2.はじめての

 シコッ、シコッ、シコッ、シコッ

「お前はデーモンの小賢しい魔法によって歪められた私の魔力で切り裂かれ、私の肢体だけに欲情する身体となったのだ」
「うっ……! ぉっ……!」

 にゅちッ、にゅちッ、にゅちッ、にゅちッ

「当人の意思に関わらず魔力の方向性だけを歪める。アイツらの陰険さには感服する他ない。腹立たしい話だ」
「ちょ……あの……!」

 ヂュコッ、ヂュコッ、ヂュコッ、ヂュコッ

「上も今回の事態には頭を抱えていた。意思をもって誘惑したのなら当然、そこに責任が生まれる。しかし全く不本意な誘惑であればどうなるか? 過去にも例が少なく、結論が出るまでもたついた」
「……っあああ!」

 にゅッぢ、にゅッぢ、にゅッぢ、にゅッぢ

「結局、私の意思に委ねられた。魔力を引き剥がすことも不可能ではないそうだが、例えるならペンキからニスまで塗って乾かした木材から色を抜くような行為らしい。成功の保証はなく、仮に魔力だけ抜けたとして、潜在意識に私の存在が残っていては意味がない。ただひとつ、冴えた解決案がある」
「うぅうううおっ!!」

 ヂュヂュヂュヂュヂュヂュヂュヂュヂュヂュ

「歪められた魔力は私自身の魔力でのみ中和できるらしい。お前の身体に魔力を注ぎ、歪んだ魔力と混ざったモノを吐き出していけば、晴れて元通りになるわけだ。このようにな」
「おっおっおっあっ! あぁああああっ!!!」

 ドクッ、ドピュドビュ、ビュルビュ

「4回。悪くないペースだ」
「ぅはぁーっ……! はぁーっ……!」

 深く息を吐いては吸う。苦しい、とにかく苦しい。クロールで呼吸のリズムが掴めず、必死にもがいて息継ぎをした時のようだ。
 いや、ただ混乱しているだけなら、じっと身構えて呼吸に集中すればいいだけの話だ。でも今は無理だった。
(きもちいい……!!)
 バカみたいに気持ち良すぎて、集中力が続かないのだ、アホのように口を大開きにして、余裕があるときに好きなだけ息を吸うものだから、いつまでたってもペースが戻らない。乱れっぱなしである。
 何故かって。
(ゆめ、じゃないのか……??)
 現実感が無さ過ぎる。こんなこと。
 ふらふらと褐色美女の後ろについて扉をくぐったら、そのまま風呂場に連れ込まれ、風呂イスに座らせられ、俺の左側に座って腰に右腕を回してきたかと思うと、左手でトランクスの隙間からナニを引っ張りだし、そのままシュッコシュッコと引っこ抜くような手コキを繰り出してきたのだ。
 俺は呆気なく果てた。三こすり半すら持たなかった。生まれてこの方、これほど気持ちの良い絶頂はないと思った。
 しかし褐色美女はまるで止まらず、そのまま2発、続けて3発と、事務的な手つきで俺を屈服させた。人生で一番キモチ良かったと思い込まされた快楽はあっさり上書きされ、俺は処理し切れない絶頂に身を震わせる。立ち上がることさえできない。
 ただ、彼女が何やら気になることをつらつらと話していたのは耳に残っていた。魔物だの魔力だの、ファンタスティックなキーワード。だから妙な夢を見てるんじゃないかという疑念が拭えないのだが、これほどの刺激は味わったことがなく、夢というには余りにも臨場感があり過ぎた。陰茎にまとわりついたすべすべとした手も、腰にむにゅりと押し付けられた幸せな感触も、すべてが初体験で、感動的で、エロかった。
 だから俺は知りたくなった。彼女ことを、もっと。
「あ、の」
「なんだ」
 何とか息を整えたいが不可能である。こうしてる間にも彼女は手を止めてくれないし、話ながらでも動きが緩むことは一切なかった。左手だけだというのに、両手以上の指に弄られているような感覚になる。訳が分からない。
 呂律が回らない情けない声なのは、もう仕方ない。それよりも、彼女のことだ。
「なんで、こんな、なってる、ですか」
 噛みしめるように、一語一語を吐く。そうしてる間にも次の絶頂の予感がしていた。ヤバい、何回出せちゃうんだおれ。
「何を言っている。ついさっき説明したろう」
 摩擦する手は止めぬまま、呆れたように彼女が言う。
 そうなの?
 だめだ、きもちいい。でる。でる。
「良すぎて、頭に、入っ、てぇぇえええええっ!?」

 ドクッ、ピュグュ、ビュビィ

 真っ白になる。枯れる様子がまるでない。どうなってるんだ一体。
 出した後の数秒だけ、正確には射精している間だけ、彼女の手つきはゆるゆると吐精を促す動きに変わる。一見優しげだが、吐き終えたが最後、尿道に残った分まで絞り取るように握ってくるのだ。痛みを感じさせない絶妙な力加減、それがまたキモチイイ。
「ああ、ろくに聞こえていないのか」
 ひと通り絞り切った後、彼女は得心したように頷く。
 次の瞬間、鼻で笑ってみせた。
「知ったことか」
「へっ?」
 なにが
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