「は、早くすませなさ、いひぃぃ!」
森の木陰でヘルゲが求めれば、すぐさま腰布を巻くって下着を脱ぎ、熱くなった己の淫裂を差し出し、ヘルゲの肉棒を受け入れる。
フリストはあくまでも、性交に対して事務的にあろうとしたが、快楽がそれを許さない。どれほど毅然を己に律しても、漏れるのは嬌声ばかりで、脳髄を掛けるのは快楽の電流のみなのである。
もし、ヘルゲがフリストをただの雌だと見下せば、敵愾心と自尊心で以前の自分を保てたかもしれない。
が、この点ヘルゲはあくまでも素直で、自ら組み敷いて犯したフリストに対し、変わらず師の礼を以て接した。
ヘルゲにすれば、
(フリストはやはり、俺なぞより余程上の生き物なのだ)
という実感を、眠ったフリストの肢体を撫でた時に持った。男の敗北した女の貌を見せようとも、それはフリストの一面であって全てではない。一面だけで全面を語るなどとは、万事笑止なことである。
ヘルゲはそういう小賢しい理屈を捏ねるほど弁才も語彙もなかったが、フリストのどんな姿を見ても、彼女が自身の師であることは変わらないという、犬のような悲しい習性を持っていた。
結果、フリストに対していたわりも尊敬も変わらず、フリストが真剣に怒る時は、情事の時が嘘のように丸まって平伏するのである。
だから、フリストもヘルゲに対して敵愾心を抱くことも出来ず、自身を保とうという気持ちはついに、なんの拠り所も見出せず宙ぶらりんになった。
ヘルゲは無論、そんなフリストの心事には気づかない。
ただ、肌を重ねることでフリストをより身近に感じ、親しみが生まれ、それらが性交を重ねる度に深くなっていった。男としての習性なのだろう。
「辛くありませんか、フリスト」
情事の度、ヘルゲはフリストの耳元でそう囁く。
フリストはそう問われること自体が屈辱であったが、反面、悪い気はしない。いたわりやねぎらいといったものが善意から生ずる場合、人はなかなか不快にはならないものである。
なによりも、ヘルゲは逞しくなった。
ファーヴニルの一件とフリストの情事を経てから、ヘルゲは精神的に逞しくなり、敵に対しても怯えず、フリストに対しても畏れすぎず、一人の男子として見違えるほど成長した。
当然、師のフリストとしても喜ばしい。
そういう、複雑な心境のまま、フリストはヘルゲと肌を重ねていく。強烈な快楽がその度にあるのだから、フリストは性交を嫌おうにも嫌う理由がない。あるとすれば、
「わたくしが、情事を好むような淫売になって堪るものですか」
という極端な偏見に満ちた、清潔感による嫌悪があった。いや、正確には嫌悪を自身に課そうという心の動きであったろう。
が、それらもやはり、性交の度に、
「ふぎひいぃぃ!」
強烈な快楽に上書きされていく。
腰を打ち付ける度、面白いほどフリストは哭く。
ぱつん、ぱつん、と、充分な湿り気を持った肌と肌がぶつかり合う音がする。ヘルゲが腰を動かすと、その動きに合わせてフリストも動いているのだ。
「むあああ! あ、あっ、ああ!」
最早、奥歯を噛んで嬌声を堪えようという試みすら行われない。
無駄だと、フリストは頭で自覚している。どれほど耐えようと、ヘルゲのもたらす快楽は自身からあられもない声を引き出してしまう。
「あ、あはぁっ! ん、ん、んあ・・・・・・あくっ、ふ、ふ、んん!」
ヘルゲの愛撫は、熱心だ。
腰を打ち付ける時は単調にならぬようリズミカルに、激しすぎず緩すぎない。更に、手でフリストの乳房や背中を愛撫する。
(声も、受け入れよと仰せになる。わ、わたくしは一体、なんのために・・・・・・?)
快楽で阿呆になった頭が、フリストに耐える意義を見失わせる。
それもそうだろう。
耐えようという気概は、単にフリストのプライドから生じるもので、論拠というものはない。それも、ヘルゲを憎からず思ってしまっているのだから、拠り所などと言う大層な代物には成り得ない。
「は、はぐっ、ぅ、うひぃ! ひ・・・・・・ぁ、あ、はあん!」
膣壁を肉棒が擦る。柔らかく熱く、きつく締め上げる性器の攻めに、腰を律動させるヘルゲが思わず悲鳴をあげた。
「ぐう! ふ、フリスト、悦んでください! 私は貴女にも私の悦びを味わってほしい!」
「い、いまそんなことを言わな、いひゃぁああっ! い、イク、イッってしまっ!」
フリストの体が大きく跳ねた。
膣の締め付けが、絶頂を示している。ヘルゲは大きな満足感を得ながら、フリストの膣に精を放出した。
しばし繋がったまま、二人とも余韻に浸り、落ち着くのを待ってヘルゲが腰を引いた。
「くひぃん!」
膨らんだカリ首が絶頂後の膣壁を擦り、自身の放出した精を掻きだす。その甘美な感触に、またもフリストが哭いた。
膝を付き、荒い息を繰り
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