・ビフォー
「もー!真由美最近付き合い悪いぞー!」
「ごめん!本当にごめん!今度ケーキおごるから!」
今日も何とか友人たちの誘いを振り切ることができた。
後ろめたい気持ちもあるが、それ以上にあいつに早く会いたいという気持ちが勝っていたのだ。
私は最近、あいつに会いに行くのが日課になっていた。
誰にも教えていない、秘密の日課。
まずは、コンビニに行く。
知り合いに見つからないように、学校からも、家からも離れたコンビニを選ぶ。
「いらっしゃいませー」
コンビニに入ったら、まっすぐ入り口横のコピー機に向かう。
そこで、今日の授業のノートをコピーするのだ。
あいつにコピーを渡すようになってから、ノートを綺麗に書くようになった気がする。
今まで「自分が読めればそれでいい」という考えで、女の子では珍しく色ペンを一切使わずに書いていたのに。
最近は、重要な所はちゃんと赤ペンで書くようになったし、枠や線を用いて、内容を分かりやすく整頓するようにもなった。
コピー機の音が脳を満たす。
――今日こそ、素直になれるかな……
今日も、同じことを考えた。
毎日、ここに来るたびに考える。
そして、毎日素直になれなくて、毎日ベッドの上で後悔する。
毎日自分を慰めて、毎日あいつとラブラブすることを妄想する。
毎日、毎日……
――いつになったら、素直になれるのかな……
あいつの病室の前。
何度も部屋番号を確認する。
――213号室。2,1,3……にぃ、いち、さん……
そして、深呼吸をする。
すぅー、はぁー。すぅー、はぁー。
心臓がどきどきする。口の中が乾く。唇が乾く。
胸ポケットからリップクリームを取り出す。
――潤い、潤い……
唇の上に、クリームを隙間なく塗る。
「んー、ぱっ」
塗ったあとは、唇を口内に入れ、ぱっと口を開く。
そしてまた深呼吸。
すぅー、はぁー。すぅー、はぁー。
うぅっ、通り過ぎる患者さんの視線が痛い……そろそろ入らないと。
意を決して、扉を開いた。
「何だ、お見舞いに来て損しちゃった。もうかなり元気そうじゃない」
・アフター
――きたぁっ、美味しい精液ぃ……
尿道から、濃くてゼリーみたいな精液が勢いよく迸った感触がした。
一滴もこぼさないでそれを飲み干す。
「ごくっ、ごくっ……」
一度喉を鳴らすたびに、栗の花を思わせる香りが鼻腔いっぱいに広がる。
――美味しい、美味しいよぅ……
頭の中いっぱいに、幸福感と充足感が広がっていく。
――幸せぇ……
お姉さまにサキュバスにされて以来、こうやって毎朝布団にもぐりこみ、彼の朝一番の精液を搾りとるのが日課になっていた。
部屋に鍵がかかっていようと、すぐ側にご両親がいようと関係ない。
サキュバスの魔力を持ってすれば、壁抜けなんぞお手の物だ。
音を立てずに忍び込み、そっと布団に潜り込む。
最近は彼も諦めたのか、下半身丸出しで眠るようになった。
一秒でも早くしゃぶりたい私にとって、それはとてもありがたいことである。
――口では嫌がっておきながら、ちゃんと気遣ってくれるのよね。
そういうところが大好き。
――あ、残りがこぼれてきちゃった。お掃除お掃除。
先っぽから溢れ出た白い雫を、舌でぬぐう。
ちょっと薄まった味も素敵。
尿道口をあらかた舐めると、次は亀頭と竿の境目を舌でなぞる。
つつつ……と、裏筋から始まり、反時計回りでカリを優しく……
こうすると、彼はむず痒くなって目を覚ますのだ。
――あっ、ブルッて震えたっ
寝相とは明らかに違う動きがあった。太ももがピクッと動き、私の口から逃れるようにもじもじと足をすり合わせた。
――あ、しまった。ニ発目どうするか考えてなかった。このまま口に出してもらおうかな……?それとも次は下の口で……
迷っていると、段々彼の動きが大きくなってきた。
それに、うなり声も聞こえてくる。
――どうしよう、どうしよう、もう起きちゃう。
……
おはよう。
えへへっ、今日も起こしにきたよ。
え、そんなぁ、頼んでないって……
でも、気持ちよさそうにぴゅっぴゅしてたよ?
ふふん、そうそう、そうやって素直にお礼が言えばいいのよ。
あ、そうだ。せっかく起きたんだから、どっちがいいか選んでよ。ずっと悩んでたんだ。
え、何をって……ニ発目は、上の口と下の口、どっちがいい?
あ、こらっ、逃げないのー!
ちゃんと私の方を見る!ね!?
よーく考えてごらんなさい。あんたが今どれだけ恵まれているのか。
彼女が毎朝エッチなことをして起こしてくれる男なんて、この世界で何人いるの?
そりゃあ、エロ漫画やアダルトゲームでは溢れるくらいいるでしょうよ。
でも、それって、男の願望なん
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