ゴブドラ超おっぱい

 森には様々な動物と、それに匹敵する数の魔物娘たちが住んでいる。
 ある森の奥深く。旅人や冒険者の間でのみ知られている街道のそばにある洞窟。
 そこには、小さなゴブリンの群れが住んでいた。
 彼女たちは、街道を通る旅人たちを見ると「通行料をよこせ!」と立ちふさがり、食料をもらって生活していた。
 群れといってもたったの五人。一人につきパンの一つや二つをあげれば、彼女たちはそれで満足なので、最近では最初から彼女たちのためにわざわざ食料を用意してくれる者も現れている。
 旅人が来ない日は、木の実を採ったり、獣を狩ったりと、その日暮らしを送っている。
 そんな平々凡々とした彼女たちの生活を一変させる出来事が発生した。

「おやぶーん!親分!大変です!」
 今日の朝番、子分のゴブリンであるモモリンが、親分であるホブゴブリンのママリンをたたき起こした。
「ふぇ……?もうお昼ご飯?」
 ママリンが眠い目をこすってのっそりと起き上がる。
――ぶるん
 ホブゴブリン特有の、大きな乳房がずしりと揺れる。
「はぁ、いつ見ても親分のおっぱいでっけぇ……じゃなくて!」
 群れの自慢のおっぱいを眺めて感嘆の声を上げていたモモリンだったが、すぐに頭を振って邪念を吹き飛ばす。
「親分!外に、外にでっかいおっぱいが!」

「おお……でかい……」
「ふかふかだぁ……」
「背もでかいですねぇ」
 ママリンとモモリンが現場に行くと、そこにはすでに群れの残りのゴブリン、ミミリン・ムムリン・メメリンの三人がいた。
 彼女たちは何かを取り囲むように立ち、下を見つめて口々に「でっけぇ、でっけぇ」とつぶやいている。
「みんなぁ、何を見つけたのぉ?」
 取り囲む子分の間から頭を入れて親分は言う。
 覗き込むと、そこには一人の女性が倒れていた。
 子分たちが溜息を漏らすのもうなずける巨乳。
 間隔を置いて胸が膨らんだりへこんだりしているので、呼吸している、つまりまだ生きていることが分かる。
 ただ、ゴブリンたちがこれだけ騒いでいるのに起きないところから察するに、気絶しているのだろう。
 おっぱいの次に目に入るのは、緑色の鱗に覆われた大きな手足。
 そして、同じく緑色の翼と長い尻尾。ドラゴンである。
 肩から肘の間、そして顔や太もものような、人間の肌が露出している部分には、細かい引っかき傷がいくつもついていた。
 ドラゴンの真上には、枝が折れた跡がいくつも残っている。
 何らかの理由で、このドラゴンは森の中へ墜落してしまったのだろう。
「うーん、どうする?」
 ママリンが相変わらずのんびりとした口調でたずねた。
「おっぱいが大きい子に悪いことしちゃいけないです!親分、家に運びましょう!」

 ゴブリンは力持ちなので、難なく洞窟までドラゴンを運ぶことができた。
「んっ……んん?」
 平らな岩と藁でできた簡素なベッド。その上に横たえられていたドラゴンが目を開けた。
「おやぶーん!起きましたよー!」
 彼女の様子を見守っていた子分たちが、ママリンを呼び寄せる。
「もぐ……もぐ……ん?」
 保存食である干し肉を口に含みながら、ママリンが答えた。
 旅人が来なかった上、子分はドラゴンのおっぱいに夢中だったため、今日のご飯が確保できなかったのである。
「肉を食べて育つおっぱい……ごくり……じゃなくて!」
 モモリンがまたも頭を振って邪念を払い落とす。
「え……あ……」
 状況を理解できないドラゴンが、とまどいの声を上げた。
「えっと……お前たちは?」
「ここはゴブリンの家です。あなたは、ここのすぐ近くで倒れていて、私たちが家に連れて行って看病してました」
 群れの中で一番頭のいいメメリンが、ドラゴンに簡単に今の状態を説明した。
「そうか……私は落ちたのか」
 うーん……と、ドラゴンは目を閉じうなる。
「どうしてあんなところで倒れてたの?」
 一番年下のモモリンが、何とも不躾な質問を投げかける。
「あ、ああ。空を飛んでたら突風にあおられてな。バランスを崩して堕ちてしまったみたいだ」
 照れくさそうに彼女は頬をかいた。
「ああ、そうかぁ、ドラゴンって空飛べるんだよなぁ」
「すっごいなぁ」
「おっぱいだけじゃなくて、羽も尻尾も大きいですからねぇ」
「そ、そうか?」
 単純な性格であるがゆえの、偽りのない本心でほめるゴブリンたちの言葉に、ドラゴンは照れくさそうに笑った。
「むむむ……」
 面白くないのは親分であるママリンである。
 さっきまであんなに自分を慕っていた子分たちが、今やドラゴンのおっぱいに釘付けなのである。
 (もしかしたら、群れを追い出されて、あのドラゴンを新しいリーダーにするのかも)という、被害妄想にも似た焦りが彼女の中に生まれたのである。
「そ、そ、そ……そこのドラゴンっ!」
 切
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