前編

ひのつき ななにち
きょうは わたしが あそんでいると とても ふしぎなことが ありました。
きょう わたしは あさごはんを たべて ひるごはんを たべて それから いえの ちかくの はなばたけで あそんでいました。
すると めのまえに きゅうに おおきな あなが ひらきました。
わたしは びっくりして とびあがったけど そのあなは わたしより もっと おおきな あなでした。
わたしは ともだちの ふろーらちゃんの いえにいって そのあなを おしえてあげようと おもったけど やめました。
なぜなら あなの おくから こえが きこえてきたからです。
そのこえを きいていると わたしは なんだか あなのおくから よばれたきぶんに なってきました。
なまえを よばれたわけでは ないけれど わたしは むしょうに あなのなかに とびこみたくなりました。
あなを とおると そこは しらない ばしょでした。
わたしの いえとも ふろーらちゃんの いえとも ちがう ぜんぜん みたことない ばしょでした。
あと めのまえに しろい ふくをきた しらない おじさんが たっていました。
おじさんは いろいろ きいてきたけれど わたしは ちいさくて よく わからなかったので 「わたしの なまえは てぃっととっとって いいます。 でも ながいから おとうさんも おかあさんも ふろーらちゃんも てぃーって よびます」って こたえました。
そうしたら おじさんは わたしに ぺんと のーとを くれました。
「これは なんですか」と わたしが きいたら 「これは にっきちょうだよ」と おじさんは こたえました。
いま わたしが かいているものです。
おじさんは これから わたしに 「べんきょう」と いうものを おしえるから きょう おこったことや ならったことを かきなさいと わたしに いいました。
わたしは いえに かえれないのが 「ふふく」でしたが まあいいやと おもいました。
なぜなら 「べんきょう」と いうものが どういうものなのか わたしには こうしきんが あったからです。
わたしは じを かくのが あまり とくいでないけれど 「べんきょう」への こうしきんの ために がんばろうと おもいました。

〜研究員による中間報告書〜
本日、火月七日1320を以て召喚術を起動、同時に実験が開始された。
本実験には召喚された下級悪魔であるインプを用いる。本実験の目的は彼らないし彼女らの学習能力を調査することである。
元来魔術師に使役されるインプは使い魔として主人の活動や生活を補助するが、従僕である彼らに教育を受けさせることは俗に言う『余計な知恵』を付けさせることに当たると忌避されてきた。そのためインプが主人の命令を聞くだけの知能はあっても、その成長の上限がどれほどのものかは未知数のままだった。
本実験では公正を期すため一般的な手法による儀式(魔方陣を敷き、呪文を唱え、供物を捧げる)により召喚したインプと契約を結び、彼ないし彼女に人間社会の一般的な学校におけるものと同じ授業(計算、識字、社会学、魔術学、自然科学)を受けさせる。
教師役は契約及び記録員である筆者、トーマス=グランツが執り行う。また魔物を用いる危険性と周囲への影響を考慮して、実験は市街地から××キロの隔離施設にて行う。そのためこの中間報告は本部への定時連絡の役目も担う。
またこれは未確定ではあるが魔族たちの魔力を統括して支配する存在、いわゆる『魔王』の代替わりに伴い魔物の生態に変化が出ているとする説がある。本実験ではこの情報を鑑みて、魔物とのコミュニケーションの可否についても調査する方針だ。
召喚術式は滞りなく発動、魔方陣を介して一体のインプが呼び寄せられた。性別は雌、体長は120センチ程度、桃色の髪で顔立ちは人間の少女に極めて近く8〜10歳程度かと思われる。
召喚の直後に彼女にいくつか聞き取りを行ったが、こちらの質問を理解していないのかそのほとんどに回答は得られなかった。唯一彼女がティーという名前であるということが判明した。
筆者は彼女に記録媒体と筆記具を渡し、毎日の出来事と学習の成果を残すよう指示した。途上での影響を考慮して、実験終了まで彼女の記述はこちらから確認しないものとする。
導入としては以上。明日以降の彼女の協力、ひいては実験の成功に期待する。

ひのつき はちにち
きょう わたしは おじさんから とても おいしい おかしを もらいました。
おかあさんの つくる りょうりより おいしくて きゃんでぃーという ぼうが ついた あかくて しろいので ぺろぺろ なめると とっても あまかったです。
それから ちょこれーとという くろいのも あまくて ほっぺが おちるかもしれないと おもいました
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