もしも、誰もがパーラーの存在を当たり前のように知る事になったのなら・・・。
ピンクの霧が日本を覆い尽くしてから早半年。今まで極秘裏に進んでいた魔物娘達の行動が明るみになった頃、ネット上に嘘か真か既に魔物娘を娶った男性達の画像が掲載された。セイレーンを抱き寄せる若者、アリスに肩車している大学生、家族写真だろうか妖狐2人に左右から腕を組まれている男性と僅かながらも載せられていた。その画像を見ていた若い男性が一人呟く。
「ほ、本当にこんな世界になるなんてな・・・」
まだ数少ない魔物娘の画像を見ながら悦に浸る男性。個人の紹介や種族などに目を通した後、最後のコメントで驚愕の事実を知ってしまう。
「ふ〜ん・・出逢いは・・。・・・ぇ?パー・・ラー・・・DE☆A☆Iだと・・・!!」
正直ありえない話だ。それは男性が小説を投稿しているサイトの中で稀に読む程度のSSの話だったからだ。だが、男性は思った。こんな世界になったのなら・・・常識が通用しなくなるはずだ、と。男性は何か意を決したようにSS投稿サイトである『クロビネガ』を自室のPCで開いた。
「・・・えと、確か筆者はプイプイさんだったか?いや、ぷいぷいさんだったか?」
男性はサイトを開いた瞬間、速攻でチャットルームに突撃する。
ひん槍:こんばんは、お久しぶりです
G13 :こんばんは
Ganota:ばんわー
・
・
・
緑の姫君:こんばんは
この男性はチャット上では【ひん槍】と名乗っている。ひん槍は挨拶もそこそこにパーラー筆者である【ぷいぷい】が入室しているか確認した。居た。入室者メンバーの中に筆者である【ぷいぷい】の名があった。だが、普段なら真っ先に挨拶が返ってくるはずなのに全く返答が無い。
ひん槍:ぷいぷいさん居ないのか!
G13 :結構前から居たけど反応無いよ
Ganota:パーラー2部でも書いているんじゃないかな?
・
・
緑の姫君:・・・さっき居たはずだけど・・・
ひん槍:なぁ、ニュース見たか!あの妖狐二人に腕組まれてるやつ!
G13 :見ましたよ!いい家族でしたね〜
Ganota:ああ・・あれだろ。出逢いはパーラーでした、ってコメントで気になって此処に来たんでしょ・・
緑の姫君:・・・
やはり知られていたみたいだった。流石は魔物娘に超絶敏感なメンバー。
G13 :えと、さ・・。今更こんな時に言いにくいんだけど・・。
ひん槍:ぇ?なになに?何でも言っていいよ
Ganota:?
緑の姫君:・・・(察し
G13 :自分の嫁はデュラハンのグリシアです!
ひん槍:もげろよ!チクショウォォォォォ!!
Ganota:爆ぜろ!w
*(わからない方は【憧れの騎士と剣と鞘】を読むとわかります)
ちくしょうぉぉ。あのSS通りになってやがったのかー!だったら俺もパーラー探してやるよ。悔しさの余り筆者であるぷいぷいに何度も話しかけるが応答無し。焦りが俺の中で生じてくる。早く気付いてくれよ、と何度も打ち込むが返事が返ってこない。
ひん槍:なんでこんな時に限って居ないんだよ!
G13 :さぁ?
Ganota:もしかして寝落ちしてるんじゃないのか?
緑の姫君:・・・ぷいぷいさんなら腰痛が再発したらしくて休んでますよ
ひん槍:まじで!?って、なんで知ってるんだよ
緑の姫君:さっき、ささやき送信で腰痛が再発したから少しだけ休むって
なんというタイミングの悪さ。このままだとパーラーの居場所が聞けないじゃないか。と、突然ぷいぷいの名が消え退出してしまう。
ひん槍:ちょ!なんで落ちたんだ!
G13 :たまに無言で落ちるよね
Ganota:もしかして聞いてた?
緑の姫君:いえ、たぶん回線落ちかと。気が付いたら大抵入ってきますよ。たまに戻って来ない時もありますが・・・
ひん槍:戻って来てくれーーー!(切実
G13 :ぁ、ごめん。ちょっと嫁に呼ばれたので
緑の姫君:・・・・・
ひん槍:・・・・・
Ganota:・・・・・
嫁という一言で現実に戻された3人。ひん槍は自室でPCを前にして項垂れていた。このまま筆者が気付いて戻って来るのを待つか、それとも今日は諦めて明日もう一度入室するべきか。きっと他の2人も同じ思いだろう。そして午後11時半を回った頃、ぷいぷいの名が入室者に再度加わる。
ぷいぷい:・・・いやぁ、腰痛再発した挙句落ちちゃってたよ(汗
Ganota:お、お久しぶり&こんばんは
緑の姫君:こんばんは
G13 :こんばんは さっきひん槍さんが何度も呼んでたよ
ぷいぷい:ん〜・・・?あぁ、パーラーの事ね、まさか自分のSSが現実になってたなんてねw
ぷいぷい:んで、ひん槍さんは?
今度はひん槍が寝落ちしてしまっていた。折角のチャンスなのに探していた本人は日頃の疲れからかPCの
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6..
11]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録