雨上がりの後には

う〜〜ん、やんなっちゃうわねー・・。最近雨が多くて御店が湿気ちゃうわ。おかげで台の清掃にすっごく時間が掛かっちゃうじゃない。こう、魔法でパパッと綺麗にしてもいいけどやっぱり自分の御店だから手作業で綺麗にしなきゃね。そうじゃないと折角契約してくれた子達に失礼だわ。ま、時間はたっぷりあるんだし、気長に御掃除しましょうか♪って・・あら?こんな大雨の中、御客様がお見えになるなんて・・・。



あらら・・・、随分とずぶ濡れになってしまって。早く乾かしてあげないと風邪ひいちゃうわ。えっと・・・代わりの服あったかしら?・・・なんで御店にジャージがあるのかしら・・?この際だからジャージでも何でもいいわ。御客様の服を乾かしてあげないとね。あ、タオル忘れてたわ。タオル、タオル・・・と。



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車に揺られる事、一時間半。今日から憂鬱な泊まり込みの山間部の道路整備がある。別に仕事に対して不満があるわけじゃない。給料もいいし、福利厚生の面でも待遇がいい。だが、それでも俺には一つだけ不満があった。それは・・・。

「おー、・・・やっぱ晴彦と組んだら絶対に雨が降るなぁー。晴が名前に入ってるのに雨とは」

「・・・そうですね・・」

「そう不貞腐るなよ。お前のおかげで作業日数が延びて手当てが増えるんだから逆に有難いぞ。なぁ、皆そう思うだろ?」

「日数掛かるのはしょうがないとして、やっぱ手当てが増えるのは助かるわなー。最近、嫁が金の面で煩かったから今回の出向は晴彦と組めて本当に助かったよ」

いつもこんな風に言ってくれるのは嬉しいけど、どうして俺が山間部の整備や点検する時に限ってやたら雨が降るんだ。おかげで社内じゃ『雨男の金稼ぎ日』なんて二つ名を貰ってしまった。しかも、俺が山間整備のローテーションに入ると必ずと言っていいほど御決まりのメンバーが付いてくる。例えば、ちょっとでも日当を稼ごうとして付いてくる人、雨を気にしない豪快なおっさん、入社した時から自分を鍛えてくれた班長。大雨だというのに誰一人として文句を言わないメンバーばかりだ。だけど文句を言わない理由が一つだけある。その理由とは。

「しかし、あれだのー?晴彦と組むと雨になるのはわかってるんだが・・」

「ああ・・あの不思議現象には参ったな」

「・・・そうだな。でも、そのおかげで俺達は生きてるんだしな」

普通、山間部で大雨が降ればそれなりの災害を招き寄せる。地崩れであったり、崩落であったりと様々な危険が付き纏う。もちろんそういう目に何度も遭ってるが誰一人として負傷した事が無い。別の班が整備担当した時は数人病院に担ぎ込まれたのに、うちのメンバーだけは無傷だ。

「ありゃー驚いたわなー。上のほうで土砂崩れして巻き込まれるかと思ったら目の前で大木が数本引っ掛かって土砂が堰き止められたし・・」

「岩が落ちてきた時なんて何故か俺達の頭上をバウンドしてどっか落ちていったしなー」

「全くだ・・。晴彦と組んでからは今までずっと無傷なんだよな、俺達」

そう、大雨で起きる危険な現象は全て避けている。それも偶然という言葉では済ませれないほどの数を。だからこそ、大雨だというのに皆喜んで付いてくる。

「おお、そうだ晴彦。最近になってお前の渾名がまた増えたみたいだな」

「・・なんですか?」

「『病院知らずの晴彦』ってな」

なんだか頭が痛くなってきそうだ。悪い意味じゃないだけ多少ましってもんだが、そういやなんで誰も怪我一つしないんだろうな。

「・・・とっ、着いたぞ。さ、通行止めの準備すっか」

俺は雨具を被り車両通行止めの柵を設置して後から来た車を迂回させる。やはり雨のせいかあまり車が来ない。まぁ、これはこれで作業が楽になるからいい。

「おーい、晴彦。ガードレールのほう頼むわー」

「あーい」

俺はガードレールを一つ一つ眺め傷の有無の確認作業に入る。また傷が減っている。これはきっと魔物娘達のおかげだろうな。暴走行為を楽しんでた連中がこぞって襲われた・・・いや、見初められたせいで馬鹿な走りを辞めてくれたんだろう。だけど・・・。

「この傷はなんだかなぁ・・・」

ガードレールの上部にどう見ても手形らしき凹みがいくつかあった。

「ここに手を付かせて青姦してたんだろうな・・・。するのは自由だけど頼むからガードレールを手摺りにしないで欲しいもんだ。魔物娘が本気で握ったらこの程度なんて簡単に曲がるんだから・・」

きっとイった瞬間に強く握ったんだろうと考えてしまう。物損事故が減るのは嬉しいけど、こういう破損は勘弁してほしいなあ。取替え工事って結構時間掛かるんだぞ。

「しょうがない、また取替え申請出しておくか。って、
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