幼き日の思い出と溢れる母性愛

早朝6時、私は携帯のアラーム音で起こされる。いや、起こされるはずだったが、今日からは柔らかくふさふさした尻尾で起こされる毎日になる。

「旦那様♪早く起きてくださいな」

まるで黄金の稲穂のような尻尾が私の頬を撫で上げくすぐったい感触と未知の快感を私に与えてくれる。しかし、私は一向に起きるそぶりを見せない。まだ一本しか味わってないからだ。妻は尻尾が5本あるので全ての感触を味わう為にわざと寝たフリをする。

「旦那様、早く起きないと朝餉が冷めてしまいますよ?」

妻はわかっていながらも尻尾を順々に私の顔に触れさせていく。最後の一本の感触を味わった私は軽いおねだりをした。

「んぅ〜〜、アレをして欲しいなー・・・」

アレとは妻が妖力で5本の尻尾を一本に纏めるという嬉し楽しい妖術だった。

「しょうがない旦那様ですね〜、でもそこが可愛いですから許しちゃいます♪」

妻はそう言うと尻尾に軽く力を入れ妖力を注ぎ込んだ。

パフン♪

可愛らしい音と共に現れた一本の尻尾、5本全ての尻尾を纏めたせいか抱き枕以上の大きさとなっている。私は尻尾に抱きつき頬擦りをすると妻は嬉しそうに頬を染める。5本全て味わうのも楽しいが一本に纏めた大きな尻尾を味わうのも私の楽しみの1つだった。

「あらあら、そんなに大きな尻尾が嬉しいのですか?」

「すごく嬉しいに決まってるじゃないか、触り心地も美しい毛並みも抱きついた時の感触も最高だ」

「んふふ♪旦那様は甘えんぼさんですね〜」

子供のような扱いをされるが逆に私は嬉しく感じてしまう。これから毎日、自分だけが味わう嗜好。いや、嗜好ではなく全てを癒してくれる存在。私はひとしきり尻尾の感触を味わうと用意された朝餉を食すために食卓に就く。妻はすでに元通り5本に戻し向かいで同じように朝餉を食している。少し残念な気もするが大きな尻尾のままでは椅子に座り辛いと言って元に戻したのだ。

「旦那様、今日の御帰りは何時頃でしょう?」

「…。21時過ぎた頃だと思うが・・どうかしたか?」

「・・・・・・・・・・」

妻は何も言わず悲しい表情のまま朝餉を食している。何故悲しい顔をしているのだろう。私が何か悪い事を言ってしまったのだろうか。朝餉も終わりスーツに着替え少し早めに出社しようと玄関に向かう。だが、そんな私の袖をそっとつまんでくる妻。

「旦那様・・・、私は悲しいです。旦那様と一緒に居る時間が僅か数時間だなんて・・・・」

妻は泣き入りそうな小声で私に打ち明ける。どうやら妻は私が残業をする事に僅かばかりの不満があるらしい。私が残業をするということは単純に夜の営みの時間が減るという事だ。妻は目に涙を貯め上目使いで私に懇願するが自らを納得させるかのように掴んでいた手を離し私を送り出そうとする。

「いってらっしゃいませ、旦那様」

ここまで献身的で健気な女性は居るだろうか。否、居ないだろう。そう考えた私は胸ポケットから携帯を取り出すと会社に連絡を入れる。

「申し訳ありませんが・・・・・、・・・・・はい・・はい、それでは有給を使わせていただきます」

携帯を切り、スーツを脱ぎ捨てると妻の手を取り寝室に入る。今日一日、妻が満足するまで昨晩の続きをする為だ。

「あ、あの・・旦那様。どうして寝室に行くのですか?」

「もちろん昨晩の続きをするからだ。今日は有給で休みにしたから満足するまで子作りセックスをするつもりだ」

「ああ・・旦那様、私は・・私は果報者です・・。旦那様にこんなに愛される私は世界一幸せ者です・・・」

普通は言う立場が逆だがな、と心の中で思ったが実は私も同じ事を考えていたし本音を言えば今日は休みたかったのだ。この時点で私は妻に溺れているんだろうな、と思ったがこれも良し、というもう一人の私の声が聞こえたような気がした。

「さ、早く子作りするぞ!」

「はい!旦那様♪」

妻に似た可愛い子が出来ますように、と考えながら私は妻の秘所を突き始める。







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私の名は菰野 陽一(こもの よういち)。とある会社で内勤勤めをしている。毎日毎日データ管理や顧客リストの作成、電話番をする事もあれば朝から晩まで書類に目を通すだけの作業もある。毎日が鬱屈しそうなほどつまらない。最近では死んだ目のまま仕事をこなしている日もある。同僚達も皆同じように目が沈んでいる。僅かな刺激も未来への展望も浮かばない毎日に正直飽き飽きしていた私は定時で帰ろうとするが上司に呼び止められた。

「菰野君、すまんがこれに目を通してくれないか。その後で君の意見を聞きたいんだが頼めるか」

帰ろうと思った矢
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