「人は見た目が9割」という言葉がある。
視覚を重要視するという人間の思考に基づいた言葉だそうだが、何とまあ賛否の分かれる主張だろうか。人が人を認識する要素は外見だけに留まらないというのに、この言葉はそれを軽視している。
これを「いや10割だ」と言いきって暴言にする人もいれば、「人は中身」と耳触りの良い感じに訂正する人もいるだろう。価値観の話に絶対の答えなんてものはなく、極端を走る主張はいつだって平行線だ。
この言葉をテーマに議論した場合、大抵は内と外の比重にシフトしていく。外面の反対は内面だからある意味で順当。これらに並び得る第三要素は俺では思い浮かばないし、見た目と性格のどちらを選ぶかって話は分かり易くて受け入れ易い。自分ならどこまで許容できるかという、個人の価値観に踏み込んだ話にもなり得るだろう。下世話な話題だと自覚しつつもやめられない、スナック菓子じみた手軽さがある。
どちらかと言えば、俺は見た目派だ。美女も美少女も美熟女も好きだ。年齢に拘りはなく、イケると思えばそれでいい。
もっとも。
これは相手がいない、いわば俺の中で完結した環境に根付いた結論である。
手と手が触れ合うような、生身を相手にした場合はまるで想定されてない。経験が乏しい俺は想像で補うしかないので、どうせなら美人がいいな程度の願望はあって然るべきだろう。
いちおう断わっておくと、異性との付き合いが皆無だったわけじゃない。俺なりに、これと思った機会は逃さないよう努めてきたつもりだし、人並みには身綺麗にしてるつもりだ。結果的に機会が乏しかっただけで別に苦手意識があるわけでは……なんの言い訳だこれ。
だが、今。
行き着くところまで踏み込んだ今、改めて俺は、俺の価値観と向き合わざるを得なかった。
俺は「カワイイならすべて良し」と言い切れる人間だろうか。
外見が十分すぎるほど可愛いなら、その中身など気にも留めない人間だろうか。
たとえ彼女が。別人だったとしても。
「んっはぁ
#9829;」
ばぢゅん
「うぐッ!?」
衝撃。明滅。視界が弾ける。
猛烈な快感に意識が現実に引き戻された。
下腹部を打ちすえられた感覚が先にやってきて、知覚すると同時、桃色の激震が股間から脳天までを一気にぶち抜く。逸物はいきり立ち、窮屈さに抗議するようにびくびくと痙攣した。初体験を乗り越えた今だから分かる、これは射精してる感覚だ。自分でする時と違って満遍なくぎゅうぎゅうに締めつけられているから分からなかった。
ただ、吐精による解放感は皆無。むしろ次弾に備えて勢いを溜めるように、出し切る傍からむず痒い感じが奥底に引っ込んでいく。装着した魔道具のせいか過剰興奮のせいか知らないが、睾丸に泥沼がふつふつと留まっているようで、実にもどかしい。その焦りで視界は狭まり、腹上の女に意識が集中する。
「はぁっはぁーっ
#9829;」
汗みずくで息も絶え絶え。その女の子は、しどけない開脚ポーズでこちらを見下ろしていた。
ロデオマシーンに跨るかのように広がった太ももはみっちりと、隙間なく俺の腰を締め付けていたが、今は小休憩のせいか余裕がある。運動の名残か興奮の表れか、ムチムチと張り詰めた肉幹から僅かに骨盤の隆起が覗く鼠径部にかけて、つつと玉水が滑っていく。
そこから視線を上げていけば、ツンと小生意気に持ち上がった乳房が威圧するような膨らみで、そのさらに上から、挑発的に笑み歪む目が俺を捉えている。
「んふっ
#9829; いっかいめぇ
#9829;」
真っ赤な唇をチロりと舌がなぞる。額に髪が纏わりついているのが妙に色っぽく、しっとりと汗ばんだ素肌の曲線にぴったりと貼り付いたベビードールはえも言えぬ扇情さだ。パンツをズラして挿入という着エロじみた合体には言葉もない。あまりにエロ過ぎて、どこを見ても射精しそうだ。その湯だった肉体を滅茶苦茶に抱きよせてかぶりついて、あまさず味わいたくなる。
彼女の表情は虎かライオンか。いやさ女豹で間違いないだろう。肉食獣を彷彿とさせる野性味あふれる仕草が、女である前に"雌"であると主張してくる。
けれど、傍若無人にふるまう獣ではない。思うがまま動きながらも俺の調子に神経を張り巡らせているのがはっきり伝わってきた。
無論、気遣いの類ではなく。
雄を弄ぶ女王の目である。
――元お姫様の好奇心旺盛後輩女子系匂いフェチ
ふと、篠宮さんの言葉が頭に浮かぶ。
冗談みたいな単語の羅列の中に紛れ込んだ"お姫様"という文言。彼女が本当にそうだというのなら、その手の術も習っていたのかも知れない。こちらを跨ぎ、見下す姿が随分と様になっていて、さも当然であるかのように収まりが良い。
ひと呼吸を置く間にもスンスンと鼻を鳴
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