「ふ、フランシスカ様ぁ!大変ですぅ!!」
いつもと変わらない日常、平和で静かな夜…ソレは突然の来訪者により終わりを迎えた。
「…何ですって?屋敷の中庭に見たことない男が倒れていた?」
いつも通り執務室で書類と戦っていたフランシスカは突然駆け込んで来たローパーの使用人の言葉に怪訝そうに尋ねる。
入って来たローパーは荒い息を整えながらフランシスカに一礼し、説明を始めた。
「はいっ!見た事ない服を着てまして…あとこの間にフランシスカ様が回収された武器に使われている物と似た物を所持していました!おそらく次元の歪みから同じ世界から引き込まれたと…」
またなの!?しかも今回は全く気付かなかったんだけど…
「ちっ、厄介なのが入り込んだわね…その男はどうしてるの?」
「身体中を怪我してまして気を失ってます。今スライムの生体治療が終わったばかりです。」
ローパーの報告、それは余りいいモノじゃなかった。
異世界の人間がこの屋敷の敷地に血塗れで倒れていたらしい。
エリニアの話によれば遭遇した異世界人は此方を躊躇せずに攻撃を仕掛けて来たそうだ。
敵わないと知ったのちに自爆までしたとか…あの惨状を見れば正気の沙汰とは思えない行動だ。
今回来た者がどんな輩かわからないが…警戒するに越した事はない。
「…私の剣を、その男の様子を見に行くわ。」
「あ、はい!只今…部屋は5号室になります。」
とりあえずどんな人間なのか見極める必要がある、ローパーに自らの剣を取るように指示を出せば立ち上がった。
椅子にかけていたマントを羽織り、扉へと向かう。
ローパーは器用に鞘に納められていた細身の剣を触手で取るとフランシスカに手渡す。
「…あの部屋に暫く誰も入れない様に、良いわね?」
「はい、了解しました。但し何かありましたら直ぐに声をおかけ下さい。」
受け取った剣のベルトを腰に止め、漆黒のマントを翻しながらローパーへ指示を出す。
頭を下げるローパーを横目に未知の存在がいる部屋へと向かった…
……………………
…おーい、もうへばったのか?ハドソンはホントに酒に弱いなぁ…
うるせぇ、お前が強過ぎんだよぉ…うぇぇ…
…こんな所で吐くな、周りの迷惑だ。
…こらクラスト、キツく言い過ぎよ。ハドソンは無理矢理飲まされたのにその言い方は酷いよ。
…う、悪い。
…相変わらずホノカに弱いな、クラストは。しかしルイス、程々にしておけ。拳をお見舞いするぞ?
…すみません隊長調子に乗り過ぎましたから拳は勘弁して下さいお願いします。
…はっはっはっ!分かれば宜しい、飲むなら皆楽しく、だ。解ったな?
…ああ、皆と飲みに行った時の記憶だ。
あの時は辛かったけど楽しかったなぁ…皆で笑いあって、騒いで…
でも…何で今思い出したんだろうか?
あぁ…俺たちのヘリが墜とされたんだったな。
コレが死際に見る生前の記憶って事か…短かい一生だった…
……………………
…ん?あれ…?
ふと目覚ざめた俺、目の前には白い綺麗な天井が見える。
少なくともヘリの天井でないのは間違いない。
体の違和感に気付き体を見れば服は脱がされ、代わりに包帯が巻いてあるのが見える。
誰かが助け出して手当てしてくれたのだろうか?
「…此処は天国か?人殺しが天国に行けるなんてなんか悪りいなぁ…」
「此処は天国でも地獄でもないわ、彼方は生きているのよ。」
のんびりとボヤいた俺へ掛けられた声、俺はゆっくり振り向いた。
俺の寝るベットのそば…そこにある椅子に腰掛けた女性がいた。
黒いマントを羽織り、腰に細身の剣を下げた美しい女性。少し小柄な体からまだ相当若いように見えるが…この人は誰だ?
「あのぅ、そこの綺麗な方。此処は何処で俺は誰なんだ?」
「…彼方が誰かなんて私がわかるわけないじゃない。此処は私の屋敷よ、彼方は私の屋敷の敷地内に怪我して倒れていた…そう聞いたわ。」
むぅ、冷静に突っ込まれた…乗りツッコミぐらい欲しかったのだが…
静かに説明する彼女、ゆっくりとした動作で立ち上がれば真紅の瞳を俺に向け、キリッと睨む。
「う…そうなのか、不法侵入になるなぁ…それは迷惑を掛けた……で、お嬢さんの名前は?俺はハドソン、ハドソン・ビックスだ。」
「あら、名を聞く際に名乗るとは意外としっかりしてるわね。私はフランシスカ・レオドル…この屋敷の主のヴァンパイアよ。あと…お嬢さんはやめて貰える?彼方より遥か長く生きているんだから。」
睨まれ、少し狼狽えながら尋ねる。
お嬢さんという言葉にすこしムッとしながらも自己紹介をする彼女。
しかし今ヴァンパイアって…?
「え、ヴァンパイア?あの血を吸うヴァンパイアなのか?」
「えぇ、この通り…夜の王ヴァンパイアよ。でも襲ったりしないわ、安心し
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