ローパーさんと触手さん

突拍子もありませんが、私が住んでいる町の外れまでお散歩していたところ、犯されてしまいました。

相手は男性ではありません。触手です。そう、触手。女騎士やシスターなんかを快楽漬けにするあの触手です。正確にはローパーという触手を生やした魔物なのですが、私から見たら触手です。

グロテスクな見た目に、ぬらりと粘液の滴る触手。口腔へと侵入した触手に甘ったるい媚薬を飲まされ、そのあとはひたすら穴という穴を凌辱され続けました。
凶悪なイボイボが不規則に並んだ触手が出入りする度に腟壁が引っ掻かれ、意識がトびそうになるほどの快感。
大中小様々な大きさの数珠状の触手が勢いよく引き抜かれる時の、お尻がきゅんとなって内臓が丸ごと持っていかれそうになる感覚。
どれもこれも筆舌に尽くし難い快感でした。

では、何故こうも落ち着いて現状説明しているのか。
それは、1つ、満足したのか、触手もといローパーが私への凌辱を止めてどこかへ去ってしまったから。2つ、犯されてアヘ顔を晒しながら快楽の余韻に浸っていたら、私の身体から生えた触手が話し掛けてきたから、です。
度肝抜かれました。触手が生えてきたこともそうですが、何より喋ったのです。触手が。しかも結構ダンディな声で。

「何ブツブツ喋ってんだ?」

そう、こいつです。鎌首をもたげた蛇みたいに先端を曲げ、私に話し掛けてきます。私には他にも触手が数本生えていますが、こいつだけ何故か色が濃いのです。おかげで見分けるのは容易なんですけど。

「関係ないです。ほっといてください」

そんな訳(どんな訳だ)で絶賛ふて腐れ中です。まさか魔物になってしまうなんて。快楽や貞操については特に特別な考えは持ってないのでいいのですが、魔物になるのはちょっと……。

「そう邪険にするなよ。魔物の身体は素晴らしいぞ。お前の、人間でいたかった、という気持ちは分からなくはないが」

「……どうして私の考えてることが分かったんですか?」

「そりゃあ、俺はお前の身体の一部だもの。思考は全部筒抜けさ」

「見ないでください! てか、身体の一部の割に私の意志では動かせないし、あなたの考えも分からないんですけど」

「それはあれだな。まだ俺ら触手がお前の身体に定着してないから。オスの精を得れば定着して自由に動かせるようになるぞ」

オスの精……
つまり男性の精液ってことですよね。精液を搾り取るってことは……えっちぃことしないといけないんですよね。
いきなりハードル高いなぁ。私エッチなんてしたことないし、どうしていいか分からないし。さっき貞操がどうのこうのとか言ってたけど、するのとされるのとでは全然違いますからね?

「犯されるように仕向ければいいじゃねぇか」

「だから思考を読まないでください。誘い受けですか。それこそ難しいですって。私口下手ですし」

「難しく考えるんじゃねぇよ。俺が手伝ってやる。オスなんてもんはな、お前が思ってる以上に単純なモンなんだぜ」

そういうあなたもオスでしょうに、というツッコミはなしの方向で。まぁ、魔物になってしまったものはしょうがありません。
私は割り切れる女です。折角魔物になったのだから、とことん魔物ライフを堪能してやります!

「そうだその意気だ。だが、まずはオスを探さなきゃな」

「うーん、それじゃあ最初にあった男性が私のお婿さんです。運命的な出会いに身を任せます」

「ほう。だんだん考え方が魔物よりになってきたじゃねぇか」

「それほどでもありません。さぁ、行きましょう!」

意気揚々と立ち上がり、お婿さんを探すために歩みを進めます。これが魔物としての第一歩です!

「あっ…ひゃぁ」

一歩踏み出しただけで下腹部、ちょうど子宮があるあたりでしょうか? そこから何か蠢く感覚がして強烈な快感に襲われます。あまりの気持ち良さに立っていられなくなり、その場にへたり込んでしまいます。ぺたり。あれ、もしかして歩けない?

「まぁなんだ。ドンマイ」

「ドンマイ、じゃないですよぉ! これじゃお婿さんを探せないですし、家にも帰れないじゃないですか! 何なんですかこのゾワッ ってする気持ち良さは」

「それな、俺だわ。お前子宮のかなり深いところに卵を植え付けられたみたいだな。触手が定着するまではまともに動けそうにないぞ」

「そんなぁ」

どうやら神(魔物業界に神がいるかどうかは分かりませんが)は私に試練を与えになさったそうです。動けない以上、私の未来のお婿さんがここを偶然にも通らない限り、ここから一歩も動けそうにありません。
……ま、まぁ、獲物を待つ狩人、蟻が落ちるのを待つアリジゴクだと思えば、お婿さんを待つローパー、みたいな感じでカッコイイです。ポジティブに考えましょう。

「お前の中のアリジゴクはなんなんだ。格好いいのか?
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