秋に近づき、外は少し冷たい風が吹いていた。
覆い茂る葉っぱも茶色に染まっていき、日が昇る時間も短くなってきた。
如何にも秋が来るぞという季節だった。
そんな季節の中、山々に囲まれた静かな村が一つあった。
その村には昔ながらの井戸や木造の家々が立ち並び、老若男女が仲良く暮らしていた。
そしてそんな平和な村からすぐ近くには茶色に染まった森があった。
ここには危険な動物がおらず、すぐに行ける場所という事もあって、村の子供達にとっては絶好の遊び場だった。
そんな森の中を子供が二人、元気に走り抜けていく。
その二人は男の子と女の子だ。
男の子はくりっとした茶色い目と短めのショートヘア。
半袖の緑色のシャツ、そして黒の短パンが可愛い。
対して女の子の方は藍色の瞳、背中まで届くほど長い藍色の髪の毛を持っていた。
膝が隠れるほど長いスカートに半袖の白シャツを着ていた。
性別は違うもどちらも幼くて可愛い、好奇心旺盛な二人の子供だった。
「ねえねえ!! きょうはなにしてあそぶ?」
男の子が女の子に声をかけた。
「そうね・・・?」
女の子は口に指を当てて考えた。
やがて思いついたかの様な、ぱっと明るい表情を男の子に見せた。
「おちばをあつめるとか、どう?」
「おちば・・・あつめる?」
首を傾げる男の子に女の子は顔を近づけた。
「そうそう。かわったおちばをみせあうの!!」
「それ、おもしろそう!! やろうやろう!!」
そう言い男の子は、はしゃぎながら女の子の手を握った。
「うん、いこうアリッサ!!」
アリッサと呼ばれた女の子はうんうん、と首を縦に振った。
「うん、リテール!!」
リテールもまた女の子の名を呼んだ。
見ての通り、アリッサとリテールは大の仲良しだ。
家がお隣同士だったので小さい頃からずっと一緒に遊んでいた。
その仲の良さは有名で、面倒見の良いおばちゃん曰く、二人はまるで兄弟だと言われる程だった。
だが兄弟みたいだと言われたらアリッサは決まってこう返していた。
(わたしがうえだから、おねえちゃんだよ!!)
私の方が年上だから、私がお姉ちゃんだ。
アリッサにとってその主張は、自分は偉いだとか自分は賢いだとか特別な意味など無かった。
単に自分はお姉ちゃんだぞと主張したかっただけだった。
現にここに来ようと言い出したのはアリッサだった。
それに対しリテールは反対せず行こうと頷いたのだから、他人にどちらが上なのかと聞かれればアリッサの方だと指さす事だろう。
「ほらほら、さがそう!! おちば、さがそう!!」
「うんうん!!」
二人は木の根元まで近づくと珍しいと思える葉っぱがないか探し始めた。
二人ともしゃがみ込み、落ちた葉っぱを見つめては手に取って眺めた。
「これかな〜」
「う〜ん、これもいいかな?」
そんな呟きを交えながら二人は葉っぱを探していた。
数分後、アリッサは手に取った葉っぱを天へと掲げた。
「うん、みつけた!! リテールもみつけた?」
「うん、ぼくもみつけたよ!!」
そう言いリテールは立ち上がり、アリッサへと近づいた。
その手には葉っぱが一枚握られていた。
「それじゃわたしから!! ほら、みて!! まるでかおみたい!!」
そう言いアリッサは切れ目が三か所ある手のひら大の落ち葉をリテールへ見せつけた。
確かに切れ目の二か所が目の様な形になっていて、その下には口の様な切れ目があるのだから人の顔の様に見える。
「すごい、すごい!! かおだよ、それ!!」
「へへ〜、すごいでしょ!!」
「ぼくのほうもみて!! みどりとちゃいろのはっぱだよ!!」
リテールもまた、文字通りの緑色と茶色が混ざる落ち葉をアリッサへ見せつけた。
まるで緑色と茶色の絵の具を筆でかき回したかの様な模様で、リテールの言う通り、珍しい葉っぱだった。
「そうね!! でもわたしのがすごいわよ!! だってかおだもの!!」
「ううう〜〜!! ぼくのほうだってすごいもん!! きっとかいたひとがいるよ!!」
子供特有の柔らかく、そして可愛い唸り声を挙げながらリテールはアリッサへと迫った。
それに対してアリッサは意地悪な笑みを浮かべながらリテールへと顔を寄せた。
「かいたひと? そのはっぱに、かいたひとなんているの?」
「うん!! いるとおもってるもん!!」
「ほんとかな〜?」
「ほんとうだって!!」
そう言いリテールは頬をぷくっと膨らませた。
そんな姿が気に入ったのか、アリッサは更に意地悪を仕掛けた。
「ええ〜、ほんとうにぃ?」
「ほん
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6..
13]
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想