その6 『夢の中から〜』

 きっと先ほどから校内を走り回っていたせいだろう。
 授業が始まって、先生が何か黒板に書き出した辺から、僕は睡魔に襲われて椅子に座りながらうつらうつらしていた。
 先生が何かを喋っているが、それすらもよくわからない。
 そんな朦朧とした意識で最後に見たものは、やはり隣の席でまだムスっとしている彼女だった。

 次に意識が戻ったとき、僕は暗闇の中で寝そべっていた。
 何故こんなところで寝そべっているのかわからない。
 周りの視界がしっかり見えるのに、意識だけはどこかぼんやりとしている。
 
 クチュ...
 
 暗闇の中で何か卑猥な音がした。
 その音のした方へゆっくりと顔を向けると、何か暗いぼんやりとした影が、僕の下半身に覆いかぶさっている。
 とても大きい影だ。
 その影はわずかに震えながら、僕の下半身の上に覆いかぶさって、何かをしているようで、音もその影の方から聞こえる。
 「荒川さん...?」
 僕はその影に向かって間抜けな声を出した。
 その異様に大きい影が、すぐに彼女であると連想させた。
 そんな僕の言葉に反応して、影は一旦動くのをやめて、顔だけをこちらに向けた。
 こちらへ向いた顔は彼女であった。
 いつものようにムッとした顔ではなく優しく微笑んでいて、何故だか頬が紅くなっていて、緑色の肌が暗闇だというのに、妖しく光っていた。
 「おぅ」
 彼女はぶっきらぼうにそう答えて、僕を見つめると、顔を落としてまた小刻みに震え始めた。

 クニュ...
  卑猥な音を立てながら、彼女は僕の下半身の上で蠢いている。
 そんな行為を見ているうちに、僕の下半身にちょっとした刺激が伝わってきて、どこか切ないような、絞られる感覚が僕を襲った。
 「...っ荒川さん?!」
 思わず僕は声を出して、彼女を掴もうとした。
 だが、彼女へ伸ばした手はこんなにも近いのに届かなかった。
 まるで無闇に中に手を伸ばしている感覚だ。
 一体どうなっているのだろうと不安になって、彼女を見ると、彼女は両手で僕の愚息を優しく包み込むように握っている。
 そして、優しく握った手を上下に扱いて、愚息の先端を口に含んでいる。
 所謂『フェラ』という奴だろうか?
 そういう類に関して、毎日のように教室で他人の情事を見てきたが、されるのは生まれて初めてだ。
 「...ぁ...くぅ」
 僕は情けない声を出しながら、彼女から与えられる快楽に身をよじる事しかできなかった。
 意識はハッキリしないのに、感覚だけは鋭く伝わってくる。
 彼女の両手は優しく僕の愚息を包み込み、暖かく艶かしい舌が這いずり回っている。
 「なんで...こんな...」
 快楽に溺れそうになりながらも、僕は声を彼女にかけてみるが、彼女は行為に夢中のようで、僕の声に答えることはなかった。
 そうこうしているうちに、徐々に下半身への刺激は強くなり、とても切なくなってきた。
 
 出したい と身体は強く求めているのに、何故か頭のどこかで 出してはいけない という声が響いている。
 理性とはまた違う何かだ。
 一体何が不服だっていうのだろうか。
 興味のある異性とこのような事になって、出してしまうことが何故いけないと否定するのか。
 意識はぼんやりとしているくせに、くだらないことに対しては、頭はよく回ってくれた。
 「本当に...荒川さんですか?」
 僕は快楽に身をよじりながら、そんな間抜けなことを言った。
 しかし、普段の彼女を見ている僕にとって、彼女がこんなことをしてくるとはどの様な場合においても考えにくかった。
 確かに彼女は淑女とは口が裂けても言えないが、少なくともこんな積極的(?)では無かったはずだ。
 「何を言ってるの?」
 不意に僕の言葉に対して、今まで全く無反応だった荒川さんと思わしき女性が、行為を一旦止めて僕の顔を見てきた。
 顔立ちや体つきなど、確かに彼女にそっくりだ。
 だが、彼女は今僕に向けているような、キョトンとした表情は絶対に僕に見せるはずがない。
 もし...もしであるが、本当にこんな状況に至れば、彼女は無言で僕を小突くはずだ。
 「そうに決まってるじゃない」
 そう彼女は表情を戻して、妖しく笑うが、本当の彼女なら、笑うと言う事自体しない。
 いつもムスっとしている筈だ。
 それに、あんな丁寧な言葉遣いもするわけがない。
 「いや...でも......あぁ...牧田さんか」
 「...っ?!」
 そんな不自然な彼女を見ながら、僕はやっとわかったように呟くと、先程まで妖しく笑っていた彼女の表情が一瞬にして青くなった。
 今まで励んでいた行為が急に止まると、先程まで出したいと叫んでいた体が落ち着いてくる。おまけに意識まで徐々にハッキリとしてきた。
 
 どうやら図星の様だった。
 彼女
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