「うーむ……ううーむ……」
女王蜂は悩んでいた。
人里離れた森の奥、そこにひっそりと存在する、ハニービーの巣。
その最奥に位置する女王の部屋で、彼女は玉座に座りながら、頬杖をつき、足を組んで唸っていた。
「やはり、どの男も我が妹が連れて来ただけあって、わしの好みの男ばかりじゃのぅ……」
彼女の視線の先には、彼女を取り囲むように、十人の男が半円状に正座している。
更に彼らの後ろには、それぞれ一人ずつ、女王蜂の妹である働き蜂が立っていた。
彼女達は、巣の外に出かけ、花の蜜や女王蜂の餌となるアルラウネの蜜を集めるのが主な仕事である。
しかし、彼女達にはもう一つ大事な仕事がある。それは、女王蜂の夫候補を連れて来る事である。
働き蜂は、好みの男性を見付けるとその場でその男を犯し、女王の夫になる素質があるか。つまり、精力が高いかどうかを判定する。
夫として相応しいと判断された男は、そのまま巣へと持ち帰るのだ。
そして、夫候補がある程度集まると、今度は女王蜂が直々に彼ら全員と性交し、夫にする男を決める。
十人の男は全員、前日の晩に女王と性交し、今まさにその中から、女王の夫となる男が一人選ばれようとしていた。
「うーむ。どうしようかのぅ……」
だが、女王蜂はまだ悩んでいた。
働き蜂は、神妙な面持ちで待っている。
夫候補は、目隠しをされ両手を後ろ側で縛られている。何故なら、拘束していないと、性欲が爆発して女王蜂を襲ってしまうからだ。
女王蜂は、強大な魔力を持った魔物であるため、全裸の男十人に襲われようが、百人に襲われようが、決して負けはしないのだが、念のための処置である。
昨日の最終選考も、この拘束をされたまま行われた。
事実、夫候補の男達は皆、女王蜂の部屋に近付き、彼女の気配を感じるだけで動悸が治まらず。
部屋の扉の隙間から女王蜂の香りが漂ってきただけで、ペニスが腹を打つ程反り返り。
悩ましげな女王蜂の声を聞くだけで、我慢汁をご馳走を目の前にした時の涎のごとく垂れ流した。
「はぁ……」
女王蜂は、何度目か分からないため息を漏らし、足を組み替えた。
フェロモンが辺りに漂い、男達のペニスがビクッと震えた。
彼女は、一番左の男を見た。
「ハニーが連れて来た男は、先っぽがわしのスイートスポットに当たって気持ち良かったのぅ……」
右隣の男を見る。
「コスモスが連れて来た男の精は、大層美味かったのぅ……濃厚な甘みが広がって、こってりしていて……」
視線を更に隣の男に移す。
「ジャムが連れて来た男は、いい声で鳴いてくれたのぅ……鼓膜がジンジン痺れるような……」
次の男を見る。
「メープルのは……」
働き蜂の一人、メープルはビクリと震えた。
その後も一人ずつ男を見比べながら、ぶつぶつと呟き、そして悩み、何度も何度も足を組み替えた。
そんな彼女の一挙手一投足に、夫候補達は律儀に反応した。
更に数分後、女王蜂は意を決したように立ち上がった。
そして、モデルを思わせるような足取りで右端の男に近付くと、目隠しを外した。
右手の人差し指で、軽く彼の顎に触れると、それを持ち上げ至近距離で女王蜂と視線を合わせる。
「そなたが、わしの夫じゃ」
そう言うと、彼女は自分の唇を、男の唇と重ねた。
「んん……ちゅ……ちゅぱ……」
最初は、軽くついばむようなキス。
「ふふっ」
女王蜂は小さく笑うと、男の口内に舌を侵入させた。
男の唇に、彼女の舌が触れた瞬間、男の体はビクッと震える。
「ん、どうした?緊張しておるのか。そんなに固くならなくてもいいぞ。わしとそなたは夫婦の仲ではないか。硬くするのは……ふふっ、ここだけでよいのだぞ」
男の耳元で淫らに囁き、人差し指でそっと彼の反り返った男性器の裏側をなぞる。
「ううっ」
男は電流が背筋を走ったかのように上体を仰け反らせ、勢い良く射精した。
「なんだ、もう漏らしてしまったのか。元気なのはいいことじゃが……うーむ、もったいないではないか。次からはちゃんと、わしの中に出すのじゃぞ。ふふふ……」
女王蜂は呆れながらも、どこか嬉しそうに呟いた。
だが、そんな笑顔はすぐに最初の事務的なものに戻り、女王蜂は妹である働き蜂の方を見渡した。
「妹達よ。今回はご苦労であったぞ。どの候補もわし好みの男ばかりじゃった。正直選ぶのに相当苦労したぞ。そして、特に彼を連れて来たシュガー、素晴らしい男を連れて来たな。礼を言うぞ」
女王蜂の労いの言葉に、末っ子のシュガーは、目を潤ませて感激した。
「何ともったいないお言葉!」
「では、わしはこれから夫と子作りをするから、もう帰ってよいぞ」
「はぁ……」
バンブルは椅子に座り、ため息を漏らした。
「どうしたの?なにか悩み事?」
働き蜂の一人、
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