と、ある新魔領の端に住む若い男が自室で頭を抱えながら机に置かれた真っ白な原稿用紙を見つめている。悲しい事に一文字も埋まっていない原稿用紙は埃が積もり始め書こうという気力を根こそぎ萎えさせてくれる。
「…な〜〜〜んも書けねぇな」
椅子に座りながら愚痴るが書けない物は書けない。想像すら許してくれない。この男、(一応)小説家なのだが当たり外れが大きい事で有名な著者なのだが今回ばかりは大外れになりそうな予感がした。今までは当たり外れがあるものの最後まで書き切ったのだが、今目の前にある原稿用紙は新雪が降り積もったかのように真っ白のままだった。
「ネタが降ってくるなんてありえないし、…そうだ!ネタを考えた振りをしてそれをネタにしてしまえば!・・・・一番最悪な自虐小説になりそうだな・・。それだけは辞めておこう・・・」
頭の中は堂々巡りになってしまい考えるだけで億劫になってしまう。
「しょうがない……、今日は諦めるか・・」
今日は、では無く、今日も、が正しいのだが。情けない溜息を吐きながら椅子を前後にギコギコと揺らし意味の無い時間潰しをしてる最中に突如ネタが降ってきた。正確には飛び込んで来たが正しいのかもしれない。
「どういう事なの!なんでお尻にぶっかけちゃうのよ!」
少しばかり離れた隣家から聞こえてくる叫び。どうやらお隣さんは情事の真っ最中だったようだが旦那さんが膣内射精をせずに尻にぶっかけをしたみたいだ。魔物娘は無駄撃ちをとことん嫌う。そんな当たり前の事を考えていると今度は旦那の言い訳が聞こえてくる。
「す、すまない!君の尻を見ていたらどうしても僕の精液の匂いを擦りつけたくて・・。君が僕の大事な人だという証を全身に・・・」
途中から何も聞こえなくなったが、どうせ無駄撃ち分を取り戻す為に嫁に襲われたんだろうと邪推する。
「・・・・・、そ・・そうだ!これだよ!!なんでこんな事に気付かなかったんだ!!」
男は原稿用紙に積もった埃を軽く払い除けると一心不乱に文字を埋めていく。原稿用紙を埋めていくその姿からは絶対にバカ売れさせてやる、といった気迫が感じられる。その原稿用紙の右端に書かれたタイトルは『自慰行為や無駄撃ちの言い訳を教えます!!』。なんとも史上最低最悪なタイトルだが、これがまさか後々にインキュバス諸兄達に買い漁られベストセラーに入るとは誰も思わなかった。
今回は、その中の一部を紹介しようと思う。
<サキュバスが妻の場合>
自室のベッドで男がペニスを扱き息を荒げている。妻は出掛けているのだろうか姿が見えない。誰も居ない独りきりのベッドの上で男は仰向けになったまま妻の痴態を妄想し、ローションまみれのペニスを上下に扱く。男の妄想が限界にまで達したのだろうか、ペニスの先端が膨れあがり打ち上げ花火のように大量の精液を吐き出しベッドを精液で穢していく。
「はぁー・・・はぁー・・。たまには嫁の痴態を妄想して抜くのも・・いいな」
息を切らしながらも満足した男は、嫁に見つかる前にベッドを綺麗にしようと体を起こした瞬間、運悪く嫁が帰宅してきた。
「…これって・・どういう事かしら・・・?私が居ない間に・・無駄撃ちするなんて・・」
妻であるサキュバスのこめかみに薄くだが青筋が出ているのがわかる。出掛けている間に大切な精液を無駄撃ちされた事に対する怒りが全身から発せられているのが見える。
「ち、違うんだ!話を聞いてくれ!」
「何が違うって言うの!もしかして私に飽きたの!?それともまさか・・御向かいの牛乳娘でオナニーでもしてたの!?」
向かいに住むホルスタウロスに欲情したと思われて悲しい顔をする夫だが、それでも必死に言い訳を考える。
「こ・・・これは、君に満足してもらいたくてオナニー・・してたんだ・・」
「…どういう事かしら・・?」
妻の為に、という意味に反応したサキュバスは先を促す。
「君が・・最近のセックスがマンネリ化してる事に悩んでいた事を俺は知っていたんだ・・。だから・・だから君の為にも!俺の為にも(重要)!精液ローションベッドで御互いに興奮を高めてからせックスしようと思ってオナニーして準備していたんだ!」
「・・・!!あぁ・・、アナタァ・・・。そんな考えがアナタにあったというのに・・私ったら・・・。ご、ごめんなさい・・アナタァ〜・・・、そんな事を言われたら・・・もぅ、もう私我慢出来ないの!アナタのザーメンベッドで私の穴という穴を犯してちょうだい!!」
精液でべとべとになったベッドにもつれあうようにして飛び込む妻と夫。妻はベッドに飛び込むと体中の至る所に愛しい夫の匂いを擦りつけようと体をよじり着ている服に濃厚な精液の匂いを染み込ませていく。
「あぁ〜♪私の服がアナタのザーメンの匂いでイ
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