昔は一部の魔物だけにもてはやされてきたが、もはや今では国民食と言っていい存在となったもの。
そう! ザーメン!
老いも若きも全ての魔物を魅了する、食べ物――ザーメン。
そんなザーメンを家庭で味わうことのできる魔物は最高に幸せです。その味は何にも変えがたく最上の美味なのだから。
しかし! 誰しもが家庭で美味しいザーメンを味わえるわけではない!
独身の魔物たちにとっては、家庭のザーメンは憧れ。羨望の眼差し。上の口も下の口も垂涎の的。
でも、最上級の家庭ザーメンとまでは行かなくても、魔物はザーメンが大好きなのは変わりありません。
クリの花のような青臭いにおいがたまらない。粘り気のあるドロリとした喉越しは最高。そして、胃壁から吸収され、血液に乗って全身の細胞を愛撫するかのような味は究極至高のメニューに内定どころか、確定している。
そんなザーメン大好き魔物たちのために、手軽に食べれるザーメンを提供してくれる飲食店。それがザーメン店なのです。
ザーメン店は、精力に自信のある兵士が、脱兵士してなんとなく始める商売として軽くみられることもあります。確かに、そういう見せも多くあります。
でも、中には研究研鑽を重ねて、こだわりのザーメンを提供してくれるザーメン店も存在するのです。
そんなこだわりのザーメン店は、それぞれの地方により独自の進化を遂げています。それが、ご当地ザーメンと呼ばれるものなのです。
ザーメン愛好家の中には、ご当地ザーメンを味わうために遠方からはるばる訪れる魔物もおり、各地のザーメンを食べ歩くことを趣味にしている魔物も大勢いるのです。
彼女たちを惹きつけてやまないご当地ザーメン。
ここでは、その中でも人気のご当地ザーメンを紹介しようと思います。
はじめまして。私は、オークのフランソワ。ザーメン研究家として、魔界各地を食べ歩いています。
第一回目ということで、ご当地ザーメンの先駆けといっていい存在から紹介しましょう。
北の大地で育まれたシッポリみそザーメンですね。
シッポリみそザーメンの名店と言われている『ちんちん亭』は、シッポリダンジョンのメイン通路から少し外れたところにあります。このあたりは宝箱が少ないエリアなので、冒険者たちが来ることも少なく、ゆっくり並んで待っていられるのがうれしいですね。
「いらっしゃいっ」
赤地に白で「ちんちん亭」と染め抜かれた伝統の暖簾をくぐると、大将の活気のいい声が迎えてくれます。これだけで、シッポリに来たと実感が湧きます。
「こんにちはー。寒いですねー。みそザーメンを一つ、お願いします」
ザーメン店は回転が命。ザーメン通を自認するなら、注文は素早く簡素で明確にしましょう。
「あいよっ。みそザーメン一丁!」
さて、ザーメンが出てくるまで、ザーメンについてご説明しましょう。
インキュバスになれば何発もザーメンを提供できますが、それだと味と量が安定しません。
そこでサバトで開発された分身薬を改造した部分分身薬を用いて、局部だけを分身させてチンポごとザーメンを提供しているのです。
部分分身薬は、本人とのリンクが切れているし、一回射精するとおしまいなので、一般ではあまり利用価値がないのですが、ザーメン店には必須アイテムです。
この薬の発明により大勢の魔物に安定した味のザーメンを提供できるようになったのです。ノーピル賞をあげてもいいぐらいの大発明です。
「へい! みそザーメン、おまち!」
そうこういっている間にザーメンが来ました。
カウンター越しに浅めのどんぶりが私の前に置かれています。中には半勃起した玉つきのチンポが入っています。これは先ほど言った部分分身薬で分身した店主のチンポです。
「ああ、これは美味しそうですね」
チンポを手にすると、ぬるっとした感触がします。
「股間を徹底的に保温して温まったチンポをラードで覆ってあります。こうすることで汗で温度が下がるのを防いでいるのですね。最後までアツアツのチンポをしゃぶれるという、北の大地ならではのおもてなしの工夫ですね」
さあ、温かいザーメンは早く食べるのが、ザーメン道の礼儀です。
「それでは、さっそくいただきましょう」
勃起したチンポを口に近づけます。ザーメン通は、まずは香りを楽しみます。いきなりしゃぶりつくのは通として半人前です。
「うーん、このこってりとした体臭が何とも言えません。この体臭は、何日もニンニクなどの精力のつくクセのあるものを食べて熟成したもので、その食生活は店の秘伝ということです。この体臭がこれからいただくザーメンの味を想像させて、興奮します」
ちなみに、このニンニクのおかげで、ヴァンパイアは入店禁止になっています。ご注意く
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