私はフィルナ、この屋敷の主であるクリス・レイナート様の奴隷として仕えている魔物娘です。
私はクー・シーと呼ばれる犬の妖精の魔物娘で、犬のような顔をして全身に毛が生えていますが、人のように二足歩行だし、言葉も話せるし、家事全般もこなせるので
この屋敷の家事炊事は任せられています。
お屋敷と言っても貴族のように大きなものではなく、普通の住宅より少し広めなくらいのこじんまりとした屋敷です。
奴隷として働いているのは私だけで、あとは主であるクリス様と弟君のアレス様が住んでいらっしゃいます。
クリス様は奴隷市場で売られて絶望のどん底だった私を救ってくれた命の恩人です、
奴隷として買われ、絶対服従の魔法をかけられた私はどんな酷いことをされるか恐怖に怯えてましたが、
主様はそのような事を一切せず、私を本当の家族のように扱ってくれました。家事全般も分担でやると主様は言いましたが
そこは全部自分が行うと譲りませんでした。主様の手を煩わせるわけにはいきませんでしたから・・・
そんな素晴らしい主様なのですが、弟君であるアレス様は全く正反対の性格で粗暴でだらしなく街での評判も非常に悪いです。
私も失敗した時や何か気に障った時は容赦なく暴力を振るわれました、酷い時には八つ当たりで殴られもしました。
絶対服従の魔法は主様だけではなく弟君のアレス様にも命令権があり、私は一切逆らう事は出来ません。
その都度、クリス様は私を助けてくれて、アレス様にも注意するのですが一時的なもので少ししたら元に戻ります。
しかも今度は私に脅しをかけて、告げ口したらもう一度奴隷市場に売り飛ばすと言われました。
あの絶望にまた落とされてもまた主様が助けてくれるかもしれないという淡い期待はありましたが、
主様に多大なご迷惑をかける事になるので私はひたすら耐えるという選択をしました。
無論そんな状態なので兄弟の仲は悪く、ケンカも絶えません。
元々血の繋がった兄弟ではなく、主様の亡き父君の再婚相手である母君の連れ子だったのがアレス様です。
しかし母君は父君の財産を目当てに結婚した方で性格はとても褒められたものではありませんでした。
その子供であるアレス様も同様でした。そんな母君も病気でつい最近お亡くなりになられ、今この家には
クリス様とアレス様と私の3人だけになりました。
「フィルナ、いつも忙しくさせてすまない」
『いいえ、私はご主人様の為に働く事こそが幸せなのです、お気をなさらずに・・・』
「それにアレスの事は本当に申し訳ない、何度言い聞かせても一向に言う事を聞かなくてな」
『いえ・・・』
「もうここらが潮時かな?いっそ弟と縁を切って二人で旅にでも出ないか?」
『え!?そ、そんな恐れ多い事なんて』
「いやいや、結構本気で考えてるんだよ俺は、アイツと財産を半分ずつ分けてそれぞれの道を行く、それで今の現状を変えられるだろう」
「アイツを追い出すってのも考えたんだが、下手に遺恨を残したくはないからな」
『主様は私ごときの為にそこまで考えていらっしゃったんですか・・・』
「私"ごとき"と言うのはやめてくれ、フィルナは俺の大切な家族なんだからな」
『申し訳ありません、ですがそんな恐れ多い・・・』
「そんな事ないさ、俺は君と一緒にいたいんだ」
『/////主様』
「さてと、決めたからには明日にでもアイツと話をしてくるよ、フィルナは旅の準備をしててくれ」
『分かりました』
翌日、クリス様はアレス様と話合いをしたのですが、交渉は上手く行きませんでした。
結局アレス様は財産を分割する事を良しとせず、クリス様もまさか無一文で旅に出るわけにはいかないと、
いつまでたっても話は平行線でした。それどころかビタ一文もよこす気は無いとアレス様は突っぱねて
クリス様を部屋から追い出したのです。
「まいったな・・・このままじゃ出て行くことも出来やしない、しょうがない、諦めて明日にでも別のツテを探すか」
アレス様から承諾は得るのは難しいと結論を出し、クリス様は翌日ご友人や知り合いに相談しに行く事にしました。
「それじゃあ行ってくる、今日はアレスもいないみたいだし留守番を頼む」
『承知しました。それではお気をつけて』
「夕方までには帰るよ」
そういいクリス様は出かけていきました。
私はクリス様が帰ってくるまでいつも通り家事雑用をします。
時間も過ぎていき、時刻は夕方に差し掛かる頃、まだ主様は帰ってきません。
『主様・・・もう帰ってきてもよろしいのですが』
何か妙な胸騒ぎがし、一向に帰ってこない主様が心配になりました。
『アレス様も戻ってきませんし家を留守にするわけには・・・』
それでも胸騒ぎが収まらず、フィルナは家を後にした。
『くんくん、主様の匂いはこっちのほうからしますね』
クー・シ
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