#:1 -1
[ RECEIVE ( FROM: GRF OPERATOR | HILDA ) ]
[[ 《 戦況報告/僅差 》 : [ 戦況は予断を許さない状況だわ ] ]]
オペレータの頓珍漢極まる戦況報告が飛び込んで来た。
ああ、全くお笑いだ。『予断を許さない状況』だって? あたしは繰り返した。
もちろん、口には出さずに。
[ 敵陣急襲 [貢献 +1pt] ]
戦線は総崩れだった。
作戦開始から100秒と少し経たない間に、河底の鉄床たるプラントB、Cを制圧され、ばかりか『難攻不落の』防衛拠点のはずだったDを中立化された友軍は、プラントD陥落だけは何とか食い止めつつ、それと同時に、ACの推力を最大限に活用し、壁から壁へと飛び回る忍者と見紛うようなルートを、誰にも追いつけない速度で変幻自在に駆け巡っては、ベースにどかどか飛び込んで特攻じみた突撃をひっきりなしに仕掛け続ける、蝗の群れのような敵強襲部隊を迎撃するという、気の狂った二正面作戦を強いられていた。
[ RECEIVE ( FROM: GRF OPERATOR | HILDA ) ]
[[ 《 味方コア被害増大中 》 : [ コアの損傷、さらに拡大! ] ]]
――悪夢だ。
どうしてこうなってしまったのか。何度かここに来た事はあったし、こちら側が割合に不利な位置に拠点を構えた事ももちろん知っていたが、ここまで迅速、かつ見事に押し込まれた経験はあたしにはなかった。一体どれほどの不運と偶然と人為的ミスがこの場に集積されたのか、はっきり言えばあたしには見当もつかなかった。
これで『予断を許さない状況』? 馬鹿じゃないのか。あたしはもう一度罵った。当然、心の中で。……まあ、どうせオペレータなど、どいつもコアゲージしか見ていない事は分かり切っているので最初から誰も当てになどしていないのだが、その呑気極まる戦況コメントが前線の士気に及ぼす影響は、それでも割と無視出来ない。
ここから戦線を立て直すなんて、もう絶望的と評しても全く大袈裟にならない。余程の奇跡でも起きなければ。
だが、希望は完全に潰えたのかと言えば、そうでもない。
そう。その『余程の奇跡』とやらを、起こしてやればいいだけの話だ。
[ RECEIVE ( FROM: GRF OPERATOR | HILDA ) ]
[[ 《 ベース内敵機侵入 》 : [ 敵がベース内に侵入! ] ]]
敵は今も怒涛のような突撃であたしの友軍を蹂躙している最中だけれど、一方で……この突撃という戦術は、前方に捉えた攻撃対象を注視する余り、どうしても側方及び後方への視野の狭窄を避け得ない、という肉食獣じみた一面、あるいは副作用と言うべき特性がある。これは、特に反撃を試みる者においては、その決定的な成功のために考慮すべき重要な要素である。
突撃に対する防御に充当するため、こちらの戦力はその大部分を割かざるを得ないし、既にベースを背にし、後退による戦線再構築もままならないこの状況下で、敵の間断ない突撃に晒されたまま態勢を立て直し、その場から大々的な反撃に転ずるというのは、まあ不可能ではないにせよ、大きな困難と出血を伴う。
これらの条件から、攻撃に参加可能な戦力単位は必要最小限にまで限定され、必然、選択可能な戦術も限られる。投入戦力対効果比から考えれば、選択されるべきは少数機での隠密潜入によって敵後方を奇襲、敵主力の混乱の隙を突いて守備部隊が逆襲に転じ、一気に敵攻勢勢力を粉砕する浸透戦術しかなく、隠密裏での敵地潜入が要諦となるこの作戦の実施のためには、図らずも敵の注目が友軍守備部隊と自軍ベースに集中するこの瞬間に乗じるのが最善のタイミングとなる。
――早い話が、お前ら突撃してるのはいいけど前の見過ぎでお背中ガラ空きですよ。
って、敵に耳元で囁いてやるための、親切極まる作戦なのだ。
#:1 -2
[ RECEIVE ( FROM: GRF OPERATOR | HILDA ) ]
[[ 《 味方コア被害増大中 》 : [ ベースが猛攻を受けているわ! ] ]]
[ 敵陣急襲 [貢献 +1pt] ]
そういった事情で、あたしはベースに破竹の勢いで突撃を仕掛ける敵軍の横をすり抜けるようにして、無事見つかる事無く敵地への浸透に成功し……たった一人でその真っ只中、プラントAのある西岸遺跡の北東開口部にいる。これで作戦の第一段階をクリア。2秒ほど盛大にACを吹かして、目前に捉えたプラントAへ駆け込む。今まで警戒しつつ進んできた分、もう一刻の猶予もなかった。……ふと見上げれば、敵
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録