三大美人の湯

 
〜譲れない拘り〜

ふむ、・・・今日も妾は美しい。均整の取れたプロポーション。男を魅了してやまないエキゾチックな褐色肌。透き通った夜空を思わせる腰まで流れる黒髪。一歩踏み出せば激しく存在を主張する胸。ふふふ・・見よ、妾の美しい腕を足を、爪先まで全てを吟味するが良かろう。

「やはり妾は美しい。妾こそが至高。全ての男達よ、妾の前に平伏すが良かろう」

フッ・・決まったな。今日こそは妾に釣り合う男に巡り会える事を期待しようではないか。








「ん〜〜〜♪今日も私のお肌はピッチピチ。見て、この鱗の艶。最高じゃない、そう思わない?どうしてそこで返事してくれないのかしら?あ、それとも返答に困ってるのかしら?可愛いんだから〜・・もぅ・・・巻き付いちゃう
#9829;」

うん、良し!予行演習はばっちりね。今度こそはヴァージンロード一直線よ。待っていてね、私だけの王子様♪もし・・・他の女性に近づいたらどうなるか・・・

わかってますわよね?








んんん・・・・、もう夜明けなのかしら・・。はぁ・・・、あまり期待してませんが今日も行きましょうか・・。あの子達は初日で見つかったというのにどうして私だけ巡り会えないのでしょう。

「私には運が無いのかしら、それとも・・・私には魅力が無いのでしょうか。それとも、私の棲家が海底なのがいけないのかしら・・。いえ、それならあの子達も同じ。私に何か足りない物でも・・?」

考えても仕方ありませんね。待っているだけでは都合の良い答えは来てくれません。今は行動あるのみ。待っていてください、未来の旦那様。










「ふんふふ〜ん♪さ、今日も一日頑張るわよ〜」

いつもの座布団良し、TVの位置も良し、休憩所の掃除も完了。後は〜・・・シャンプーと石鹸の補充かしら。ボイラーの調子はネーちゃんと熊ちゃんに任せておいて、っと。さて、シャッター開けましょう。


-ガラガラガラガラガラ・・・・-


「ん〜〜〜〜〜♪今日もいい天気・・・ね・・・ぇ・・・」

な、何かしら・・この状況。シャッター開けたら目の前にエキドナのリュナ、ファラオのリリーシュ、それにクラーケンのアルスリーフェが陣取って・・・。それになんだか殺気立ってるし・・。

「遅いぞ、開店が一分遅れていたぞ」

「はぁ・・待ちくたびれてしまいましたわ」

「・・・お客はまだ私達だけですか」

「い、・・いらっしゃ〜〜い・・・」

平静に平静に・・大丈夫よ、私。こんなのいつもの事じゃない。

「では、妾に相応しい風呂に入るとするか」

「水風呂以外でのんびりしますか〜」

「潮湯潮湯〜」

・・・・一体なんだったのかしら?








ほぉ・・・・、この五右衛門風呂というのは中々の物じゃな。それに給仕に酒を頼めるとは粋なものだ。はぁ・・酒が美味い。それにしても何故に給仕がゆきおんななのだ?せめて若い男にしてくれんか。

「ま、美味い酒が呑めるなら良し・・か」






やはり大浴場はいいものですね。私の長い蛇体でも簡単に納めてくれますし・・、ですが・・・。

「時間が早かったのでしょうか・・、私以外に誰も浸かってませんわ・・」

早い時間ということは・・・あちらは誰もいらっしゃらないのでしょうか。少し寂しいですわね。






「ふぁぁぁ〜〜〜〜〜〜♪潮湯気持ちいいわ〜
#9829;・・・ハッ!?和んでる場合ではありません!今日こそは!・・・・今日こそは・・・」

今日こそは運命の出会いをしてみたいですわ。これを言うのも何度目かしら?10回?20回?いえ、もっと言ってますわね。はぁ・・・、いつになったら私は結婚出来るのでしょう・・。最後の神頼みでもある『金玉の湯』に来て一ヶ月以上経ちました。もしかして私には縁が無かったのかしら。

「・・・・はぁ・・」






「さて、他の湯にも浸かろう」
「何か無いかしら?」
「偶には潮湯以外にも浸かって気分転換しましょう」





ぬ?この木製扉は一体何だ?このような物を見た覚えが無いぞ?いや・・見たな。興味が湧かなかったので一度も開けた事が無いはずだ。どれ試しに入ってみるか。・・・・む?



最近肩凝りが激しいから電気風呂に浸かりましょうか・・、おっぱいが大きいと本当に辛いわねー。って、あら?リリーシュさんあんな所で何してるのかしら?


いつもいつも潮湯ばかりでは飽きてしまいますわ。たまには違う御風呂に浸かって・・あら?何してるのかしら?



「・・・・そうか、ここが妾の新天地であったか・・。今まで気付かぬとは・・ん?」

「どうしました?はっ!?・・・ここは・・」

「その扉はなんでしょうか?なっ!こんな所に・・・そんな・・」



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