THE GREAT ESCAPE?

「ウェッジ!ミールはまだか!」

「ハッ!ウェルズ隊長、あちらに見える村です!」

俺達、第28聖槍騎士団は魔物討伐では無く、ミールという小さな山村に税の徴収に行く最中だ。ミールは教団領の一部だが、それが半年ほど前あたりから全く税を納めなくなり今では音信不通の状況。我らが崇める主神様の加護で生きてるだけの村民如きが税を納めず返事も寄こさないとは許しがたい行為。これは主神のみならず教団への背徳行為と見ていいだろう。だが、教団に対する背徳行為とはいえ、第28聖槍騎士団全員でミールに出向く事は出来ない。たかが小さな村から税を徴収するだけだ。小さな村程度に全員で行けば面目が立たん。第28聖槍騎士団隊長である俺、ウェルズ=ディーカン。そして横に居るのが副隊長のウェッジ=ホール。後は兵8名の計10名。

「おい、ミールからの音信不通はどれぐらいの期間だ?」

「ハッ!半年と11日であります!」

「ふん、怪しいな・・。いくら教団領の端といっても教団領内で半年もの間、税も納めず返事も返ってこないとはな。ウェッジ、お前はどう思っている」

「・・・・考えられるのは2つです。魔物の手に堕ちたか・・あるいは村民全てが消えたか・・。それと隊長、気になる事があるのですが・・」

「なんだ?何でもいいから言ってみろ」

「今、我々はミールの村が目視出来ます。こちらから見えるということは向こうからも我々が見えると言う事ですが・・・何故誰も人が出てこないのか・・」

「・・・・・・・!!しまった!これは罠だ!全員撤退するぞ!」

「どういう事ですか隊長!?」

「まだわからんのか!お前が言ったように向こうからも見えるって事は我々が村に着く頃には多数の罠が待っているはずだ!もしかすると、もうこの辺りまで来ている可能性がある!全員全速力で走れ!誰か一人だけでも本部に伝えるのd「あらぁ〜、・・それはもう無理ね〜。」誰だ!」

「あらあら、随分な御挨拶ね。でもね、・・お話する御時間があれば宜しいのですが今は急いでますの。大人しくミールに来てもらいたのですが」

若い兵が叫ぶ。

「ふざけるな!たかが変なラミア風情が我々に勝てると思っているのか!今すぐ槍の錆にしてくr「止めろ馬鹿者!」・・た・・隊長・・・何故・・」

まだ若い一兵卒を嗜め槍を下ろさせる。

「こいつはラミアでは無い。・・・・エキドナだ。我ら10人が同時に飛びかかっても一瞬で地に伏すのは我々だ・・。お前はもう少し魔物について学んでおくべきだったな」

「えええええええ・・・エキドナと言えば魔物の母と呼ばれる高位の存在・・・。小さな街一つなら一夜で魔界に変貌させる事も可能と言われるあのエキドナが何故ここに・・」

「そういう事ですので大人しく付いてきてもらえませんか?私達としましても未来の旦那様達に傷を付けるような無粋な真似はしたくありません」

「わ・・私達・・だと?」

いつの間にか我々は包囲されていた。信じられない事に目の前に居るエキドナばかりに集中していたせいか周囲に50を超える魔物達が隠れていた事に気付けなかった。これでは隊長として失格だ。

「どうやら貴方が・・この部隊の隊長さんのようですね。どうしますか?素直に付いてきますか?それとも此処で全員襲われ(輪姦され)ますか?」

「・・・(何か妙な言葉が混じっていた気がするが・・)わかった。ただし、我が部下に手をかけるな。拷問に掛けるなら俺だけにしろ」

「やだ・・。拷問(濃密セックス)だなんて・・///」

頬に手を当て首をイヤイヤと振ってるエキドナってなんだか可愛いな。いや騙されるな。魔物はこうやって人間を騙し食らっていく存在。俺は騙されん。

エキドナを先頭に我々は50を超える魔物達に囲まれたままミールに連行された。村に到着した我々を待っていたのは村民からの歓迎ムードだった。くそったれが。魔物の凱旋がそんなに嬉しいか。俺達を捕虜にしたのがそんなに楽しいのか。心の中で悪態をつくが我々10名だけでは例え戦闘経験の無い村民と見る限りでは200は軽く超える魔物達相手では勝てる気がしない。さらに言えばここのリーダーがエキドナである以上は下手に動かないほうが得策だろう。

「それでは、貴方達にはこの収容所で生活をしてもらいます。必要な物などは随時揃えていきますので御要望があればなんなりとお申し付けください」

・・・我々は収容所を見た途端に溜息が漏れた。てっきり薄暗い牢屋か窓一つ無い建物に放り込まれると考えていたがどう見ても屋敷だ。それも我が国では貴族が住むような立派な建物。これを収容所と呼ぶには些かおかしい。

「おい。これは誰の屋敷なんだ?このミールには領主が居るのか?」

「??いえ、ここは収容所ですよ?この屋敷は元々、貴方達教団が贅沢の限りを
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