中庭の野次から撤退し、千鳥の病室に入った二人は、ひどく緊張していた。
千鳥は表面上は平然としているが、ギンはうわ言のように何かを呟きながら俯いている。
セックスをしようと、ギンは言った。
逃げ込むために部屋に戻ってきてしまったが、そうすればすることは一つになってしまう。
どうにか千鳥は口を開こうと逡巡し、少し迷って言葉を止めた。
ここで口を開いて出る言葉はきっと、千鳥自身の意思とは違うこの場をしのぐためだけの場当たり的な言葉になってしまう。
それをあれだけの覚悟をしたギンに向けるのは、間違っている。
「ち、ちどり……チドリは、寝てていいから。全部してあげる」
決意を固めたのか、ギンは強い視線を千鳥に向けた。
強いっていうか思い詰めたっていうか、とにかく逆らえない目だった。
千鳥は思わずカクカクと頷き、ベッドに腰掛ける。
「失礼、します」
千鳥の膝へ、ギンが腰掛ける。
いわゆる対面座位の体勢で、抱きつきながら。
ハーピー種特有の軽い体重がそっとしなだれ掛かり、千鳥の心拍が一つ上がった。
青く柔らかい髪が目の前にあり、思わず撫でてしまう。
力がこもっていたギンの身体が、溶け出すように柔らかくなる。
「ギン……」
「ふぇ、ちど……んっ」
その顎を持ち上げて、おとがいを晒すギンに唇を落とした。
そっと触れる敏感な皮膚が震える。
どっちが震えたとかはどうでもいい。ただ、気持ちが良かった。
気持ちよさに紛れて気づく。
千鳥の身体はもう、理性の囲いを振り切っていた。
「……ギン」
「だ、だめぇ……わたしがするの、ちどりは、けがしてるんだから……」
とろけた顔で言っても説得力はない。
そう言おうと思って口を開いたが、気づいたらギンと深い口付けをしていた。
身体が勝手に口付けしていて、喋ろうとして舌を入れてしまった。ということか。
思うより先に舌が触れ合い、柔らかな熱を交換する。
甘い。甘くて美味しくて、とにかく甘い。
気付けば千鳥は、ギンに夢中になっていた。
「んふぅ、ちゅっ、ふぁ、んん!」
舌に合わせてギンが震える。
それが面白くて愛おしくて、さらに深く口付けする。
唾液を音を立てて吸い上げ、自分のものを合わせてギンに戻す。
舌を軽く噛んでやり、歯列を丁寧になぞって歯の隅々まで味わう。
次第にギンから紫電が舞うようになり、その痺れが舌を襲う。
びくりと震えて痙攣する千鳥の舌に反応して、ギンの快感も増していく。
やがてギンの電気で震える千鳥の舌に蹂躙され、ギンの快感が増えて電気が出るというループに陥った。
抜け出したくても抜け出せない。そもそも、抜け出したくならない。そんな快楽の螺旋だ。
「あふ、ん、る、うっふぁ……」
「ちど、んぅ、ひろり……!」
口を塞がれながらも健気に千鳥を呼ぶギンを、もっと愛したくなる。
健在な右手がギンを抱きしめた状態から、そっと身体を這って位置を変える。
ビクビクと震えるギンの胸。ハーピー種用の袖なしブラウスのボタンをこじ開け、その隙間からギンの薄い胸を揉みしだく。
すでにぷっくりと起き上がっている乳首を摘めば、身体に流れる電撃が一瞬強くなった。
痺れは痛みではなく、快感を残して去っていく。
もっと電撃を。そう思って千鳥はコリコリと乳首をこねくり回し、舌を激しく動かす。
「ん、んうぅぅぅ!?」
バヂバヂッ、と一層激しい電撃が流れて二人が震えた。
千鳥も痙攣しながらそっと唇を離すと、繋がった唾液がゆっくりと垂れて途切れる。
浅い呼吸を繰り返すギンに「イッた?」と千鳥が聞くと、ギンは返事の代わりにさらに身体を密着させた。
「すき」
ギンが呟く。
「好き。助けてくれて、ありがとう。大好き、愛してる」
ギンはそっと千鳥を押し倒すように、ベッドへ倒れた。
逆らわずにそれを受け止めた千鳥は、馬乗りになるギンを支えながらしっかりと方向を整えてベッドに寝転んだ。
羽毛の指先が千鳥の病院着を脱がすが、柔らかい羽根に身体を撫でられて千鳥は身悶えする。
「くすぐったいよ、ギン……」
「んふふ、ちょっと楽しい」
羽根に撫でられて身体をくねらせる千鳥に、ギンは楽しそうに笑った。
キスで震えるギンを千鳥が愛しいと思ったのと同じで、ギンもさわさわと千鳥を撫でて楽しむ。
くすぐったさはもどかしさになり、だんだん性感を高められていく。
時折羽根の中から弾けた電撃で身体が痙攣し、荒い息を吐く千鳥はもっともっとと身体を無意識に動かし、羽根に触れようとする。
「その前に……私も脱ぐね」
ギンは焦らすように羽根を引き上げると、脱ぎ掛けのようになっていたブラウスをゆっくりと脱ぐ。
ハーピーでも着脱しやすいような大きなボタンを、見せつけるように一個一個外す。
肩口にも付いているボタンを外すと、腕を通すことなくブラウス
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