
西田というのは美羽の名字だ。
中学くらいの時、
「学校では名前を呼ばないで!アンタと変な関係に思われるなんて虫酸が走るわ!!」
と言われて以来公の場では他人のように接している。
さっきの白井白川関係の説明せいで酷く聞こえるな。
実際に酷いが…
だけど今回は美羽がいつもの口調で喋ってきたから思わず名前で呼びそうになった。あぶね〜。
え?もう呼んでたって?
…頼む、美羽には言わないでくれ…っ!
まぁ、ともかく美羽は猫かぶりを忘れるくらいテンパっていた。
「そんなことどうでもいいわ!差出人は誰なの!?」
「何で言わなきゃいけないんだよ」
「うるさい!早く教えなさい!」
「嫌に決まってんだろ!」
と言い争っていると
「西田さんはなんで教えて欲しいのですか?」
と白井が言った。
「そ、それはアレ、コイツの魔の手からその子を救い出すためよ!」
「でもその子は放課後に呼ぶくらいやし、健司の魔の手にかかりたいから手紙を書いたんとちゃうん?」
と今度はいつのまにか復活していた康太が言った。
「うっ…、い、いやほら下駄箱を間違えたかもしれないじゃない!」
「いや、俺の名前書いてたよ、健司君へって。それより魔の手ってなんだよ、この子は本当の俺の姿を見てくれているかもしれないじゃな
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