「…よし、じゃあ今回向かうダンジョンのパーティーを発表する」
ここはとある広い屋敷の一室である大広間。大勢が座れるようなとてつもなく長いテーブルを、この屋敷の主であるルルイエと従者達が取り囲んでいた。
「まずリーダーだが…今回はハク、お前で行こうと思う」
「…分かった、マスター」
ハクと呼ばれたまだ幼さの残る人虎は立ち上がるとマスターの元へと歩んでいった。
「それで、サブはエキドナ、ミツキ、ニライカナイ、アヌビスで行く。
後の皆はここで待っててくれるな?」
先ほど呼ばれたモン娘達は主に近づき、呼ばれなかったモン娘達はそれぞれが頭を縦に振った。
「それじゃあ、魔王の城に行くぞ!!」
「…分かった」
と、ハク。
「分かりましたわ、主様」
と、エキドナ。
「分かったよ、マスター!!」
と、まだ幼い妖狐であるミツキ。
「分かったぞ、我がマスター」
と、ドラゴンであるニライカナイ。
「了解した、主君」
と、アヌビス。
そして、ルルイエ達一向は魔王の城に向けて旅立った。
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2日間にも渡る長い旅路の果て、ようやく魔王の城に到着したルルイエ達。
そこは暗雲が立ちこめ今にも雷が落ちてきそうな場所だった。
更に、門越しからでも分かる程の気迫に今までのダンジョンとは数段違うことを物語っていた。
ルルイエ(以下ル「ここが…魔王の城……」
エキドナ(以下エ「この城の何処かに主であるヴァンパイアが居るんですね…」
ハク(以下ハ「…そうみたい」
ミツキ〈以下ミ「アヌビスお姉ちゃん、何だか怖いよぅ」
アヌビス(以下ア「よしよし、主君がいるからな、絶対大丈夫さ」
ニライカナイ(以下ニ「さあ我がマスター、早く中に入ろう」
ル「そうだな、ニライカナイ…。
いいかお前達、俺はお前達のテクニックを信じる。
だから、お前達も俺を信じろ!!」
ハ「…ん」
エ「ええ、分かってますわ」
ニ「分かっている」
ミ「うん、マスター!」
ア「我々一同、承知しているぞ」
ル「それじゃあ、門を開けるぞ!!」
そうしてルルイエ達は魔王の城へと足を踏み入れた。
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?「…むぅ」
?「どうしたのだ、我が友よ?」
?「最近私の従者に相応しい者が来なくなってね…」
?「何だ、そういう事か」
?「そういう事では無いぞ妹よ」
妹「どういう事、姉さん?」
姉「妹よ、ここ最近冒険者がこの部屋を訪れていないのは知っているな?」
妹「確かに、そう言えばここ最近の冒険者達は全部道中でヤられちゃってるね?」
姉「それが問題なのだ、妹よ」
?「ちょっと、私をそっちのけで話を進めないでくれない?」
姉「ああ、済まなかったな、ヴァンパイアである我が友よ」
ヴァンパイア(以下ヴァ「全くよ…貴方たちバジリスク(ジャバウォック)の双子には振り回されてばっかりだわ……」
妹「ゴメンゴメン、ヴァンちゃん」
…どうやらここはこの城の主のヴァンパイアの玉座の間、いわゆるボス部屋らしい。
そしてその部屋にはヴァンパイアと双子のバジリスク(夫持ち)が待機していた。
ヴァ「貴方たちは良いわよね、愛する夫が居て」
姉「そんな事は無いさ」
妹「そうだよ、ヴァンちゃん。
ヴァンちゃんにだっていずれ相応しいダンナ様が…」
ヴァ「…お前達、雑談は此処までの様よ」
妹「それって…」
姉「どうやら来たようだな?」
そして目の前にある大きな扉が開いた。
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ル「ようやく…ようやく此処まで来れた……。
皆、大丈夫か?」
ア「それについては大丈夫だ、主君。
私も含め皆疲労はしているが、主君のお陰でちゃんと回復はしているしスキルも何時でも発動出来るぞ」
ル「そうか、ありがとな、アヌビス。
よし、もう一踏ん張りだ、行くぞ、皆」
そして、ルルイエ達が最後の部屋の扉を開けた。
しかしその部屋は薄暗く、遠くの玉座らしき椅子に誰かが座っている程度にしか分からなかった。
?「フッフッフ…よく来ましたね、冒険者」
ル「誰だ、お前は!!」
ヴァ「我が名は、ヴァンパイア。
この城の主にして、このダンジョンの最後のボスよ!!
さあ、我が力、存分に味わうが良いわ!!」
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