か。
<カラララララ・・・>
ふぅ、さっぱりした。早く体拭いて番台前の涼しい場所で少しだけまったりしておこう。ついでに冷たいもんでも飲もうかな。
「んで、何飲もうか・・・うっ・・」
やっべー・・、扇風機の前にオーガが居座ってるよ。しかもすっげー爽やかな顔で涼んでやがるし。くそっ・・どうしたらいいんだ。
「・・・・(触らぬ鬼に崇り無し・・・と)」
しょうがない、諦めて奥の椅子にでも座って何か飲んでよう。それじゃあ・・。
「ぁ、フルーツ牛乳の瓶みっけ」
久しぶりに瓶入りのフルーツ牛乳見たな。これすごく美味いんだよ。
「これ貰っていくよー」
番台に金を置いて奥に設置してある椅子にのんびり座る。この場所もそこそこ涼しいけど、やっぱ扇風機前が一番だよなー。
「はぁ・・・、ここだとちょっとだけ暑いな・・ん?」
俺の隣に僅かに髪が濡れてる小さな少女がちょこんと座っていた。全身が薄い緑色だけど、この子ってもしや・・シルフなのかな?どうやら俺が持ってるフルーツ牛乳に興味があるみたいだけど。
「もしかして・・これ欲しいのか?」
「・・・・・うん」
「・・・いいよ、半分飲みなよ」
紙蓋を外してシルフの前にコトンと置くと小さな両手でしっかり掴んでコクコクと音を鳴らしながら飲んでいく。なんだかちょっと歳の離れた妹を相手にしてる感じだ。実際は妹なんて居ないんだけど。
「美味しかった〜♪ありがとう
#9829;」
「いやいや、んじゃ俺も・・」
残った半分を一気に飲み干す。まだ冷たかったフルーツ牛乳は俺の喉を満足させながら胃に落ちていく。少し物足りない量だけど。
「お兄ちゃん・・まだちょっとだけ暑そうだね?」
「んぅ?あー・・風来ないしなー」
チラリと扇風機を見るといまだにオーガが御満悦の様子で真正面に陣取っている。こりゃ当分は涼しくならないな。
「それじゃこれのお礼に私が涼しくしてあげるね〜」
シルフが俺の膝の上にちょこんと座って指をくるくると回すと体中が微風に包まれている感じがした。これってもしかして俺の周りの空気を操ってるのか。
「もうちょっとだけ強くするね♪」
「おおおおお・・・・、なんだこれ・・。すっげー涼しいー!」
まだ僅かに濡れていた俺の髪とシルフの髪が周囲を漂う風によって乾かされていく。これって天然の扇風機みたいだな。暫くの間、俺はシルフを後ろから抱き締めたまま風を味わう。もし妹が居たらこんな感じなんだろうか、とシルフを抱き締めながらも不謹慎に考えてしまう。
「ね、お兄ちゃん、気持ちいい?」
「ああ、すっげー気持ちいいよ。風を操れるってすごい便利いいんだな」
「・・・風だけなの・・?」
「いや・・・」
俺はシルフを後ろから強く抱き締めて言う。
「こうやって抱き締めてると・・・なんだか歳の離れた妹を抱いてるみたいで落ち着く・・。あ、でも・・実際は俺には妹は居ないんだけどな」
「・・・・・ぅん
#9829;」
「もう少しだけ・・こうしててもいいか?」
「・・・うん、いいよ♪」
少しだけ歳が離れたようなシルフの少女を抱き締めながら風を全身に受ける。あまりの心地良さに少女を強く抱き締めてしまう。
「ぁん♪・・・お兄ちゃんのエッチ・・・・
#9829;」
「・・・?あっ!ご、ごめん!」
気付けば少女の胸に手を置いていた。これって痴漢行為じゃないか。急いで手を放そうとするが少女ががっちりと俺の手を掴んで離れない。
「ちょ、ちょっと・・」
「ね、お兄ちゃん・・・、これからも気持ち良くなりたい?」
言われた意味がわからない俺じゃない。きっとこの子は契約がしたいのかも。
「俺でいいんなら一緒に」
「ほんと!?本当にいいの!?」
シルフの少女をこちらに振り向かせ優しくキスをする。
「・・・・
#9829;」
「・・・ん、それじゃ帰ろっか」
「うん!帰ろ♪」
シルフの少女に肩車して暖簾をくぐり外へ出る。帰り道、外は地面からの放射熱でまだまだ温度が高かったが、優しい風が俺達二人を包んで放射熱から守ってくれる。
「お兄ちゃん涼しい?」
「涼しくて気持ちいいぞ」
「♪」
肩車されたシルフの少女は俺の頭の上で御機嫌にも鼻唄を奏でている。なんだかこういうのもいいな。俺は一人っ子だったからこんな事に憧れを持っていたし。
「それじゃこの出逢いに感謝して・・今日の晩飯は奮発するか!」
「やったぁ♪」
頭の上ではしゃぐ少女の頭を撫でながら晩飯の献立を考える。道往く人が汗をかきながら歩いてるのを見てるだけで少しだけ優越感を感じてしまう。この少女に出逢えてよかったなぁ、と。
それにしても・・・・
嗚呼・・・・涼しいなぁ♪
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