此の世に生を受けて27年。そう、27年だ。俺の27年間は一体なんだったんだ。周囲を見ればカップルだらけで、しかもほとんどが結婚してるというのに俺は付き合うどころか、女とまともに会話した事ないし、触れた事すら無い。親父達の若い頃みたいに魔物娘が居なくて結婚するだけでも必死だった時代じゃないってのに、友人知人の間では俺だけが独身になってしまった。なんで俺だけこうなっちまったんだろうな。
「な〜〜んで、こんな事になってんだろな、俺・・・」
「そりゃお前が悪いんだろ?好みの欄に『清き乙女求む!!』なんて書くからだよ」
「それの何が悪いってんだ。男だったら一度は誰でも思う事だろうが」
「はぁ…周りを良く見ろよ・・。お前の童貞を奪おうとして殺気立ってるのが結構居るんだぞ。清き乙女とか言う前にさっさと誰かに喰われてこいよ」
御断りだ。俺は意地でも清き乙女に出逢ってやる。例え何年掛かっても・・30歳までには・・見付かるといいな・・。
「ああ・・わかったわかった。夢見るのもいいが、早い内に現実を見ろよ?・・あぁ、そうそう。珈琲飲んでこの店出たら速攻でダッシュしろよ?」
「あぁ?何言ってんだ?」
「後ろに居るセイレーンとハーピーが涎垂らしてるぞ。たぶんお前の童貞を狙ってるようだからな…」
「貴重な情報サンクス…」
それじゃ会計済ませて出たほうがいいな。って、レジ打ちのダンピールの目が怖い。
「今日は俺の奢りだから、先に店出ててくれよ」
俺にアイコンタクトを送りながら、早く帰れと促してくれる友人に感謝。それじゃあ・・せーのっ!!
「んじゃ、先にいつものとこに行ってるからな!」
もちろんこれは嘘。店を出た瞬間、俺は弾けるようにして家までダッシュ。後ろから複数の声が聞こえてくるがひたすらに家まで走る。何度も無意味に角を曲がりひたすら追っ手を撒く。どうやらなんとか撒いたようだ。だが安心は出来ない。いつ見付かるかわからないので必死に家まで走る。
「・・・はぁー・・はぁー・・、今日もなんとか・・」
家に到着するなり玄関の鍵を3重に掛け窓という窓を全てロック。これで良し。おっと、ゴースト対策に御札も貼っておこう。これで俺の童貞は護られる。まだ見ぬ清き女に逢う為にも大切にしておかないと。それに後3年護り続ける事が出来れば本当に魔法使いになれるのかも試してみたいし。
「魔法使いか・・いいな。世界を守っている最中に美女と出逢って恋に落ちるみたいなシチュも最高かも・・」
俺の妄想がマッハで最高の気分だぜHuuuuuuuu!!ん、なんかガンガン五月蝿いな。おおぅ、窓にゴーストが何人も張りついてる。
「妄想ならあたし達に任せなさいよ!!一瞬で昇天させてあげるんだから!」
「要らんわ!!早く帰れ!」
「この御札邪魔なの!!」
むぅ、・・・もう一枚貼っておくか。ぺたり、と・・。
「ああっ!?なんて事すんのよー!入れないじゃないの!」
これで良し。カーテンも閉めて見えないようにしておこうか。外で何か叫んでるが気にしない。30分もすれば諦めて帰ってくれるだろうし。しっかし暇だよなあ。最近あまり外出してないし、かと言って出れば今日みたいに追いかけられる。おまけに窓の外にはゴーストがテンコ盛り。息つく暇もありゃしない。
「なんかいい暇潰しないかなー」
暇潰しにちょっとだけゲームでもしてみっか。って、最近のゲームって全部エロゲーだったな。やめとこ。・・・な〜〜んてな、昔親父がやってたシューティングがあるんだよな〜♪
「おおっ!はっ・・すげー迫力だなぁ・・。親父が・・・おっと!若い頃・・ゲーム好きで良かったぜ・・ほっ!・・今じゃ・・手に入らない物・・っととと・・ばかりだしな」
親父いい趣味してたんだな、これすっげー面白いし、刺激ありすぎだぞ。あああ・・・やられた。
「はぁー・・すっげー面白かった!また今度親父の部屋からこっそり持ってくるか」
「そうかそうか、面白かったか」
「おう、すっげー最高だったわ。もっと他のやつもやってみてえ」
「そうかそうか・・・だが駄目だ」
あれ?俺、誰と喋ってんだ・・、それになんで背後から親父の声が。
「・・・・んげっ!?親父仕事じゃなかったんかよ!?」
「俺の秘蔵のゲームを勝手に持ち出してたのはお前か・・全く」
ああああ・・・・お、俺の楽園が去っていく・・。今じゃもう二度と手に入らないと言われてる有名なRPGやシューティングがああ・・・。くそっ・・、まぁいい。またこっそり親父の部屋から拝借してやる。さて、困ったな。またもや暇になってしまったか。ふぅ・・・、金は持ってるのに外出出来ない身が悔しい。今日みたいに喫茶店に行けば、そこらじゅうから視線を浴びせられるし、本屋に行けば本の中からイ
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