んふー……と、フォリーは満足気な呼気を漏らした。
アランの事を言い負かし、一緒に付いて行ける事になったのである。あまり口が上手くない、というか性格が子供っぽいフォリーにとって、冷静な口調のアランは結構な難敵であった。実際の所、アランもそう口が上手い方ではないのであるが。
それにしても、とフォリーは思う。アランという青年は、どうにも不思議な人物だった。
まず、見た目が凄い美人である。男ではあるようなのだが、線が細いし色素も薄いしで魔物顔負けの美しさだ。というか自分、負けてるかもしれない。泣くぞチクショウ。
それから、物腰がとても丁寧だった。というか、とても冷静だった。なにせ話している時も表情一つ変わらない。思えば野盗に囲まれていた時もそうだった気がする。まるで人形のようなのである。いや、人形の方がまだしも生き物らしいだろう。ほら、リビングドールとかになるしね。ともあれそんな調子で捨て駒扱いにされている事すら話す物だから、つい頭に血が上ってしまったのである。自分を大事にしない人間が許せない、これはもう魔物の本能みたいな物だろう。
……ただ、それらとどうにもチグハグな部分があった。端的に言って、アランはお金持ちなのである。身に着けている装備品が、どれもこれも高級品、それも超が二つ三つは平気で付く物なのがそれを見事に物語っている。そりゃあ野盗も狙うよ! 宝の山だよ! 私も人の事を言えないけれど!
それだけに、私は最初、何処かの貴族がお忍びで一人旅でもしているのかと思った物だ。ただそうなると、何故捨て駒扱いなんてされているのか、これが全く分からない。私はあまり頭が良い方じゃないから尚更である。かといって相談をしよう物にも、ここに居るのは私とアランの二人だけなのだ。
「ねえ、アランはなんで捨て駒なんてやらされてるの?」
ならもう、本人に聞くしかないじゃない? ほら、悩んだって答えが出そうも無い事だしね? だから私がバカという訳じゃないんだよ? いいね? いいね? ……ホントにいいね?
「いや、なんでと言われましても。依頼主の考えですから、正確な所は」
密かに表情が変わる事を期待していたのだけれど、相変わらずの鉄面皮だ。多少は動揺してくれても良いんじゃないだろうか。
「正確じゃなくても良いからさ、アラン自身はどう考えてるわけ?」
「私見ですと、そうですね。私を戦力として運用するのが難しいからではないでしょうか」
うーん、弱いから捨て駒にする。あの商会の冒険者ってそうなんだろうか。いやでも、そうだとしても、もっと他に良い方法はあると思うんだけど。
「う〜ん……というか、何か聞く事を間違えているような気がする……」
「そうですね。この先の遺跡や、行方不明者については御話ししておこうと思っていました」
そう言って、外套の内側から羊皮紙の巻物を取り出すアラン。
いや、そういうのじゃなくて……と思ったのだけど、確かにそれはそれで必要である。とりあえずはそっちを先に聞こうと、私はアランが差し出した巻物を受け取り広げた。
「行方不明者の資料です。一応は機密なので、他の方には話さないよう御願いします」
うんうんと頷き、さらっと流し見。ふむふむ、人間、ドラゴン、リザードマン、ケンタウロス、オーガ……?
「最初の部分に載っているのは件の、捜索に向かった冒険者パーティーです。状況から見て被害に遭ったのは確実ですので」
ああ、それ以外は行方が分からないからといって遺跡で消えたとは限らない訳か。冒険者は基本自由人だからね……って、そうじゃなくって。
「あの、なんだか魔物ばっかりな気がするんですけど……?」
「御内密に御願いします」
良いのか。ここ、一応反魔物領だった気がするんだけどなあ。
……あ、私は平気だよ。姿が分からなくなる魔法の道具を持ってるからね。耳飾り型をしていてこれを着けていると姿が正確に認識されなくなる上に、認識出来ていないという事すら認識させないという二段構えの効果がある超強力な奴。私の持っている物の中じゃ一番強力かつ高価な代物、というか姉妹の一人が作った一品物だ。まあ余っ程、それこそ最高位の魔物を凌駕するくらいの実力者になれば違和感に気付くくらいはするかもらしいけれど、それでも姿その物は分からないらしいし、それくらいなら欠陥はおろか欠点とすら言えないだろうし。あーでも、なんか言ってたな。もしそれでも、姿を正確に把握してくる奴が居たのならば。
『そいつは人間とも魔物とも違う何かだから、関わらないようにしておきなさい。放っておけば、多分だけど害は無いから』
……だったっけか。居るのかな、そんなの。これを使って反魔物領はおろか教団の各所を巡ってみたりしたけれど、別に問題は起こら
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