舞う髪は誰が梳く

 
〜心の拠り所〜

都会は怖い所です・・・。上京して一ヶ月経ちましたが全てが目まぐるしく動いて付いていけないです。でも私は頑張って人見知りを治し、皆の輪に入れるように努力します。こんな情けない娘ですが、温かく見守ってください。・・・大好きなお父さん、お母さんへ・・。

「あぅ〜・・やだら変な言葉づがいになっでしまっだ〜・・」

あ、いけない・・地が出ちゃった。早くこっちの言葉を覚えないと・・。でも・・むずがすぃなぁ・・。今んで山の中さ居だがら訛っでしまうべ・・。・・あぅ・・。

「はぁ・・・、都会の人さ・・カッコええなぁ・・。あんなにはっきりしゃべってー・・・」

どうせあだしは田舎臭くてのっぽで・・他の人より手も足も大きくて・・。それに・・あだし・・都会の人さみたいに可愛くないし、良い匂いしないし・・。髪も手入れなんてしだごと無がったがら〜・・ぼさぼさだすぃー・・。

「都会さ・・ごわいどごだなぁ・・」

うぅん・・、が、頑張らないと・・。お・・おおお・・お父・・さんとお母さんが許してくれた一人暮らしなんだし・・。あ、今きちんと心の中で言えた!よがった〜、訛ってたかと・・。・・・・よがった〜じゃなくて良かった・・です。

「よ・・よし!頑張りゅ!(ガブッ!)・・・・いはぃ〜・・・ひた噛んじゃっら〜・・」

舌が痛いです。悲しいぐらい痛いべ。こんな調子でこっちで暮らせるのかなあ・・。あ、そろそろ夕餉の支度しないと・・。

「いづ触っても・・小さいなあ・・」

毎日使ってるのに小さく感じる片手鍋。あだしの手がおっぎいからなんだろうけど。あだしの手じゃ似合わない・・。こうなる事がわがっでだのに・・。

「あだししか食べない料理・・さびしーなぁ・・」

せめて隣に誰かが居でぐれだら。でも・・こんな田舎丸出しでー都会の子達みだいに可愛くないあだしなんて一緒に居でも・・。

「御飯食べたら・・・お風呂行こう・・」

あそこならあだしの言葉笑っだりする人居ないしー。それに皆やさすぃーから・・。一人で食べる御飯って美味しくない・・。早くお風呂いごう・・。

ぺたぺたぺたぺた・・・、すごく大きいビーチサンダルを履いて銭湯に向かう。あだしの足・・おっきすぎるから合う靴が無くて。あぅぅ・・皆ジロジロ見でる・・あだしのおっきな足見でる・・。おっきな手見でる・・。はやぐ銭湯に入りたい・・・。

「こ、・・こんばんは・・」

「・・!!いらっしゃ〜〜い、チェトちゃ〜〜ん♪んー・・・Chu♪」

女将さん、いづもあだしの頬にキスしでぐる・・・。うれしーけど・・出来れば男の人さ来てぐれだらー・・・。

「あらあら・・浮かない顔してるわね?ダメよ、そんな顔してちゃ折角の可愛い顔が台無しじゃない。だから〜・・んー♪」

あだしなんてー・・そばかすだらけで可愛くないし。・・はやぐお風呂入って帰ろう。脱衣所で裸になった後に気付いた事が・・。

「しゃんぷー無い・・」

容器の中はほとんど空だ。女将さんに頼んでこよう・・。

「す・・すいませぇん・・。しゃんぷー・・ください」

「は〜い、シャンプーどうぞ〜♪」

・・・、『ドリアードの樹から抽出したエキスをたっぷりと混ぜ込んだ新しい新感覚シャンプー。これで貴女も大自然の匂いを醸し出す森女に』

「・・・・・・・」

森女って?田舎臭いって事?わがんね・・。ぁ、でも良い匂い・・。心無しか頭に咲いてる花も喜んでるみたい。あ、頭の花引っ込めておかないと・・、ちょっとだけ隠れてて。

「あう・・、花さ引っ込めたらぼさぼさの髪が目立っでしまう・・」

はやぐお風呂入って帰ろう・・、あだしの髪皆と違ってぼさぼさだから恥ずかしい。


<カララララララ・・・・・>


はぁ・・、ここのシャワー高い位置にあるからこんなあだしでもゆっくり浴びれて気持ちいい。・・皆いいべな、綺麗な髪さして・・、あんれ?皆あだしと同じしゃんぷー持ってる?都会の人さー、もっと綺麗なしゃんぷー使ってると思ったのに。

「・・・」

もしかしてー、これってすごく良い物?・・・つ、使ってみんべ・・。んっ・・、冷た・・。でも、・・ええ匂いするだ・・。家に帰っだ時と同じ匂いだ。

「ん♪気持ちええ・・」

ぼさぼさの髪が泡に包まれて気持ちええ・・。それに匂いもいいだ。うう・・・なんだかー実家に帰りたくなっできたぁ・・。と、とりあえずはやぐ泡流さんとー・・。あれ?髪が・・。

「髪・・・柔らけー・・?」

あだしの髪柔らけーなあ・・、匂いもええ・・。これってもしがしてーしゃんぷーの・・?

「・・・も、もう一回だけー・・」

もう一回だけ洗ってー・・・、あ。

「ふ・・ふわっふわだあー・・・♪」

あだしの髪ー、ふわっふわだあー。気持ちええだ!これならー、あだ
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