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[ 《 撃破された 》 : [ ひ、ひどいよぉ… ] ]
放り投げられたみたいに宙を舞う機体。
撃破されたのだ。
あたしをやったのは。
その向こうに見える、青い残像を纏った、馬鹿でかい大剣。
SW-ティアダウナー。
――ああ。やられた……!
くらげみたいに力を無くしたあたしの機体。
大 破
あっさりと爆発四散。
フレームだけが残骸として残る。
大破。
くそ。
何て奴だ。
全く。
この局面で、魔剣振り回して防衛なんて……。
「――っ、ああ……」
溜め息。全身から、一気に力が抜けてゆくようだった。
何だか疲れた。この試合も、もうすっかり負け確ムードだ。
ま、いっか。最後の最後で、奇襲賞には一歩近づいたわけだし。
長い事画面を凝視していたせいか、少し目が痛む。
背もたれに身を預けて、あたしはそっと目を閉じる。
[ RECEIVE ( FROM: ENEMY | KILLED YOU ) ]
[ 《 敵機撃破 》 : [ よし、敵機撃破! ] ]
そして開く。
KILL CAMERA ( NAME ) 」
【〈 SS5 〉】
男大好き@ショタ
恋する悪魔
使用武器> SW−ティアダウナー
/
ちょうど、あたしを倒した敵の機体がキルカメラに映されたところだった。使用した武器、名前、そしてキャラクター・グラフィックが表示されている。その馬鹿みたいな名前よりも先に、思わず、あたしはそのグラフィックに目を奪われた。
まるでサキュバスみたいな格好のキャラクターだった。上目遣いめにこちらを見つめる、幼くつるりとした顔はまるで少女そのものだが、血のように赤いメッシュが前髪に入れられた金髪のショートヘアは、敢えて乱暴にハネ上げられ、ボーイッシュさを醸し出している。かと思えば、左右で色の異なる、ルージュとピンクのフェイスペイントが目元に入れてあって、少女然とした顔立ち、少年然とした雰囲気の髪型と対照をなし、キッチュに、デカダンに女性らしさを煽り立てていた。
首と手首には、継ぎ目もなく、線の細い身体には不釣り合いな程堅牢で、更には鋭い棘まで付けられた黒鉄の枷が誰の手によってかはめられ、何か後ろめたい、善からぬ想像を抱かせる。自分の胸を気にするように指を開いて胸元に添えられた両手はか細く、力ないが、一方でその爪には抜かりなく血のようなマニキュアが塗られている。
そして、身につけているのは、ボロボロのヴェストのように背中から両胸にかけてのみを覆い、胸の合間を大きく露出した、濃い紫の布地のみであり、白磁器のような肌に悪魔的なイメージを纏わせつつ、それ以上に、総体としてパンキッシュで背徳的な雰囲気を漂わしていた。
だが、頭頂に生えた一対のヒツジを思わせるくるりと丸まった角が、そして背中に畳んだ巨大で禍々しい紫の蝙蝠の羽が、これらがコスチューム・プレイでもファッションでも何でもなく、これこそが本来の姿なのだと、その人外なる身、その悪魔たるを、何よりも雄弁に、強力に物語っていた。
飽くまでも幼く、性的な魅力よりもむしろ可愛らしさを香わせる顔と、染みの一つとしてなく、まるで膨らみのない胸は正に少女のそれであり、しかしその衣服としての機能すら怪しいまでに性的アピールを追求した装いや、細やかに隙のないメイクアピール、そして人の身には決して備え得ない角と翼は、男を誘い、惑わせ、そして堕落の道を寄り添う、サキュバスの証左であるように思われた。
少女の形をした、サキュバス。
――そうとも。
これだけなら、何も問題などなかったのだ。
むしろ、あたしは密やかなる我が布教活動の功績の一つ、あるいはささやかなる同人の信仰告白、支持表明として、これを静かに喜ぶのに違いなかったのだ。
もし、
これが、
少 年 でさえ、
なかったのなら。
「……ぁぁぁぁぁあああああっ!? ぐっ、えふッ、けふッ――、
な、な――、
何の冗談だ、これは!?
よりによって、奴にか、少年に、悪魔なのかっ!?
おのれ、少女アバターを差し置いて……!!
何故、少女じゃなく、少年になんだっ!?
[ RECEIVE ( FROM: GRF OPERATOR | HILDA ) ]
[[ 《 出撃兵装選択 》 : [ 兵装を選択してください。 ] ]]
当てつけか! 少年が
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