後編

水の月 四日
気がついたら、一週間も日記を放置してしまった。それ程までにここ数日のマスターとの暮らしはせわしいものであり、また充実したものでもあった。
あれからマスターとはもちろん毎日セックスしている。
三桁を超えてもマスターのペニスは相変わらず刺激に慣れることはなく、むしろ次々と性技を学習していくわたしのせいで相対的に日に日に弱くなっている。わたしの膣肉できゅっと包んであげるだけで、男根以外のマスターの全てはたちまちのうちに弛緩してしまう。そしてわたしがマスターの上で微笑んであげると、辛抱を知らない肉棒はどくどくと吐精をわたしの膣中にぶちまけるのだ。
その瞬間の、マスターのだらしない表情がわたしはたまらなく好きだ。苦渋と悦楽と葛藤と煩悶が入り交じったそれは、言うなれば芸術作品に等しい。副題を付けるとすれば『魂の刹那の解放』と言ったところか。
そしてそれを鑑賞しながら下腹で味わう精液の、なんと美味なことだろう。女性器が舌鼓を打つという、魔物娘にしか味わえない悦楽。それをしっかりと噛みしめながら、わたしも嬌声をあげ絶頂するのだ。
これに関しては、文字通り飽きるほど体験しても決して慣れることはない。わたしもマスターのペニスをとやかく言うことは出来ないかもしれない。
マスターとの性交はおおよそ二時間ごとに行われる。
基本授業と授業の合間、休憩時間を用いる。椅子に腰かけてマスターの講義を受け、一段落がついたら今度はマスターの上に跨がり交合の勉強と精液の補給に勤しむ――その繰り返しだ。
一日が終わる頃にはマスターは教卓でへとへとになっている。しかしマスターは休むわけにはいかない。もし講義の中途で力尽きてしまえば、その時点で『休憩』と判断したわたしがにじり寄ってくるからだ。
当然勉学を疎かにはしていない。分野を問わず『知る』というのはわたしにとってこの上ない楽しみだ。毎日のマスターとの授業は、性交のそれに勝るとも劣らず面白い。
特に魔術はわたしの得意分野だ。四大元素に関する基礎魔術はとうに修め、今は大規模な応用上級術に取りかかろうとしている。マスターが言うには、わたしが本気を出せばここら一帯の天候を操ることすら理論上は可能なのだと。
これははっきり言ってインプとして異常だとマスターがぼやいた。過去を遡っても、そのような魔力を持った下級悪魔など類を見ないと。わたしにはよくわからないが、そういえば実家の母親は「お日様を操れれば洗濯物がよく乾くのになあ」と愚痴をこぼしていた気がする。
わたしは変わったのだろうか――そうは思わない。
鏡を眺めながらわたしは考える。わたしの容姿はマスターに召喚されたあの日から、少しも変わらない。身長も胸囲も、悲しいかなまったく成長していない。ただ少し表情が凜々しくなって、言葉遣いが大人びただけだ。
わたしは早く大人になりたい。早くマスターと対等になりたいのだ。わたしなんかが賢いマスターと同列なんて恐れ多いかもしれないが、いつまでも子供扱いされるわけにいかない。
ふと文学の授業で呼んだ一説を思い出す。曰く、大人になりたいと思っているうちは子供の証左なのだ――と。
しかし具体的に大人になるとは何を指すのだろう。やはり――やはり、マスターの赤ちゃんを身籠もれば大人になれるのだろうか?

〜研究員による中間報告書〜
ティーとのまぐわいは最高だ。
彼女は私のどんな下劣な欲望も受け入れてくれる。私よりも二回りも小さな華奢な体躯に、あどけない顔立ち。無知でありながら決して厚顔でない謙虚な態度。
一方で一挙手一投足の所作がまるで計算されたかのように男の劣情を誘う。そしてそこから繰り出される極上の性技。特に狭さとおおらかさというさながら矛盾を両立した膣肉はもう堪らない。締めつけられ受け入れられると、蕩けるような蜜に包まれてたちまちのうちに私は精を放ってしまう。
童女への膣中出しという、社会的に見て絶対に許されない暴挙。だがそんな罪の意識に苛まれる私を、ティーは慈母のような笑顔を浮かべて優しく抱きしめてくれるのだ。
彼女は天使だ。小悪魔であり、私の女神だ。
私が彼女に骨抜きにされるのは天命が決めた摂理であり、彼女のためなら私は全てを投げ打って頭を垂れるであろう。むしろ彼女の素晴らしさを理解しない愚か者がもしいるとするならば、私はたとえ許されざる手段をもってしてでも、わたしは

〜研究員による中間報告書〜
私はいったい正式な書類になんてことを書いていたのだ。こんなものを学会に提出できるわけがない。
兎に角――とにかく、実験の経過は順調だ。ティーは目を見張る速度でその学力を向上させている。それはもう危機感を覚えるほどに。学習に対する意欲も上々だ。
しかし、苛烈なスケジュールにこのままでは筆者の身が保たない。とはいえ誰かに代わってもらったり
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