〜湯上がりに紅茶をどうぞ〜
あー、そろそろ上がっていつものやつをキュッと一杯呑んでいくか〜。ここの女将さんが出してくれる酒は毎度毎度最高だし。一体どこの酒か気になるとこだがなかなか教えてくれない。極秘と言われると気になって気になってしょうがないが、女将さんは絶対教えてくれんしなあ。ま、旨いからすぐに満足して忘れちまう俺もあれだが。さぁて、今日も女将さんから旨い酒を頂こうか。
-カララララララ・・・・・・-
「はぁ・・・、さっぱりした。さて・・・ちょいと涼んだら軽く一杯引っ掛けてやるとするか」
風呂上りの扇風機は気持ちいいな。最近は滅法冷えてきたからそのままでもいいけど、やっぱ火照った体には扇風機が一番だ。んじゃ、ちょいと一服すっか。
「フゥー・・・・、いつもながら涼みながらのタバコは最高・・」
でも、なんだか周囲の目が怖いな。って、俺しか吸ってないんかよ。そりゃ風当たり悪いわな。しょうがない、消そう・・・。はぁ、・・・灰皿設置してあるのに吸い辛い環境は精神に悪いな。あー・・なんだっけ・・受動喫煙?とかいうアレのせいで吸えない環境が増えたんだったな。これじゃあ生殺しじゃねえか。ま、ここで愚痴っててもしょうがない。さっさとカウンター行って一杯呑むか。
「女将さーん、いつもの一杯くれないかー」
「は〜い♪い つ も の こ れ ♪」
「これこれ♪待ってましたよ〜」
ああ、この熱燗が堪らない。たった一本なのに極上な気分を味わえるのが最高に心地良い。それに、美人な女将さんからの手酌で呑めるのも役得だしな。おっとっと・・、余計な事考えてたら零しそうになっちまったよ。
「ふはーっ・・、やっぱ美人な女将さんからの手酌は最高に旨い!」
「煽てても何も出ませんよ♪」
「いやいや、これだけで十分ですって」
ん〜、やっぱ最高だわ。美人で明るい妖狐の女将さんと極上の酒。これで明日も頑張れるな。っと、誰だよ急に隣に座って、今いいとこだっつうのに。
「ふふ・・・、キミはそのお酒だけで本当に十分満足しているのかい?」
「当たり前だろ!美人で器量良しな女将さんからの手酌。それに喉を通った時に残る酒精が鼻の奥までツンと登ってきて最高に気分を昂ぶらせてくれる」
「ハハッ、キミはまだまだだね。確かにお酒もいいだろうとは思うよ。だけど・・・キミはまだ本当に美味しい物に出逢ってないみたいだね」
本当に旨いもんに出逢ってないだと?酒以上に旨い飲み物なんてあるわけないだろ。それにコイツは誰だ?見たところ、フォーマルスーツを着てるような感じの女性だがなんか妙だな。頭にはシルクハットだし、所々にキノコの刺繍が入ってるし。えーと、こういうのなんて言うんだっけ。ああそうだ、男装っぽいってやつだ。ま、かなり美人だからいいとして。
「それじゃあ聞くが・・、女将さんの酒以上に旨い飲み物ってどこにあるんだ?」
「まだわからないのかい?それともキミは私を焦らして試しているのかい?」
「試す?何の事言ってんだ?カウンターには、俺が注文した酒しか無いがどこにあるんだ?」
「キミも疑り深い人だね。これでどうかな?」
ん、シルクハットを俺の前に差し出して何するつもりなんだ?
「さ、この中にあるから出してみるといいよ」
「ハッ・・手品じゃあるまいし、早々上手く出てくる・・・出てきたよ・・」
なんでシルクハットの中からティーカップが出てくるんだよ。しかもきっちり中身まで入ってやがる。これは・・紅茶か。
「あら、なかなか良い香りがするのね」
「お褒めに預かり光栄です」
「確かに香りはいい・・、問題は味だな。見た所、普通の紅茶みたいだが・・」
うーん、どう見ても紅茶・・・だよなあ。しかしなあ、・・・酒呑んだ後に紅茶ってのはちょっと・・。
「どうしたんだい?別に毒なんて入ってないから安心して飲むといいよ。・・・それとも、今更になって怖気づいたのかい?」
「いや、酒呑んだ後に紅茶ってのがちょっと・・なぁ」
実際、酒の後の茶って絶対負けるんだよなあ。結局、酒のほうが喉に残っちまうし、茶の味なんて一瞬で消えちまうからな。
「騙されたと思って一口飲んでごらん。味は私が保証するよ」
「・・・まぁそこまで言うんなら・・」
恐る恐る一口だけ飲んでみる。
「・・・ッ!?な、なんだこれは!本当に紅茶なのか!?」
どこをどうしたらこんな甘味が出せるんだ。砂糖じゃない何かが入ってる。一体何が・・。
「どうかな?キミの口に合わなかったかい?」
「・・・こんな紅茶は初めて飲んだ。どこの茶葉を使っているんだ」
「ねぇ、私にも頂戴。ちょっと興味湧いちゃったわ♪」
「はい、どうぞ。存分に味わってもらえると嬉しいよ」
「ん〜♪本当にいい味だわ♪」
な
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