「や、約束?」
「うん。 あの時の、ふたりだけのお約束」
覚えがある。 確かに言った。
自分は、ソヨと。
「覚えてる、よね」
「ああ、忘れてなんか。俺、確かに言った。
いつか、ソヨ姉ちゃんを嫁にもらうって」
「え?」
― ソヨ姉ちゃん、おいらだって、わかってるよ。
みょうと
これ、夫 婦 がすることだろ?
夫婦じゃなきゃ、しちゃいけないことだろ・・・?
― おいら、ソヨ姉ちゃんと、かならず夫婦になる。
まだちっちゃいけど、ぜったい、ぜったい。
ソヨ姉ちゃんを嫁にするから・・・
「俺、姉ちゃんとそう約束したんだ」
「そうだった、よね。 うふふ」
ソヨはにこにこと笑い、勘介をさすった。
確かに覚えがある。
この光景に、この情景に。
ざ、ざ、ざ 。
ちっち。 ちちち ちっ・・・
格子戸から漏れる木漏れ日。
葉擦れ、鳥の声。
ここは権現さまのやしろの中。
けれど、あのときここにいたのは ―
― 勘介、まだなんだって?
・・・あたしじゃ、嫌かい?
「カンちゃん。 こういうの、はじめて?」
「えっ?」
「まだ、したこと、ない?」
「あ、あっ、まだ・・・」
話には聞いていた。 だが、まだちゃんとしたことはない・・・
いや、そんなはずはない。 もうとっくのとうに。
「あれ?」
ソヨがすりよせているおのれのものが、妙に小さい。色も淡い。
自分の手も、からだも、声も、みな細くなっている。
「あ、あれ? いったい・・・」
・・・いや、違う。 自分の体もものも、そんなに大きくはない。
細く小さいとからかわれている。
「あ、あれ、あれっ・・・」
「まだ、なんだ。 ふふっ」
何か忘れているような、思い出したような、わけのわからない心もち。
ソヨは勘介の戸惑いにかまうことなく、妖しい目つきを上向きにする。
「じゃあ、ソヨが、たしかめてあげるね」
「たしかめる?」
・ ・ ・
「うん。 カンちゃんが、ちゃんとできるかどうか」
ソヨは勘介のそれの、のどもとをくいと握った。
「・・・んっ」
「ソヨ、カンちゃんに悦くしてもらったでしょ」
「あ、ああ」
「おんなのひととおなじように、男の人も、
さわられると悦くなっちゃうのよ」
「そ、そうなのか?」
「そう。 そしてね、悦くなってね、子だねが出るの」
「・・・子種、か」
「うん。白いおしっこみたいなのが、ぴゅって」
ソヨは勘介をやさしくしごきながら、いつもの調子で丁寧に教えてくれた。
ソヨ姉ちゃんはいつもこうやって、いろんなことを教えてくれる。
「それが出ないとね、子供ができないのよ。だからソヨが、たしかめてあげる。
カンちゃんがちゃんと、あかちゃん、つくれるかどうか・・・」
「え、そんな」
「ソヨじゃ、いや?」
勘介はしっかりとかぶりを振った。
嫌だなんてそんなこと、あるもんか。
ソヨはにこりと笑い、勘介の先端を、小さな唇で咥えた。
ちろちろと紐のように細く長くとがった舌が先を這い、鈴口をいじる。
「う、あっ! はっ・・・」
舌の動きに合わせ腰が跳ねる。声が漏れる。
「すごいよ、カンちゃんのここ。 こんなにも熱いよ、固いよ」
― すごい。 あんたの、こんなにも熱いよ。 固くなってるよ。
先ほどから頭の中に、だれかがちらちらと映り消えする。
だがそれも、ソヨの手と舌の前にかき消されてしまう。
ソヨはぱくりと勘介を咥え、唇と舌でしごきあげる。
ちゅぶ、ちゅぶ。 くちゅる、じゅぷ。
はじめての感覚に、声が漏れ、からだがひくつく。
ソヨはぷはっと息継ぎに口を外し、勘介に問いかけた。
「きもちいい? ねえ、きもちいい?・・・いたいの?」
勘介は答えない。
「ちがうの? ねえ、きもちよくないの?!」
なお、答えない。 歯を喰いしめている。
「きもちいいって、いって! おねがい、カンちゃん!」
口が開かない。 顔が熱くなる。
「きもちいいっていって! ソヨに、おちんちんさわられて、
たまらなくなっちゃったっていって!!」
その言葉が終わらぬうちに、勘介は跳び起きた。
からだをめぐらせ、ソヨの腰をつかむ。
「・・・あっ」
震える手で裾をはらい、腰巻をめくる。
あのときとおなじ、ぷっくりとまるく重ねられた砂糖菓子。
ふたつのまるみが重ねられたその間から、ひとすじの露がこぼれている。
「や、やだ。 カンちゃん」
「ソヨ姉ちゃん・・・!」
勘介は夢中になって、ソヨの腰を抱き、自分の顔をソヨに
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