<『二律背反』>
魔族が平然と地上に降りてくるようになってから、4年の歳月が経とうとしている。
魔族が地上に降りてきたわけには二つ考えられる。
一つは種族の数を増やすため、もう一つは人類の駆逐……。
それが偉い方たちの結論らしいが。
だが、こうなってしまった以上は、どう対処する?
勇者でも連れてきて魔王やら大魔王やらを討伐するのか?
はー、凄く偉いことですね。
「……今の状況、どう思う、お前は?」
「どうも思わんよ。ただ、こうなってしまった以上は受け入れるしかないだろ」
「確かにそうだけどよ……」と友人−式堂知樹は言った。
「………また、神隠しだってよ」
「サキュバスのか?」
「どうやら、そうらしい。あいつはもう帰ってこないだろうな」
そんなガヤが聞こえてきた。
「サキュバスの神隠しか。酷い話だよな」
「まあな……。サキュバスって言ったって、人を選ぶだろうよ。誰でも良いって分けないだろ?」
「かもな。……とはいえ、女の子も神隠しにあってるからな。なんでもそうなった子は『レッサーサキュバス』だってよ」
なるほど。面白いネーミングだな。
「どんだけー……。まあ、夜道には気をつけることにするよ」
◇
学校が終わり、家に帰ると『サキュバス』のコーラルが出迎えた。
「おかえりー、学校なんて詰まんないところなんだからさー、アタシと魔界に行こうよー」
「何を言ってるんだよ、バカ女。逆に犯されて帰りたくても帰れないくせに何を言う」
そう言うと、コーラルはふくれっ面になった。
このサキュバスは『俺が手なずけた』。
何故かというのは二週間前に遡る。
二週間前、俺は普通に夜道を歩いていると、サキュバスを見つけた。
なんとか逃げたのだが、誘惑され、その場でセックスされたが、精を出した瞬間に何かのスイッチが入り、「こんなところでやり続けるのも疲れるから俺の家に来るか?」と言った。
そのサキュバスはほいほいと俺の家についてきた。
そこから反撃を開始し逆にイカせ、サキュバスもざまぁねぇな、と思った。
それがコーラルと名づけたサキュバスとの出会いである。
そしてどういうわけか、俺はコーラルとの出会いの後、二人のサキュバスに遭遇したが、逆に捕らえた。
「お帰りなさいませ、恭二様」
「クォーツか、ただいま」
その一人がクォーツ。こいつはコーラルと違い、大人しく、何故か俺に「様」をつけるサキュバス。
「……今、帰ってきたのか、恭二」
「メイル。相変わらずだな、お前の態度は」
「ふん……。これは私の地だ、貴様が気にするほどとも思えん」
そしてもう一人がメイル。
エリート中のエリートらしく、サキュバスの中では一番らしい。
その所為か、やたら偉そうに俺と接する。……まあ、これとあの時のギャップが楽しくて気に入っているのだが。
「それにしても、三人そろってどうした? 足りないのか、精液が?
だったら、お前らの言う『インキュバス』にすればいいのにさ」
「いやぁ、そうじゃないんだよねー」
「人間であるから恭二様が好きで……」
「……それならそうしてやってもいいんだがな、この二人が反対するんだよ」
「メイルッ! それだけはずぇったいだめぇーっ!」
「いけませんよ、恭二様を『インキュバス』にするのは!」
と、メイルの提案にコーラルとクォーツが怒鳴る様に言った。
「はぁ……。なんでだよ。俺に恋してるからなのか、人間である俺に……」
ため息混じりにそう言うと、三者三様に顔を赤らめる。
「そ、そんな訳ないじゃん……」
「い、いや、そんなコトを申されても……」
「……ふん」
「全く……。お前ら、そろいにそろって弱すぎ。他のサキュバスに食われてくる」
そうすると、何故かメイルが玄関先に立った。
「ダメだ。それだけは許さん」
「んだよ、メイルがどうしてそんなコトをするんだよ。どけよ」
「――それは、私がお前を『食らう』からだ」
……くっ……、この感触。誘惑の魔術か。
「うおっ……?!」
「……身体は正直だな。本当に……」
メイルが俺を押し倒し、股間を見て言った。
「そ、そりゃ、お前が魔術使うからだろ……。それにお前の身体は俺好みだし……」
三人に共通していることは、巨乳でくびれがあり、お尻も大きいことだ。
サキュバスは、男性の欲望に対応するように多種多様に進化したという話がある。
コーラル、クォーツ、メイルの様に巨乳でくびれがあるサキュバスもいれば、子供みたいなサキュバスもいる。
性格も様々で、コーラルの様に"まるきゅー"だったり、クォーツの様に大人しかったり、メイルみたいに傲慢だったり。
やはり、性格も多種多様なんだろうな……。
「それなら、素直に私に食われたい、って言えばいいのに……。私に似て素直じゃないんだ
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