とある夕刻。山間にある親魔領の街、レプティの孤児院、エリンホームのとある一室にて。
「たいへんよ! おねえちゃん!」
人間の少女を脚に抱えたハーピーの少女が、頭で部屋のドアをノックしながら叫んでいた。
「あらあら、どうしたの、ミリア?」
ドアを開けて現れたのは、一人のエキドナ。その瞬間、ミリアと呼ばれたハーピーの少女の顔が引きつった。
「ひっ!?」
「あら、ごめんなさい」
ミリアがおびえたのを見た『姉』は、蛇の尻尾を人間の脚に変身させる。すると、ミリアは少女を部屋の床に下し、涙目になりながら、状況を説明した。
「しりあいのブラックハーピーのおんなのこがこのこをつれてきたの……でも、ねつがひどくて……」
彼女が拾ってきた……もとい、預けられた少女はダークブラウンの髪を三つ編みにしており、薄く開かれている目からは緑色の瞳が時折のぞく。顔は赤く熱っており、呼吸は荒い。どうやらひどく発熱しているようだ。
そんな少女を、『姉』はただ見つめるだけでなく、時折頬や額に触れて、診察していた。
「あらら……この子、発情しているわね……。このままじゃ助からないわね」
発情している、という診断を下す『姉』。それは少女が『人間として』助かるには絶望的である、ということだった。
「じゃあ……」
少女が助からないと聞き、泣きそうになるミリア。だが、『姉』の診断はこれで終わらなかった。
「待って。治せることは治せるけど、それができるのはイーサンだけよ」
「イーサン? どうして?」
「それは……ね。ちょっと、彼を呼んできてくれるかしら?」
「うん……」
診断の続きをはぐらかすかのように、『姉』はミリアにイーサンを連れてくるように促した。
すると、数分後。
「エリン姉! ミリアに呼ばれてきたんだけど……」
ドアを破らんばかりの勢いで、少女と同じダークブラウンの髪と緑の瞳を持った青年がミリアと一緒に飛び込んでくる。
「イーサン! うらやま……じゃなかった、ちょうどいいところに……。見つかったわよ、あなたの妹が。それで……」
「え?」
一瞬本音が出てしまった『姉』ことエリン。慌てて修正するも、冷静に状況を説明する。しかし、青年――イーサンは全く状況を呑み込めていない。
ベッドからおもむろに少女が起き上がると、おぼつかない足取りながらも、イーサンの方へと向かっていく。
「……イーサン。もう彼女の熱を治せるのはあなたしかいないの。それじゃ、ごゆっくり」
「オオオイ! エリン姉! クロエに何があったか説明してくれ!」
エリンに非情な宣告をされたイーサン。一方のエリンはミリアを連れてそそくさと逃げ出し、外から鍵をかける。
「オオオオイ、エリン姉! なんで鍵なんてかけるんだよ!?」
窓を見つけたイーサンだが、エリンが細工をしているのかどんなに力を入れても開かない。こうなってしまっては、彼の逃げ場はもう無い。その間にも、彼はなんとかして逃げ出す。しかし、捕まってしまうのは、もはや時間の問題。彼がベッドにもたれかかった途端、虚ろな瞳のクロエに取り押さえられてしまった。今までの足取りのおぼつかなさがまるで嘘だったかのように、身に着けている物を素早く剥がされていく。
「うふふ……♪」
「やめろ、クロエ! 俺はおまえとヤるつもりなんて――アッー!?」
翌朝、エリンが件の部屋をのぞいてみると――
「おはようございます、先生」
そこには、ベッドの上でブラックハーピーがイーサンを組み敷いて、元気かつ淫らに腰を前後運動させている光景があった。一晩中搾られていたのか、イーサンの方は息子以外が疲弊しきっている様子であった。
「お〜い、エリン姉〜、クロエ〜……腰がぁ〜……いてえ〜……」
ブラックハーピー――と化したクロエの下で情けない声を出すイーサン。一方のクロエは、腰を止めるどころか、精を求めて振る速度を速めていた。
「兄さん。わたし、はやく赤ちゃん欲しいの。頑張ってね」
さらに数週間後、クロエのお腹には、歪な膨らみができたそうな。
「んふ。できちゃったみたい。ありがと、兄さん」
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