私が執務室にいると、慌ただしい足音が聞こえた。
「報告します!!!」
執務室のドアが荒々しく開き、へし折れた剣を持った警備兵が叫んだ。
「何事だ!?」
尋常ではない雰囲気が感じ取れる。
「敵襲です!!!」
「何者だ?数は?」
「不明!数は・・・1人です!!!」
「!!!まさか!」
報告書の男か?丁度いい、ここで捕らえてくれる。
「状況を報告しながら案内しろ。」
「はっ。現在城門にてティール様、フレイヤ様が警備兵を率いて交戦中であります。
しかし・・・押されております。」
「何!?あの2人がいて押されているのか・・・」
報告を受けながら城門にたどり着いた私の目に映ったもの・・・それは・・・
「ティール!フレイヤ!!」
そこには全身をローブに包んだ長身の男がいた。
その周りにはティールとフレイヤを含む警備兵達が倒れている。
「こんなものか?魔界の魔王軍ってのも案外大したことないな・・・」
「くっ・・・」
よかった、皆息はあるようだ。
「貴様が噂の超人とやらか?」
「そう呼ばれているらしいな・・・」
ローブの男はため息をつきながらこちらを向いた。
「フン。突然押しかけてきてそれか。不躾な人間め。」
「聞きたいことがあるだけなんだ。こいつらにもそう言ったんだがな。」
倒れている連中をあごでしゃくりながら頭をかいている。緊張感のない奴め。
「大人しく縛につけば教えてやらぬでもない。」
「そりゃお断りだね。単なる尋ね人なんだけどなぁ。」
「ほう。冥土の土産になるかもしれぬ。言ってみろ。」
「お、あんたは話が通じそうだな。う〜ん・・・情報があやふやで悪いんだが黒竜を探している。」
「黒竜だと?」
「以前ミズガルズ砦を守護していた黒竜を探している。残念ながら名前は知らん。」
「フン。知らぬでもないな・・・」
「!!!ここにきてようやくヒットか!さて、教えてもらおうか。」
「言ったろう?縛につけば教えてやらぬでもない、と。」
「なら腕づくで聞くしかなさそうだな・・・」
「人間風情がやれるものならな・・・」
男は背中に背負っていた長剣を抜いた。
あの剣・・・どこかで・・・東国にある刀という武器か・・・
「まぁオレの信条で命は取らないでやるよ。峰打ちって奴だな。」
「ほう・・・人間ごときが調子に乗るなよ?」
「じゃあ・・・行くぜ!」
男が地面を蹴り、目にも止まらぬ速度で突進してきた。
!疾い!!!躱すのがやっとだと?
そのまま男は刀を振り、私を打つ。
「くっ・・・」
なんという馬鹿力だ・・・峰打ちでこの威力とは・・・
吹き飛んだ私は男に炎を吹きかける。
直撃!死にはしないだろうが、しばらくは動けないだろう・・・
「そんなもんか?」
炎が引き起こした粉塵の向こうにはローブのまま傷ひとつない男が立っている。
「オレもローブもトクベツセイって奴なんでね。本気で来いよ・・・でないと・・・」
再び男が剣を構える。
「臨むところだ!」
懐かしい感覚に体が震えた。この男・・・あの思い出の人間に匹敵するほど強い・・・
楽しい。久々に楽しい。我を忘れて戦闘にのめり込んでいった・・・
一合、二合と斬り結んでも決着はつかない。
強者に相対した時の興奮と同時にふと違和感を感じた。
なんだ・・・何か懐かしい・・・?
匂い?・・・!この匂いは・・・・!
そんな・・・馬鹿な!まさかこいつは・・・!あの男・・・
戦闘中だというのに思わず体が動かなくなる。
そんな私の様子を見て男も手を止めた。
「・・・?どうした?」
心臓の音が煩い。顔が熱い。下腹部も熱い。
体の疼きはどんどん強くなっていく。
「調子が悪いんなら出なおしてくるぜ?弱っている相手をいたぶる趣味はないんでな。」
また来る、と言い残して男は踵を返し、去っていった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「怪我人、収容しました。」
「ご苦労。ダークプリーストの回復魔法も活用して治療せよ。」
「はっ。」
執務室の椅子に深く腰掛けた私はため息をつく。
少し冷静になってきた。一度今日の出来事を整理しよう。
あの男だ・・・私がミズガルズ砦で竜の姿であった頃にしのぎを削ったあの男。
ミズガルズ砦の黒竜を探していると言ったな・・・私を探しているのか?
なぜ?恐らくあの時の決着をつけるためか?
同じ思いでいたことに少しだけ嬉しくなる。
しかし・・・私はこの姿となったことをあの男に知られるわけにはいかない。
知ればあの男は落胆することだろう。
なんとか・・・知られない方法はないものか・・・
あろうことに私は黒竜を知っていると言ってしまった。
あの男はまた来ると言った。
くっ・・・結局決着をつけるしかないのか・・・
もしくはあの男を謀るか・・・いや、それも私の誇りが許さない。
何より折角
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録